シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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企業法務(独占禁止法) | 2024 | 秋学期 | 月5 | 商学部 | 西村 暢史 | ニシムラ ノブフミ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
CM-EW3-94XL
履修条件・関連科目等
Web登録科目です。
本授業科目を履修する上で、カリキュラム上の諸条件以外に履修条件はありませんが、マーケティング、流通、ミクロ経済学に関連する諸科目を履修している(履修した)場合、本授業科目の理解の助けとなると考えています。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
講義の進行や内容については、下記の「授業計画」および「その他特記事項」を「熟読」して履修することを強く推奨します。
●本講義では、企業の様々なビジネス活動に対する国家・法に基づくルールとしての独占禁止法(略称)という法律について解説します。
●本講義では、企業間で行われている様々な取引を、(1)商品サービスの流れに沿った様々な取引条件(価格、販売先、販売方法等)、(2)同業・異業種の他社との協力(紳士協定、業務提携、M&A等)という2つの場面で切り取って、それぞれの場面で見られる特定のビジネス活動が持つ独占禁止法上のリスクに触れてもらいます。その際、このリスクが生じる理由、つまり、独占禁止法に基づく規制の理由と、企業を取り巻く様々な市場の状況に関する法的な意味と評価方法を学修することになります。
●毎回の講義では、学修のイメージ獲得のために、最初に具体的なビジネスの事例や、仮想のビジネス活動を担当教員が提示し、講義参加間で検討してもらいます。これらの事例等は、結論として独占禁止法に違反しない事例も、違反する事例も両方取扱います。その後、教員が、独占禁止法上の考え方について解説します。
科目目的
●この科目は、カリキュラム上の「商学部分野別専門科目」として位置づけされています。この科目は、学科に関する専門的な能力を高めるため、経済と法律に関する幅広い知識を持つことを目的としています。
●特に、企業のビジネス活動が持つ法的なリスクは、通常、直接間接を問わず企業にとってのコストになっていきます。法的なリスクを事前に把握せずに、それにより生じる可能性のあるコストを直接的に背負い込む企業と、事前に可能な限りリスクに対処するシステムを持つ企業との中長期的な差異を考えてみてください。もちろん、法的なリスクを認識するためには、法律を知識として獲得するだけではなく、その使い方の修得が必要となりますが、本講義は、まず、独占禁止法の規制枠組みに関する知識の獲得を目指していきます。
到達目標
●本講義をすべて学修することによる到達(最終的状態)目標は、たとえば、次のような場合、独占禁止法の知識を前提に、様々な市場の状況を考慮した上で、独占禁止法上の問題が生じる可能性があるのか否かについて、説得力ある説明を行うことができるというものです。
(1)ある地域で大災害が起きた場合に、この地域に向けて仮設住宅の資材を全国から供給する際、全国の資材メーカーの平等なビジネス機会の配分と安売り等過当競争の回避のため、ほぼすべての国内資材メーカーが工場の生産能力を抑制して各社間で決めた自社の割当て分だけ資材を生産販売するという協定を締結する場合。
(2)大手量販店が、急激な不景気による業績悪化への対応のため、取扱う商品の仕入れ先である家電メーカーに対して商品代金の大幅な減額を要請する場合。
(3)同一都道府県内または隣接都道府県に位置する地銀同士の合併の場合。あるいは、ある特定の地域で家電量販店は、A、B、C(規模順)の3社で活発に競争を行っていたところ、Aとほぼ同じ規模となる合併計画をBとCが立てる場合
(4)インターネット上で検索サービスを提供し、また、販売者と購入者とを結びつけるビジネスも行っている企業が、今回自社製品を販売するに当たり、この自社製品と競合する他社製品を取扱わない、または、自社検索サイト上では複数回クリックしないと他社製品が見つからないようなプログラムを構築する場合。
(5)ある企業が自社商品の販売を行う際、ライバル企業の顧客のみに対して自社の仕入れ値(原価)を大幅に下回る価格を設定した場合。
(6)あるホテル飛行機手配等総合旅行価格比較サイトが、取引先のホテルに対して、そのホテル自身のHP上の価格や部屋の提供条件を自社サイトと同一の条件とすることを契約させた場合。
(7)複数のスーパーにおいて、従来無料であったレジ袋を一枚5円で販売することが合意され、その5円を環境保護団体に寄付することが明示された場合。
授業計画と内容
1 ガイダンス:市場と競争と法ルール:D社、N社、M社の戦略の異同
2 独占禁止法の知識と思考方法:市場と競争の法的な考え方
3 独占禁止法の経済社会における重要性:「競争法」という用語
4 価格設定(不当廉売・差別対価・再販):ザ・チャイナプライス
5 取引条件(排他条件付取引・拘束条件付取引):長期契約と全量契約
6 MFN条項、プラットフォーマーに対する規
7 取引強制(優越的地位の濫用・抱合せ):DVD販売価戦略
8 取引拒絶(ボイコット等
9 カルテル行為と法執行
10 カルテル行為と正当化事由
11 企業結合規制の概要
12 企業結合規制の具体例(水平型)
13 企業結合規制の具体例(垂直・混合型)
14 独禁法の最新動向の紹介
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・世の中の様々な企業の様々なビジネス活動に関して、常に興味と探索意欲を持つようにしてください。情報収集のアンテナの感度を磨いてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | ・計4~5回のレポートを総合的に判断して成績評価を行います。 ・レポートに関しては、独禁法の規制趣旨の理解を示した上で、レポート課題に論理的かつ具体的事例を交えて論述している点、そして、形式的諸要件を充足できているかに基づい評価します。特に形式的諸要件を充足しない(指定頁数超過、参考文献リストがない、タイトルがない、学籍番号および氏名がない)場合自動的に成績不合格(E)と判断します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
・河谷清文他著『経済法』(有斐閣、2023年)をテキストとして使用します。
・参考文献として、菅久修一『独禁法の授業をはじめます』(商事法務、2021年)、そして、泉水=長澤『実務に効く公正取引審決判例精選』有斐閣、2014年)を推薦します。
・公正取引委員会HP等に日常的にアクセスして情報収集に努めてください。
その他特記事項
ソフトウェアの利用なし
面接授業時の教室において感染症対策を十分に行った上で、同時に、面接授業時には個々人が感染症対策を十分に行うことが前提となります。
■授業の工夫■
・現時点では、可能な限り講義参加者によるディスカッション、質疑応答の時間を設定する予定とします。
・授業内での履修者個人の発話及び発言等による考えの共有、グループでの作業を「強く」求める予定です。この点を「十分に理解・受容」した上での履修を「強く」薦めます。