シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習Ⅱ | 2024 | 秋学期 | 火2 | 商学部 | 辻野 幸子 | ツジノ サチコ | 3年次のみ | 2 |
科目ナンバー
CM-IF3-12XS
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
主なテーマ:国際財務報告基準(IFRS会計基準)の研究
サブテーマ:① 「伝える力」、② サステナビリティ関連情報を含む企業報告全般の理解
1.IFRS会計基準の研究について
この授業では、IFRS会計基準の研究を主なテーマとして取り上げます。IFRS会計基準は、現在、世界中で広く採用されており、グローバルな見地から会計について議論する際には、IFRS会計基準の内容を十分に理解していることが求められます。また、日本においても、任意適用企業数が増加している中、IFRS会計基準の理解は、会計に携わる様々な立場の人にとっても重要なものとなっています。国際的な会計基準との比較可能性の観点から、IFRS会計基準は日本の会計基準の開発にも大きな影響を及ぼすようになっており、IFRS会計基準を学ぶことは、今後の会計基準について考え、理解するための基礎にもつながります。
演習I、IIでは、IFRS会計基準に関するテキストの輪読を行い、IFRS会計基準の内容と考え方についての理解を深めます。基準の内容や実務への影響を検討する際には、他者と意見交換をすることが非常に重要であることから、各回の担当は、2名以上を1組とし、共同で準備を進めてもらうことを想定しています。担当者の発表後は、全員でディスカッションし、基準の概要を適切に理解しているかを確認するとともに、日本基準との重要な差異や実務上の影響・論点等について検討します。
演習III、IVでは、各自テーマを決めてIFRS会計基準に関連する卒業論文を完成していただきます。また、会計基準を理解し、実務に適用していくためには、基準本文及び結論の背景を読み込み、設例やその論点に関する解釈指針委員会等の議論も踏まえて検討していくことが重要となります。そのため、演習III、IVでは、卒業論文の作成に加えて、ゼミ生の皆さんと相談して特定のIFRS会計基準を選択し、より詳細に研究することを想定しています。
2.サブテーマ2つについて
この授業では、上記のIFRS会計基準の研究に加え、「伝える力」とサステナビリティ関連情報を含む企業報告全般の理解の促進をサブテーマに設定しています。
皆さんが社会で活躍する際には、各自が目指す分野における専門的能力を高めることに加え、その内容を他者に適切に伝える力を養うことが非常に重要です。日々の発表を通じて伝える力(及び適切な質問力)を意識していただくとともに、レポート・卒業論文の書き方や伝える力の向上のための情報を各自が調査・考察し、演習内で共有する時間も設け、ゼミ生全体でプレゼン能力の向上を目指していければと思います。
また、これからの企業報告を考えるうえでは、会計基準について理解しているだけでなく、サステナビリティ関連情報等の重要性や制度動向等についても理解し、考慮していくことが不可欠となってきています。このような動きを踏まえ、演習IVにおいて、サステナビリティ関連情報の基礎知識や当該情報をめぐる動向を理解するための授業を複数回設けることとしています。
科目目的
この科目は、カリキュラム上の「商学部アドヴァンスト科目」であり、商学部スタンダード科目及び商学部分野別専門科目の発展的な科目として位置づけられています。この科目での学習を通じて、主体的学習能力を習得することを目的としています。
この授業の目的は、以下のとおりです。
・IFRS会計基準についての全般的な理解を深め、各自が選択した特定のテーマについて、わが国の会計基準との相違や企業実務への影響等も踏まえ深く考察し、卒業論文としてまとめる。
・ビジネスや研究を行っていく上で非常に重要なソフトスキルである「伝える力」の基礎を身につける。
・企業報告を考える上で必要な基礎知識を習得する。
到達目標
IFRS会計基準の概要と考え方を理解することが大きな目標となります。また、演習におけるレジュメや卒業論文の作成、発表等を通じて、自己の主張を論理的でわかりやすく、かつ明快に伝える力を養うことも目標としています。
授業計画と内容
[3年次](括弧内の数字は、テキストの該当ページです。)
演習I
第1 回 オリエンテーション、序章(P1-18)
第2回 第1章 概念フレームワーク(前半)1.1-1.4(P19-41)
第3回 第1章 概念フレームワーク(前半)1.5 及び 第2章 概念フレームワーク(後半)2.1(P41-64)
第4回 第2章 概念フレームワーク(後半)及び公正価値測定2.2-2.5(P64- 87)
第5回 第3章 IFRSにおける財務諸表の全体像 3.1-3.3(P88-114)
第6回 第4章 収益認識 4.1.1-4.1.2(1) (P121-139)
第7回 第4章 収益認識 4.1.2(2)-4.3(P139-150)
第8回 第5章 棚卸資産と生物資産(P151-172)
第9回 第6章 固定資産 6.1-6.2.2(P173-189)
第10回 第6章 固定資産 6.2.3-6.4(P190-P200)
第11回 第7章 リース 7.1(P201-217)
第12回 第7章 リース 7.2-7.3(217-224)、第3章 IFRSの初度適用(P115-P118)
第13回 第8章 負債の会計 引当金・偶発負債(P225-248)
第14回 演習Iで学んだ内容の総まとめ
演習II
第15回 第9章 従業員給付と株式に基づく報酬 9.1、9.3.1、9.4.1、9.4.2(P249-268、P282-284、P285-290)
第16回 第9章 従業員給付と株式に基づく報酬 9.2、9.3.2、9.4.3(P268-281、P284、P290- 291)
第17回 第10章 法人所得税(P292-P311)
第18回 第11章 金融商品11.1-11.1.6(P315-332)
第19回 第11章 金融商品 11.7-11.3 (P332-349)
第20回 第12章 外貨換算とヘッジ会計 12.1-12.2.4(P350-P367)
第21回 第12章 外貨換算とヘッジ会計 12.2.5-12.3(P368-P380)
第22回 第13章 他の企業への投資と連結財務諸表 13.1-13.1.3(P383-P405)
第23回 第13章 他の企業への投資と連結財務諸表 13.1.4-13.4(P405-420)
第24回 第14章 企業結合(P421-448)
第25回 IFRS会計基準をめぐる最新動向(IFRS第18号を中心に)
第26回 最近のIFRS解釈指針委員会での議論の状況
第27回 ゲストスピーカーによる講演を予定
第28回 演習IIで学んだ内容の総まとめ
[4年次]
注1:詳細研究の対象テーマは皆さんと相談して決定していく予定です。
注2:演習III、IVの演習内容は、ゼミの人数や進み具合に応じて、柔軟に対応します。卒業論文指導にさらに時間が必要な場合、そちらを優先します。
演習III
第1回 オリエンテーション
第2回 卒業論文のテーマ発表
第3回 卒業論文の書き方(1)(論文テキスト第1章-第4章)
伝える力の向上に向けて(1)「伝える力」とは?
第4回 特定のIFRS会計基準書の詳細研究(1)
第5回 特定のIFRS会計基準書の詳細研究(2)
第6回 特定のIFRS会計基準書の詳細研究(3)
第7回 特定のIFRS会計基準書の詳細研究(4)
第8回 特定のIFRS会計基準書の詳細研究(5)
第9回 上記で取り上げた基準をめぐる実務上の論点(1)
第10回 上記で取り上げた基準をめぐる実務上の論点(2)
第11回 卒業論文の構想案の発表(1)
第12回 卒業論文の構想案の発表(2)
第13回 卒業論文の構想案の発表(3)
第14回 卒業論文の書き方(2)(論文テキスト第5章-第6章)
伝える力の向上に向けて(2)資料作成のコツ(PPT、Word)
演習IV
第15回 卒業論文の書き方(3)(論文テキスト第7章から最後まで)
伝える力の向上に向けて(3)話し方、プレゼンのソフトスキル
第16回 卒業論文 中間報告(1)
第17回 卒業論文 中間報告(2)
第18回 卒業論文 中間報告(3)
第19回 卒業論文 中間報告(4)
第20回 サステナビリティ関連情報と企業報告(1)サステナビリティ関連情報に対するニーズの高まり
第21回 サステナビリティ関連情報と企業報告(2)サステナビリティ・トピックの基礎知識
第22回 サステナビリティ関連情報と企業報告(3)サステナビリティ関連情報と財務諸表、国内外の制度
第23回 サステナビリティ関連情報と企業報告(4)サステナビリティ開示基準
第24回 ゲストスピーカーによる講演を予定
第25回 IFRS会計基準をめぐる最新動向
第26回 卒業論文 最終報告(1)
第27回 卒業論文 最終報告(2)
第28回 演習の総まとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・発表担当回:レジュメの作成、発表準備
・上記以外の回:配布されたレジュメの読込み、質問・確認したい点、議論したい論点の事前検討
・卒業論文の執筆
・合宿(全員参加)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 60 | 授業中における質疑応答、議論への積極的な参加、討議内容により評価します。 |
その他 | 40 | 発表担当回の発表内容及び提出物に基づき評価します。4年次においては、卒業論文を含みます。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
公認会計士。有限責任あずさ監査法人 パートナー(現職)。
1994年10月から現在に至るまで、同監査法人にて、会計監査や会計アドバイザリ-業務、サステナビリティ本部業務等に従事したほか、長年にわたり法人の品質管理業務に従事し、会計基準等の情報収集・提供業務、研修・セミナー講師、執筆活動などを行っている。また、公認会計士として、公認会計士試験試験委員(財務会計論、2017年12月-2021年1月)、企業会計基準委員会(ASBJ)の収益認識専門委員会専門委員、日本公認会計士協会(JICPA)が設置する各種委員会の委員などに従事。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
公認会計士としての実務経験やASBJ及びJICPAの委員会における経験等を踏まえ、会計基準そのものの理解に加え、会計基準の背景にある考え方や実務上の論点、サステナビリティ関連情報との関連性等、実務を行ううえで役立つ内容を盛り込む予定です。
テキスト・参考文献等
【テキスト】
・IFRS:「論点で学ぶ国際財務報告基準(IFRS)」山田辰己・あずさ監査法人著(2019年、新世社)
・論文の書き方テキスト:「最新版 論文の教室 レポートから卒論まで」戸田山和久著(2022年、NHKブックス)
【参考資料・書籍】
いずれもシラバス作成時点の情報で記載しています。最新版が出ている場合は、それを使用してください。
・「The IFRS® Accounting Standards」IASB
・「IFRS会計基準(注釈付き)IFRS財団公認日本語版」(中央経済社)
・「詳細解説IFRS実務適用ガイドブック第3版」あずさ監査法人編・山田辰己責任編集(2023年、中央経済社)
・「会計基準の考え方 学生と語る23日 三訂版」西川郁生著(2023年、税務経理協会)
・「エッセンシャルIFRS(第7版)」秋葉賢一著(2022年、中央経済社)
・「IFRS会計学基本テキスト第7版」橋本尚、山田善隆著(2022年、中央経済社)
・「IFRSの本質 第I巻(改訂版)、第II巻(改訂版)、第III巻」山田辰己著(税務経理協会)
その他特記事項
[注意事項]
・この授業は、皆さんの主体的な学習を前提としています。毎回十分に準備し積極的に議論に参加することを期待します。
[ソフトウェアの利用]
Word、PPT、エクセル以外のソフトウェアの利用なし