シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習1 | 2024 | 通年 | 火5 | 経済学部 | 八田 幸二 | ハッタ コウジ | 2年次のみ | 4 |
科目ナンバー
EC-OM2-01XS
履修条件・関連科目等
<選考方法>
面談のみです。筆記試験などは、一切ありません。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、協調性及び自己管理力(専門知識を活かせるだけでなく、チームワークの経験から学んで、他人と協調し、自己を管理することができる)の修得に関わる科目です。また、創造的思考力(総合的な学習体験に基づいて、ものごとを創造的に思考することができる)の修得に関わる科目です。
テーマ:「現代の政治・経済思想―政府の果たすべき役割をめぐって」
このゼミでは、現代の政府の果たすべき役割に関する問題を「数式」や「グラフ」を使った経済理論ではなく、私たちが日常使用している「言葉」で表現された「政治・経済思想」を通じて検討していきます(近年では、新自由主義や福祉国家に関する書籍や、ゼミ生の多数を女性が占めていることもあって、偉大な自由主義者J.S.ミルの『女性の解放』を検討しました)。
毎週の授業では、テキストを輪読形式で検討して議論を行ないます。また、授業のための資料を収集することに困らないように図書館の利用に関する講習会も設定しています。そして、統計資料の解析ができるようになったり、Power Pointを使用してテキストの内容報告ができるようになるためのパソコン講習会もゼミの時間に設定しています。なお、毎回のゼミでは、ゼミ生の人数を考慮して、一人だけに負荷がかかり過ぎないようにしながら授業を進めていきます。
科目目的
政治・経済思想の歴史を理解するとともに、その政治・経済思想の歴史と現在の政治・経済の諸問題とを有機的に関連づけて、それに対する自分なりの考えをもつことができるようになることがこの科目の目的です。また、その自分なりの考えを自らの言葉で論理的に述べることができるようになることもこの科目の目的です。
到達目標
上記の目的を達成するために、具体的には以下の到達目標を設定します。
【演習1】文献の輪読授業を通じて、以下の目標を達成します。
○全員が間違いを気にせずに臆することなく発言し、討論に参加できるようになること。
【演習2】討論・プレゼンテーション原稿の作成の準備として、関連文献を精読することを通じて筋道を立てて物事を考えられるようになること。
【演習3】演習論文の作成を通じて、以下の目的を達成します。
①演習論文の執筆を通じて、3年次に養った筋道を立てて物事を考える力を基礎に、論理的な思考方法を身につけること。
②他者の演習論文に対して原稿段階からコメントすることを通じて、単なる非難ではない鋭い批判的能力を身につけること。
授業計画と内容
【演習1】(2年次)
2年次には、ゼミナールでの学習の仕方に慣れるために入門的なテキストから読み始めていきます。また、パソコンによってより良いプレゼンテーションの原稿を作成することができるようになるためにパソコン講習会に参加します。そして、図書館講習会の受講を通じてゼミでの学習のために必要な資料収集の仕方も学びます。
【演習2】(3年次)
3年次には、2年次の基本的な文献の学習によって得た知識を基にして、より本格的な専門書や論文を輪読し、学生による討論を行なう大会に参加することを目標に、その準備(テーマ設定、Power Pointによるプレゼンテーションの原稿作成、外部機関(民間企業や公的機関など)でのインタビューやフィールドワーク)を進めていきます。そして、専門書や論文を読むことによって得た知識に基づき、それぞれの興味関心に沿った演習論文のテーマを決めていきます。
【演習3】(4年次)
4年次(後期)には、3年次に設定したテーマに基づいて演習論文の執筆を進めていきます。「卒業論文」の執筆のためにどのような参考文献を読むべきかといったことや論文の構成をどのようにすべきなのかといったことなどについて教員がアドバイスをしていきます。
【演習1・2・3】の各授業では、具体的には以下のような項目に沿って現代の市場と政府をめぐる政治・経済思想について学んでいきます(ただし、使用するテキストによって、あるいは授業の進度やパソコン講習会の回数などによって、変更が生じる場合があります)。
【演習1】(2年次)
<前期>
〇政治・経済思想に関するテキストの輪読と討論、パソコン講習会や図書館講習会への参加
第1回 顔合わせとゼミでの学習方法について
第2回 Word講習会(レジュメ作成のために基本的な操作を習得する)受講(いずれかの回と変更の可能性あり)
第3回 テキスト第1章(前半)の報告と討論
第4回 テキスト第1章(後半)の報告と討論
第5回 Excel講習会(経済データ分析のための関数およびデータベース)受講(いずれかの回と変更の可能性があります)
第6回 テキスト第2章(前半)の報告と討論
第7回 Power Point講習会(パソコンで報告原稿を作成できるようにするため)受講(いずれかの回と変更の可能性があります)
第8回 テキスト第2章(後半)の報告と討論
第9回 図書館講習会(講読が必要な文献や資料へのアクセスを容易にするため)受講(いずれかの回と変更の可能性があります)
第10回 テキスト第3章(前半)の報告と討論
第11回 テキスト第3章(後半)の報告と討論
第12回 テキスト第4章(前半)の報告と討論
第13回 テキスト第4章(後半)の報告と討論
第14回 テキスト第5章(前半)の報告と討論
<後期>テキストの報告と討論の継続
第15回 テキスト第5章(後半)の報告と討論
第16回 テキスト第6章(前半)の報告と討論
第17回 テキスト第6章(後半)の報告と討論
第18回 テキスト第7章(前半)の報告と討論
第19回 テキスト第7章(後半)の報告と討論
第20回 テキスト第8章(前半)の報告と討論
第21回 テキスト第8章(後半)の報告と討論
第22回 テキスト第9章(前半)の報告と討論
第23回 テキスト第9章(後半)の報告と討論
第24回 テキスト第10章(前半)の報告と討論
第25回 テキスト第10章(後半)の報告と討論
第26回 テキスト第11章(前半)の報告と討論
第27回 テキスト第11章(後半)の報告と討論
第28回 授業の総括
【演習2】(3年次)
<前期>日頃の学修成果の発表・討論のための準備
第1回 第1班の研究プロット〔課題・本論・結論〕の確定
第2回 第2班の研究プロット〔課題・本論・結論〕の確定
第3回 第3班の研究プロット〔課題・本論・結論〕の確定
第4回 第4班の研究プロット〔課題・本論・結論〕の確定
第5回 第1班の報告原稿の進捗状況中間報告
第6回 第2班の報告原稿の進捗状況中間報告
第7回 第3班の報告原稿の進捗状況中間報告
第8回 第4班の報告原稿の進捗状況中間報告
第9回 第1班の報告原稿の進捗状況中間報告に関する討論
第10回 第2班の報告原稿の進捗状況中間報告に関する討論
第11回 第3班の報告原稿の進捗状況中間報告に関する討論
第12回 第4班の報告原稿の進捗状況中間報告に関する討論
第13回 各班のフィールドワーク(状況に応じて、企業や公的機関などへの調査)実施予定に関する報告
第14回 合宿における学習計画の立案
<8~9月頃>
①フィールドワーク(状況に応じて、企業や公的機関などへの調査)
②夏合宿、報告原稿の暫定校完成
<後期>
第15回 第1班の報告原稿の内容修正
第16回 第2班の報告原稿の内容修正
第17回 第3班の報告原稿の内容修正
第18回 第4班の報告原稿の内容修正
第19回 第1班の報告原稿の内容最終確認
第20回 第2班の報告原稿の内容最終確認
第21回 第3班の報告原稿の内容最終確認
第22回 第4班の報告原稿の内容最終確認
第23回 第1・2班の今後の課題の整理
第24回 第3・4班の今後の課題の整理
第25回 演習論文への取り組みについて
第26回 演習論文 仮テーマ報告(履修者のうち最初の半数)
第27回 演習論文 仮テーマ報告(履修者のうち残りの半数)
第28回 授業の総括
※状況に応じてインナー大会やインター大会に参加しない場合には、授業の予定が変更になる可能性があります。
【演習3】(4年次)
<前期>
〇可能な限りで、月に1回程度の顔合わせ
<後期>
①演習論文の執筆(報告と討論)
②演習論文提出後の論文集製本
第1回 演習論文の書き方について(報告順番の確定を含む)
第2回 第1回報告(履修者のうち最初の半数)テーマ、研究課題、プロットの報告
第3回 第1回報告(履修者のうち残りの半数)テーマ、研究課題、プロットの報告
第4回 第2回報告(履修者1~4番) 論文のうち1つの章の草稿または各章の要旨
第5回 第2回報告(履修者5~8番) 論文のうち1つの章の草稿または各章の要旨
第6回 第2回報告(履修者9~12番) 論文のうち1つの章の草稿または各章の要旨
第7回 第2回報告(履修者13~15番) 論文のうち1つの章の草稿または各章の要旨
第8回 第3回報告(履修者1~4番) 論文全体の草稿
第9回 第3回報告(履修者5~8番) 論文全体の草稿
第10回 第3回報告(履修者9~12番) 論文全体の草稿
第11回 第3回報告(履修者13~15番) 論文全体の草稿
第12回 第4回報告(履修者1~5番) 完成原稿の報告
第13回 第4回報告(履修者6~10番) 完成原稿の報告
第14回 第4回報告(履修者11~15番) 完成原稿の報告
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間内における討論は指定したテキストの範囲の内容を把握していることが前提となりますので、必ず事前に読み込んでから授業に参加するようにしてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 30 | 提出されたレポートにおいて課題文献の内容が正確に把握されているか、そして、文章が論理的に構成されているかといったことを評価の基準にします。 |
平常点 | 70 | 平常点の評価は、レジュメの程度が10%、プレゼンテーションの程度が10%、授業への取り組み態度が50%で、合計70%になります。 |
成績評価の方法・基準(備考)
【演習1】
レポート課題 30%
作成したレジュメの程度 10%
行なったプレゼンテーションの程度 10%
授業への取り組み態度 50%
【演習2】
レポート課題 30%
作成したレジュメの程度 10%
行なったプレゼンテーションの程度 10%
授業への取り組み態度 50%
【演習3】
演習論文の完成度 50%
授業への取り組み態度 50%
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業で読み進めるテキストや参考文献は、初回授業で受講生と相談して決めたいと思っていますが、参考までに以下のものを候補として挙げておきます(テキストや参考文献は初回授業以降に決定しますので、予め購入はしないでください)。
〇J.S.ミル『女性の解放』,岩波書店,1957年。
〇T.H.マーシャル『シティズンシップと社会的階級』岩崎信彦ほか訳,法律文化社,1993年。
〇D.ガーランド『福祉国家ー救貧法の時代からポスト工業社会へー』小田透訳,白水社,2021年。
〇A. ヴォール『福祉国家の興亡』渡辺雅夫訳,こぶし書房,2013年。
〇C. ピアソン『曲がり角に来た福祉国家ー福祉の新政治経済学ー』田中浩ほか訳,未来社,1996年。
〇D. ハーヴェイ『新自由主義ーその歴史的展開と現在ー』渡辺治監訳,作品社,2007年。
〇長谷川貴彦『イギリス現代史』,岩波書店,2017年。
〇田中拓道『リベラルとは何かー17世紀の自由主義から現代日本まで』,中央公論新社,2020年。
その他特記事項
毎回のゼミ授業における討論やプレゼンテーションの成果として、加入時にはシャイだったゼミの先輩たちの多くは、厳しい「就職活動」をくぐりぬけて、銀行員や証券マンといった職に就いたり、公務員や教員に採用されたりしています。自分のことを「大人しく」、「引っ込み思案」だと思っている皆さん、是非、この八田ゼミで一緒にがんばりましょう。