シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日本政治史料講読A2 | 2026 | 秋学期 | 木4 | 法学部 | 山田 博雄 | ヤマダ ヒロオ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PS3-028S
履修条件・関連科目等
(木曜4時限)
日本近代史や日本思想史などを学んでいるに越したことはありませんが、特にということではありません。むしろ、いま生きているこの社会をよりよく知りたいという知的好奇心をもつ人が好ましいでしょう。公務員、教師、ジャーナリストなどを志望する人や、大学院進学を考えている学生などが履修するのに向いているかと思います。
本講座は通年で一冊の本を通読し読み切るよう計画されていますので、できるかぎり春学期の「A1」も受講することが望ましいです。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
「今後に要する所は、豪傑的偉人よりも哲学的偉人を得るにあり」──未来の日本に向けて、20 世紀の始まった年にこう喝破したのは中江兆民(1847-1901)です。
21世紀に入り、殊にここ数年の日本および世界の状況は、さまざまな事柄を根本から考え直していかなければならぬ時代に至っています。危機的状況は、変革の好機と捉えることもできます。日本についていえば、この150年の間に2度、そのような状況を経験しています。幕末維新とアジア・太平洋戦争です。
本講座では、最初の危機的状況である維新期に書かれた、中江兆民の『三酔人経綸問答』(1887)を読みます。この本には、民主主義や国際関係だけでなく、思想の育成や伝播、現実と理想の関係など、まさに今、目の前で進行している重要な問題が、三人の酔っぱらいによって、面白く展開されています。その議論を読み込んで、受講者とともにさまざまな考えに触れていたいと考えます。
(方針)①履修者にテキストを朗読してもらいます。②内容の意味を説明します。③およそ毎回、授業内容についての要点などを書いてもらうことにします(翌週に寸評をつけて返却する予定です)。
科目目的
①漢文崩しの日本語解読力を身につけること。
②それによって日本の過去の著作と、現在との「対話」を容易におこない得るようになること。
③そして、つまるところは私たちが生きている「世界」という書物を、自分なりに広く、深く、楽しく読み解けるようになること。
他方で、以上すべての根底を貫いて、
④「事実」の尊重とそれに基づく「合理的推論」を基本とし、その精神と技術を修得することがこの講読の目的です。
そしてもう一つ。学問は「問い」と切り離せません。何を、いかに「問う」か。それは各受講者それぞれの課題です。「答え」でなく「問い」こそが、学問における最も重要なことの一つともいえるでしょう。
すなわち到達目標は、自ら問いを立て、その問いを自ら答えようとすることができるようになることです。授業で扱う古典はそれを手助けしてくれるはずです。
到達目標
漢文崩しの日本語の解読力を、ある程度読めるようになり(ということは、近現代日本語で書かれた文章はおおよそ読めるようになるということです)、古典との対話を通して、近現代150年の日本のなかの、現在のわたしたちの置かれている状況を客観的に分析できるようになること、そしてその分析をとおして、これからいかに行動すべきか、自問自答できるようになることです。
授業計画と内容
第1回 春学期の復習、教科書(160-163頁)講読および配布プリント解説
第2回 教科書(163-166頁)講読および配布プリント解説
第3回 教科書(166-169頁)講読および配布プリント解説
第4回 教科書(169-171頁)講読および配布プリント解説
第5回 教科書(171-174頁)講読および配布プリント解説
第6回 教科書(174-176頁)講読および配布プリント解説
第7回 教科書(176-178頁)講読および配布プリント解説
第8回 教科書(178-181頁)講読および配布プリント解説
第9回 教科書(181-183頁)講読および配布プリント解説
第10回 教科書(183-186頁)講読および配布プリント解説
第11回 教科書(186-190頁)講読および配布プリント解説
第12回 教科書(190-193頁)講読および配布プリント解説
第13回 教科書(194-198頁)講読および配布プリント解説
第14回 教科書(198-206頁)講読および配布プリント解説
・授業の最後に、ほぼ毎回、講読箇所および配布プリントについての感想などを書いてもらいます。それについて次回、寸評をつけて返却します。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
ほとんどの受講生にとって母語である日本語を音読することは、稀でしょう。しかし学習する時に、『三酔人経綸問答』のような古典は「声に出して」読むようにするといいと思います。
明治期、文章は音読されることを想定して書かれました。文章は声に出してこそ、面白さ、力強さを感じることができ、内容に集中するのにも有効です。
漢文崩しの日本語は、意味だけでなく「音」としてもそれ自体興味深いものです。それにそもそも「ことば」は「音」で出来ているものでもありますから。
また、授業で配布するプリントに掲げられた参考文献なども自分で、できるかぎり積極的に読むようにしてください。プリントは、できるかぎり新たな視野がひらけて、思いがけない発見があるものを提示したいと考えています。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| レポート | 50 | ①毎回の授業で学んだことを、文章によってできるかぎり正確に客観的に表現できるか確認するためと、②授業内では読めない書籍を読んでもらうための課題図書を指定し読んでもらいます。 以上①②を課題レポートとし、提出を求めます。 |
| 平常点 | 50 | 授業で受講生に音読してもらい、よく読めるか、意味は正確にとらえられているかを見ます。授業の性質上(演習科目に準ずる少人数の科目)、言うまでもなく毎回の出席は大切です。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
■テキスト
中江兆民 『三酔人経綸問答』岩波文庫
■参考書
中江兆民 『三酔人経綸問答』 光文社古典新訳文庫
なだいなだ『TN君の伝記』福音館書店(これは必読文献とします)
飛鳥井雅道『中江兆民』 吉川弘文館(これは次の松永昌三の本とともにどちらか一方を選択の必読文献とします)
松永昌三 『中江兆民評伝』上・下 岩波書店(これは上記飛鳥井雅道の本とともにどちらか一方を選択の必読文献とします)
木下順二・江藤文夫編『中江兆民の世界──「三酔人経綸問答」を読む』筑摩書房(品切。図書館などを利用してください)
田中豊『儒学者兆民』創元社
山田博雄 『中江兆民 翻訳の思想』 慶應義塾大学出版会
なお、電子辞書をもっている人は持参してください。
その他特記事項
■授業の工夫■
「科目目的・到達目標」にあるとおり、少々大げさのようですが、「世界」という書物を自分なりに読み解けるようになることが目標です。何のために? 古典を使って今現在の社会の価値観を相対化し、よりよい見通しを与えて、自分がどう考え、どう行動すべきかを模索していくために、です。
広い意味での「読解力」とはそういうものではないでしょうか。そのために教科書以外にも、様々なプリントも配布して理解を深めたいと思います。
■授業の工夫■
いま、本をあまり(または全然!)読まない学生がいるようです(全体の半分以上?!)。しかし、そういう人も、社会人になると(学生は読書が本分のはずですが)、読書の、というよりは知識の必要性を全く感じない人はほとんどいないのではないでしょうか? それだけでなく、時代がどんなに変わっても本を読むことでしか得られないことはあり、また読書それ自体が愉しい行為でもあります。それを知らないとはいかにも損な話。
本講座ではその点も考慮したいと思います。学校の「勉強」と日々の暮らしでの「学び」とをいかに繋ぐか、一緒に考えてみませんか。