シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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有機化学3B | 2025 | 後期 | 木2 | 理工学部 | 福澤 信一 | フクザワ シンイチ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-BC3-6B16
履修条件・関連科目等
必修の有機化学科目を単位修得済みであること,および有機化学2または3Aを履修していること(単位修得は問いません)。本講義の序論で3年前期までの有機化学の復習をするので,有機化学の基礎原理が理解できていれば履修可能です。有機化学およびこれに関連する研究を行っている研究室で卒業研究を行う予定の人および有機化学系の研究室に大学院進学(他大を含む)を希望している人は履修を奨めます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
ケトンやアルデヒドのようなカルボニル化合物の反応は多彩で,有機反応の中で最も面白くエキサイティングで,これらを学んでこそ有機化学を学んだと言えます。カルボニル縮合反応は,カルボニル化合物の組み合わせが多様で,反応も多様なため,多様な有機化合物を合成していくためには有効な合成法です。ケトン,アルデヒドなどのカルボニル化合物の反応性の他,アミンやヘテロ環の合成と反応に関して講義し,カルボニル縮合反応と合わせて,医薬品などのファインケミカルズ合成に応用する合成計画の立て方についてトレーニングします。さらに,「有機反応がなぜ起こるのか,どのようにして起こるのか」を理論的に理解するために,分子軌道の概念関しても講義します。Diels-Alder反応などのペリ環状反応を例に,Woodward-Hoffman則やフロンティア軌道法により反応の経路を推察する方法を学びます。
科目目的
有機化学の基礎原理に関して理解を深める。
卒業研究や大学院の研究に必要な基礎有機反応・合成化学に関する理解を深める。
卒業後,教養人として有機化学の果たしている社会的役割,人々の生活を豊かにしていることを啓蒙する。
到達目標
本講義では,先ず、有機金属反応剤やヒドリド還元剤とカルボニル化合物との反応の復習をし,次にこの反応の立体化学に関して講義をします。不斉炭素を持つケトンやアルデヒドとの立体選択的反応(Felkin-Ahn則)から始まり,キラル反応剤を用いた不斉合成へと講義内容を展開します。カルボニル化合物のα置換反応、カルボニル縮合反応,すなわちアルドール縮合やクライゼン縮合に関し講義を行う。更に,金属エノラートの性質を利用した立体選択的アルドール縮合や,キラル補助基を利用する不斉アルドール縮合についても講義を行う。アミンと窒素ヘテロ環化合物の合成と反応に関し理解し,これらの反応を利用したファインケミカルズの合成計画がたてれることを目的とします。最後に,有機化学反応を物理化学的に説明する分子軌道の概念,すなわちWoodward-Hoffman則やフロンティア軌道法について講義を行う。
1. 各種有機金属反応剤やヒドリド還元剤の特長を理解する。
2. カルボニル化合物のエノール・エノラートが関与する一連の反応について理解する。
3. カルボニル縮合反応の中で,教科書に記載の人名反応とその反応機構を描ける。
4. 不斉合成の概念が理解できる。
5. すべての有機化学反応を利用して多段階のファインケミカルズ合成計画が立てれること。
6. 化学を専門としない職業に就いたときに,その社会で活かせる教養としての有機化学の知識を身につける。
授業計画と内容
第1回 有機金属反応剤とヒドリド反応剤とカルボニル化合物との反応
第2回 求核剤とカルボニル化合物との反応の立体化学:Felkin-Ahn則
第3回 ケトーエノール互変異性とエノラートの化学
第4回 ケトン・アルデヒド・カルボン酸のαーハロゲン化
第5回 α水素の酸性度とエノラートのアルキル化
第6回 エノラートのアルキル化の立体化学
第7回 アルデヒド・ケトンのアルドール縮合反応
第8回 アルドール縮合の立体化学と不斉合成
第9回 エステルの縮合および関連の反応
第10回 Michael付加反応,Robinson環化反応
第11回 エナミンの化学:Storkのエナミン反応,Mannich反応,有機触媒
第12回 アミンの合成と反応
第13回 Woodward-Hofmann則とフロンティア軌道法
第14回 到達度確認
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
講義のスライドはほとんど教科書に記載してありますので,教科書をよく読み,予習の段階でハンドアウトの空白分は埋めておくと講義に集中できます。スライドの内容を写すよりも,講義を聴くことに集中して下さい。 講義中の宿題は全て自ら解答するように心がけてください。解答が難しい問題や質問がある場合は,オフィスアワーに相談に来てください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 学年試験の内容は,ケトン・アルデヒドの求核付加反応,カルボニルαー置換反応,カルボニル縮合反応,アミン,分子軌道と有機反応から均等に出題する。各項目ごとの正解率が60%以上を合格基準とする。 |
成績評価の方法・基準(備考)
各項目ごと,すなわち「ケトン・アルデヒド,カルボニルαー置換反応,カルボニル縮合反応,アミン,分子軌道と有機反応」,それぞれの理解度(到達度)が60%以上を合格の基準とする(すべての項目に関して到達度60%以上)。全く理解できていない項目が複数ある場合は不合格となる。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:マクマリー著, 伊東・児玉ら訳「マクマリー有機化学 第9版 上・中・下」(東京化学同人)有機化学(必修・選択必修)の講義で共通
参考書:S. McMurry著, 「マクマリー有機化学 問題の解き方(第9版) 英語版」(東京化学同人)
その他特記事項
参考URL
https://sites.google.com/view/gousei2026