シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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中国語学演習(1)(2) | 2025 | 通年 | 水4 | 文学部 | 石村 広 | イシムラ ヒロシ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
LE-LG3-E804,LE-LG4-E809
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業では、文献資料の読解、テーマ別の調査報告を中心に進めます。
動補構造文や“把”構文、“被”構文といった現代中国語における主要な構文を取り上げ、初級の授業で学習した内容を確認するとともに、そこでは扱うことができなかった中級レベル以上の重要な文法事項や用例などについて学んでいきます。また、歴史文法や方言文法との違いにも目を配りながら、現代語の文法特徴を浮き彫りにしていきます。今年度は主に「動詞+補語」構造を取り上げる予定です。
中国語も人間が話すことばである以上、一般性と個別性という2つの性格を併せ持っています。英語のような欧米の言語からみれば「特殊」とされる構文にも、中国語固有の規則が働いています。この授業では、一般言語学や言語類型論の基礎知識を踏まえつつ、ことばの分析を通じて「漢民族とは何か」を考えるきっかけを提供したいと考えています。
文法関係以外にも、適宜、普通話の成立過程など広く中国語に関連するテーマを取り上げるつもりです。
中国語は、紀元前14世紀ごろに使われていた甲骨文字の時代(殷代後期)まで遡ることができる、世界でも稀有な言語です。漢人、胡人、夷人の言語が混ざり合って生じた中国語(漢語)の歴史について知ることは漢民族の歴史について知ることであり、実用語学としての中国語に対する理解を深めることにも繋がります。ことばの仕組みに関心を持っている人の参加を歓迎します。
科目目的
本科目の主な目的は、次の2点です。
1.中国語で書かれた文献資料を精確に読み解く力を養い、中国語構文の分析手法を身につける。
2.文献調査の方法や学術レポートの書き方を習得する。
1に関しては、これまでに身につけた語学力を活かしながら、中国語で書かれた文献を読み進めていきます。中国語の種々の現象を観察し、教科書で学んだ学校文法よりも踏み込んだ議論を行います。文法は理屈っぽくて敬遠されがちですが、文が形成される仕組み(=規則)を扱う分野なので、本質的な部分はシンプルで理解しやすいはずです。専門的な用語が出てくるので、中国語学概論を履修済みであることが望ましいですが、その都度確認しながら進めます。
2に関しては、授業での調査報告(口頭発表)とレポートの作成が中心になります。調査報告の担当者は、事前に綿密な調査と論旨明快な資料の作成が求められます。
到達目標
中国語の文法構造について自分の力で考察・分析する力、中国語文献を読み込む力、文献調査のスキルと論理的に思考する力を身につけることが本科目の目標です。
到達度を確認するために、学期末に筆記テストを行うことがあります。
授業計画と内容
前期
1.ガイダンス
2.基本文献を読む①:シナ・チベット語族(漢蔵語系)の仮説
3.基本文献を読む②:漢語系言語について
4.基本文献を読む③:普通話と北京方言
5.調査報告: 普通話の成立過程
6.基本文献を読む④:中国語の「補語」とは何か
7.基本文献を読む⑤:「動詞+補語」構造の種類
8.基本文献を読む⑥:結果補語の種類
9.調査報告:「動詞+結果補語」構造の成立過程
10.基本文献を読む⑦:方向補語の種類
11.基本文献を読む⑧:単純方向補語
12.基本文献を読む⑨:複合方向補語
13.調査報告:「動詞+方向補語」構造の成立過程
14.前期のまとめ
後期
1.ガイダンス
2.基本文献を読む①:可能補語の種類
3.基本文献を読む②:可能補語の使い方
4.基本文献を読む③:可能補語を用いたイディオム
5.調査報告: 中国語の可能表現に関するまとめ
6.基本文献を読む④:介詞補語とは何か
7.基本文献を読む⑤:介詞補語の種類
8.基本文献を読む⑥:介詞補語の分析上の問題点
9.調査報告:介詞補語と状語(連用修飾語)の違い
10.基本文献を読む⑦:様態補語の種類
11.基本文献を読む⑧:様態補語の使い方
12.基本文献を読む⑨:様態補語の分析上の問題点
13.調査報告:様態補語は補足語か
14.後期のまとめ
※上の授業計画はおおよその目安です。対面型で行う場合を想定しています。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 40 | レポートを複数回課します。特に学期末レポートを重視します。 |
平常点 | 60 | 出席状況、授業に取り組む姿勢、課題発表(中国語の音読と和訳、調査報告)の出来などが含まれます。 |
成績評価の方法・基準(備考)
・基本的に平常点60%、レポート40%で評価します。平常点には、出席回数、授業に取り組む姿勢、課題の提出、発表の出来などが含まれます。特に課題の発表・報告(プレゼン)を重視します。
・授業への出席は当然のことであり、出席不足は単位認定に影響するので、十分注意すること。
・前期・後期の学期末に、それぞれ1本ずつレポートを提出することを単位取得の条件とします。
・学期末に授業で扱った文献資料(中国語)の読解力を問う確認テストを行います。
・4年次には、卒業課題研究または卒業論文のいずれかを選択し、担当教員の指導のもと、執筆・提出することが求められます。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
<テキスト>
教材資料をこちらで用意します。
<参考文献>
・朱徳熙著『文法講義』、白帝社、1995年
・劉月華他著『実用現代漢語語法』(第3版)、商務印書館、2019年
その他特記事項
・2021年度以降に入学した4年生で「卒業論文」を選択しないは、「卒業課題研究」を必ず履修してください(卒業要件となります)。
・中国語学分野で卒業課題研究または卒業論文を執筆する人は、本授業終了後に研究指導を行うことがあるので、残れるように時間を空けておいてください。なお、第1回指導は初回の授業の後に行います。
・提出しても一定の学術レベルにとどいていないと判断された課題レポートは、当然のことながら不合格になります。時間をかけて真剣に取り組んでください。
・調査報告の当日に担当者が無断欠席することを固く禁じます。評価に著しく影響しますので、気を付けてください。
・4年次生で今年度演習科目を2つ以上履修する学生は、個別に確認することがあるので、4月中に申し出てください。