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シラバスデータベース|2025年度版

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ホーム > 講義詳細:エイジング生物学

シラバス

授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科など 担当教員 教員カナ氏名 配当年次 単位数
エイジング生物学 2025 前期 月4 理工学部 原 孝彦 ハラ タカヒコ 3年次配当 2

科目ナンバー

SE-BI3-9C22

履修条件・関連科目等

分子細胞生物学の基礎を習得していること。

授業で使用する言語

日本語

授業で使用する言語(その他の言語)

授業の概要

すべての生物は寿命を持つ。

2023年に、高等動物の寿命を決めている12の要素 (12 hallmarks of aging)として、

1)ゲノムDNAの不安定性
2)テロメアの摩耗
3)エピゲノム修飾
4)不良タンパク質の蓄積
5)オートファジー不全
6)栄養センサーの変調
7)ミトコンドリアの機能不全
8)セネッセンス細胞の蓄積
9)幹細胞の枯渇
10)細胞間のミスコミュニケーション
11)慢性炎症
12)腸内細菌叢の異常

が提唱された。初めて耳にする言葉が多いかも知れない。人間のような長寿生物の場合、上記の1要素でも限界点を超えると、がん、心臓病、糖尿病、認知症などの難治性疾患にかかる可能性が高まる。しかし、私たちの体には実に多彩な防御システムが先天的に備わっており、「健全な暮らし」さえ続けていれば問題ない。

この講義では、この「健全な暮らし」とは何か、最新の科学的知見に基づいてわかりやすく解説する。生物の寿命を決めているものは何かを探る研究は、多くの生命科学者たちを魅了してきた。そこには、生物学の教科書からは学べない波乱万丈で面白いストーリーが沢山ある。私の役割は、それらをくまなく皆さんにお話しすることである。アンチエイジング薬、幹細胞、がん免疫療法、腸内細菌など、注目を浴びている研究トピックについても適宜紹介していく。

私たち人間を含めた動物の老化と寿命が巧妙に調節されていることを学び、医療系分子生物学の魅力と将来性を感じ取っていただけると幸いである。この授業は、生命科学科の設置以来15年に渡って開講しているユニークな科目である。

科目目的

人間を含めたすべての動物に共通している老化のメカニズムを基礎から習得することを目的とする。これまで積み重ねてきた生命科学の学術的知識を総動員できる、仕上げの場と位置付けていただけると幸いである。また、生涯に渡って、自分自身の健康を維持していくための知識を習得するための講義でもある。

到達目標

老化の仕組みを科学的に理解することは、生命活動の基本原理を知る上で重要なだけでなく、私たち自身の健康管理と様々な疾病の発症予防に役立つ。

この講義では、

①「生物の寿命は何によって決められているのか」を理系大学生にふさわしい言葉で家族や友人に説明できるようになること、

そして、

②アンチエイジング薬の開発や先端的な医学研究の進め方を理解するための基礎知識を習得すること、

を最終目標とする。

授業計画と内容

第1回 イントロダクション:生物の寿命は何によって決まる?
第2回 細胞の寿命(1):細胞の分裂寿命とテロメラーゼ
第3回 細胞の寿命(2):p53とp16
第4回 個体の寿命(1):酸化ストレスによる老化の促進
第5回 個体の寿命(2):インスリン/IGF-1シグナル経路
第6回 個体の寿命(3):酵母の老化時計
第7回 個体の寿命(4):サーチュインの多様な抗老化機能
第8回 個体の寿命(5):エネルギーセンサーmTOR
第9回 幹細胞と老化(1):造血幹細胞
第10回 幹細胞と老化(2):ES細胞とiPS細胞
第11回 幹細胞と老化(3):神経新生
第12回 加齢性疾患(1):メタボリックシンドロームと腸内細菌
第13回 加齢性疾患(2):脳の老化と人間の限界寿命
第14回 講義のまとめ:生物の寿命を考えてみよう!

授業時間外の学修の内容

指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出

授業時間外の学修の内容(その他の内容等)

授業日の数日前に各回の授業内容のプレビューと当日配布する説明資料のPDFをmanabaに掲載する。それらに目を通すことで、どのような内容の話を聴けるのか、頭と心の準備を済ませておく。授業終了後は、確認用の小テストに回答し、その回で学んだ遺伝子・酵素・細胞に関する用語と機能をしっかり復習する。さらに、各自が興味を抱いた事柄について、ウェブサイトや参考書を利用して知識を拡充しておくことを勧める。

不明な点があれば、遠慮なく質問してください(hara-tk@igakuken.or.jpへのメールも可)。

授業時間外の学修に必要な時間数/週

・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。

成績評価の方法・基準

種別 割合(%) 評価基準
期末試験(到達度確認) 80 生物の寿命を規定している12項目の内容と用語を理解しているかどうか、そしてエイジング関連研究の新しいアイディアを提案できるかどうかを評価する。
平常点 20 各回の授業終了時に、簡単な復習テストを課す。このテストの成績を基にして、授業への参加度合と受講姿勢を評価し、平常点を算出する。

成績評価の方法・基準(備考)

評価の前提条件:復習テストの提出率が70%に満たない者については、E判定とします。

課題や試験のフィードバック方法

授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う

課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)

アクティブ・ラーニングの実施内容

実施しない

アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)

授業におけるICTの活用方法

実施しない

授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)

実務経験のある教員による授業

はい

【実務経験有の場合】実務経験の内容

東京都医学総合研究所の幹細胞プロジェクトリーダーとして、25年間、授業内容と密接に関連した研究を実施し、多くの原著論文を発表してきました。また、東京医科歯科大学大学院、及び東京都立大学大学院の連携教授として、大勢の大学院生を研究指導した実績があります。

【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容

プロの研究者の立場から、授業で紹介する実験データや図の背景や重要性をわかりやすく解説します。ときに、有名雑誌に掲載された論文であっても怪しい箇所はありますし、将来発展するポイントがクローズアップされていない場合もあります。そのような「生きた学問」を一緒に楽しんでいきましょう。

テキスト・参考文献等

教科書は使いません。口頭解説+板書+パワーポイントを使って講義を進めていきます。パワポのスライドについては、PDFとそのプリントアウトを全員にお渡しします。それから、以下の書物は知識をさらに広げるのにお薦めの読み物です。

1. José Cordeiro, David Wood(仁木めぐみ 訳)「死の終わり-不死の科学的可能性と倫理」化学同人(2024年)3,300円

2. D. A. Sinclair, M. D. LaPlante(梶山あゆみ 訳)「LIFE SPAN-老いなき世界」東洋経済新報社(2020年)2,640円

3. J. Howard(中山宥 訳)「動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話」フィルムアート社(2018年)2,100円

4. E. Blackburn, E. Epel(森内薫 訳)「テロメア・エフェクト」NHK出版(2017年)2,300円

その他特記事項

平均寿命が80歳を越える今日、加齢性疾患の発症を未然に防ぐ科学的知識を持っているか否かは、Quality of Lifeに大きく影響します。新しいことを沢山紹介していきますので、14回の授業を通して「寿命の仕組み」、「健康維持の秘訣」、そして「まだ解明されていないこと」を一緒に学んでいきましょう。なお、この講義科目は積み上げ方式でおこないますので、頑張って14回すべての聴講をお願いします。

参考URL

http://www.igakuken.or.jp/stem-cell/

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