シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
入門・世界文学/入門・外国文学 | 2025 | 前期 | 火4 | 文学部 | 大田 美和 | オオタ ミワ | 1~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-LT1-U103
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
21世紀を生きる現代人として、世界文学をどのように読むか、何のために文学を読むのか、何をまず読むべきかという問題を考え、文学作品を通してどのように世界や人間を理解するのかを学びます。講義が中心となりますが、学生は教師の指示にしたがって、作品を朗読したり、感想や意見を述べたりすることが期待されます。
科目目的
文学作品を読み、文学作品について考えるというのはどういうことなのかを学ぶ。それは単に文学について考えることではなく、文学を通して、人間や世界について考えることであることを理解する。
到達目標
グローバル化の進展によって、「世界文学」の意味するものが19世紀、20世紀から21世紀にどのように変わったのか、その理由は何なのかを理解する。
指定された文学作品を問題意識をもって精読し、議論することができるようになる。
文学と社会の関係について考えることができるようになる。
現代における世界文学とは何かについて、自分なりの考え方ができるようになる。
授業計画と内容
第1回 「世界文学」とは何か――古典、教養、普遍性、国民文学と○○語文学
第2回 神話世界の広がり 『オイディプス王』、『王書』、オルハン・パムク『雪』、シェイクスピア『マクベス』
第3回 なぜ今もドストエフスキーなのか? オルハン・パムクのドストエフスキー体験、映画『ドストエフスキーと愛に生きる』、奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』
第4回 カフカをどう読むか? 『変身』とケア、バレエ『変身』
第5回 考える人、女性詩人たち 『永瀬清子詩集』、『茨木のり子詩集』、森崎和江『まっくら』、石牟礼道子『苦海浄土』水田宗子「世界戦争を経たフェミニズム表現 祖母と孫のフェミニズム」(『現代詩手帖』)
第6回 ハンセン病と文学 大江満雄編『いのちの芽』、ドリアン助川『あん』、沢知恵『うたに刻まれたハンセン病隔離の歴史 園歌はうたう』、徐京植『私の西洋音楽巡礼』
第7回 戦争と文学(1)バオ・ニン『戦争の悲しみ』、マルグリット・デュラス『ヒロシマ・モナムール』、原民喜『原爆詩集』、峠三吉『原爆小景』、集英社「戦争✖文学」
第8回 戦争と文学(2)ドミートリ―・ブィコフ「戦争という完全な悪に対峙する――ウクライナ侵攻に寄せて」、『現代短歌』特集 ウクライナに寄せる、ロバート・キャンベル『戦争語彙集』
第9回 災害と文学 ヴォルテール「リスボン大震災に寄せる詩」、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『チェルノブイリの祈り』、ミカエル・フェリエ『フクシマ・ノート』
第10回 ジェノサイドと文学(1)プリーモ・レーヴィ『休戦』、マフムード・ダルウィーシュ『パレスチナ詩集』、リフアト・アルアライールほか『ガザの光 炎の中から届く声』
第11回 ジェノサイドと文学(2)関東大震災百二年 江馬修『羊たちが怒る時』、西崎雅夫編『証言集 関東大震災の直後 朝鮮人と日本人』、皓星社編集部編『血の九月』、金迅野、風巻浩『ヘイトをのりこえる教室』
第12回 植民地主義、レイシズムと文学 フランツ・ファノン『黒い皮膚、白い仮面』、ガッサン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』、『尹東柱詩集』、『在日コリアン詩選集』
第13回 ゲストスピーカー 「詩の力」(予定)
第14回 詩と詩人たちの抗議と連帯 ソマイア・ラミシュ、柴田望『詩の檻はない アフガニスタンにおける検閲と芸術の弾圧に対する詩的抗議』、『わたしのペンは鳥の翼 アフガニスタンの女性作家たち』、ソマイア・ラミシュ『ソマイア・ラミシュ詩集 私の血管を貫きめぐる、地政学という狂気』、中村哲・澤地久枝『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る』
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 50 | 与えられた課題について論理的でわかりやすいレポートが書けているか。 |
平常点 | 50 | 積極的な授業への参加。授業に貢献するような質問や意見の表明。 |
成績評価の方法・基準(備考)
5回以上欠席した場合は不可となります。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
1980年代後半より歌人・詩人・エッセイストとして活動。現代歌人協会会員、日本ペンクラブ会員。歌集6冊、詩集1冊、エッセイ集1冊などを出版。
その短歌作品は、見田宗介『社会学入門』(岩波新書)や北村薫『北村薫のうた合わせ百人一首』(新潮文庫)に多数引用されている。
他の詩人や歌人との共同制作を企画・実行して、出版社に働きかけて雑誌掲載を実現する等、プロデュースも行なっている。例 詩人 北爪満喜との「香り」のプロジェクト(『歌壇』掲載)、歌人 齋藤芳生との「ホトトギス」競詠(『歌壇』掲載)
2023年12月19日『詩の檻はない』のアフガニスタンの亡命詩人 ソマイア・ラミシュの来日にあたって、関係者と対談の準備を入念に行ない、対談に登壇し、英語通訳も行なった。この活動を多方面に周知させるために、広報活動も行なった。2024年1月フランスペン主催のZOOMによる朗読会に出演。
2024年11月3日出版の『ソマイア・ラミシュ詩集 私の血管を貫きめぐる、地政学という狂気』に協力。2025年1月8日にこの詩集の出版を記念して、現代詩作家・文芸評論家の岡和田晃を招いて、中大文学部で講演とワークショップを実施。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
現代を生きる創作表現者として、アクチュアルな問題と社会に対してどのように取り組んでいるのか語ることによって、それぞれの学生が、自分に何ができるのか、文学部で何ができるのか、イメージできるようになる。
ゲストスピーカーには、いま学生にどのような講義が必要かを考えて丁寧な準備をしてくれる創作表現者を招聘することができる。
テキスト・参考文献等
<テキスト>
フランツ・カフカ『変身』どの出版社のものでも可。
『永瀬清子詩集』岩波文庫
『尹東柱詩集』岩波文庫 他の出版社のものでも可。
ガッサン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』河出文庫
<参考文献>
授業で適宜紹介します。