シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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行政法2(救済法) | 2025 | 春学期 | 水6 | 法学部 | 金﨑 剛志 | カネサキ ツヨシ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PU3-012L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業では、行政活動に対する私人の権利利益の救済に関する法制度や法理論を扱う。
なお、この授業は、将来、法曹として活躍することを希望する学生のために設けられたものである。そのため、法曹(あるいは法曹志望者)にとっての 行政救済法の有用性ということを意識して授業を進めていく予定である。また、他の法律基本科目との関係では、行政法は応用科目として捉えることができるため、必要に応じて、他の法律基本科目における基本的な考え方や仕組みも確認しながら、授業を進めていく予定である。
科目目的
この授業は、受講者が行政救済法分野の体系的・基礎的知識を修得するとともに、法的な問題解決に向けた基礎的能力を身につけることを目的とする。
到達目標
この授業の到達目標は、以下の通りである。
①行政救済法分野における基本概念について説明できる。
②行政救済法分野における基本的な考え方(理論)について具体例とともに説明できる。
③行政救済法分野における主要な法律の仕組み及び制度趣旨について説明するとともに、比較的簡単な事例において関係条文を適用し、解決策を提示できる。
授業計画と内容
第1回 行政救済法の全体像、処分と処分ではないものの区別方法
行政救済法の全体像を確認する。そして、抗告争訟の入口としての処分について学ぶ。
第2回 既に処分の是正を行政に求める方法と処分がなされないことに対する是正を行政に求める方法
行政不服審査制度の基本的仕組みを学ぶ。
第3回 既になされた処分の是正を裁判所に求める方法(取消訴訟の訴訟要件1_処分性と原告適格以外)
行政事件訴訟の諸類型を確認する。そして、取消訴訟の訴訟要件のうち、処分性と原告適格以外のものを学ぶ。
第4回 既になされた処分の是正を裁判所に求める方法(取消訴訟の訴訟要件2_原告適格)
取消訴訟の訴訟要件のうち、原告適格とその判例を学ぶ。
第5回 既になされた処分の是正を裁判所に求める方法(取消訴訟の本案審理、判決、執行停止)
取消訴訟の審理過程における手続規律、取消訴訟における判決の種類及び効力、また取消訴訟を提起する場合の仮の権利保護手続を学ぶ。
第6回 既になされた処分の是正を裁判所に求める方法(無効等確認訴訟)
取消訴訟以外の抗告訴訟である無効等確認の訴えについて、訴訟要件、本案勝訴要件を学ぶ。
第7回 なされるべき処分がなされないことに対して裁判所に是正を求める方法(不作為違法確認訴訟、義務付け訴訟・仮の義務付け)
取消訴訟以外の抗告訴訟である不作為違法確認の訴え及び義務付けの訴えについて、仮の救済、訴訟要件、本案勝訴要件を学ぶ。
第8回 なされるべきでない処分がなされようとしていることに対して裁判所に是正を求める方法(差止訴訟・仮の差止め)
取消訴訟以外の抗告訴訟である差止めの訴えについて、仮の救済、訴訟要件、本案勝訴要件を学ぶ。
第9回 処分ではない行政活動が関係する場合に利用できる方法(当事者訴訟)
抗告訴訟以外の行政事件訴訟として、当事者訴訟の仕組み等について学ぶ。
第10回 私人の個人的な利害関係とは別のレベルで利用できる方法(民衆訴訟、機関訴訟)
抗告訴訟以外の行政事件訴訟として、住民訴訟と機関訴訟の仕組み等について学ぶ。
第11回 違法な行政活動によって生じた不利益を解消する方法
国家賠償法の制度概要を確認する。そして、同法1条の法律要件(公権力の行使、職務行為関連性、違法性)について学ぶ。
第12回 営造物設置管理の瑕疵によって生じた不利益を解消する方法
国家賠償法2条の法律要件について確認する。そして、同条の適用が問題となる道路及び河川に関する主要判例について学ぶ。
第13回 適法な行政活動によって生じた不利益を解消する方法その他
損失補償の根拠、要件、内容について学ぶ。そして、いわゆる国家補償の谷間の問題を扱う。
第14回 到達度確認
行政救済分野における基礎的事項を理解できているか確認するとともに、行政活動をめぐる訴訟において適切に本案前および本案上の主張を展開できるかを確認する。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 90 | 行政救済法分野における基本的な制度や判例を理解したうえで、それらを個別事例に応用できるかどうかを評価する。 |
平常点 | 10 | 授業中の発言等、学修に取り組む姿勢を評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
[テキスト]
宇賀克也『行政法概説Ⅱ(第7版)』(有斐閣、2021年)
斎藤誠・山本隆司編『行政判例百選Ⅰ(第8版)』(有斐閣、2022年)
斎藤誠・山本隆司編『行政判例百選Ⅱ(第8版)』(有斐閣、2022年)
*なお、授業は担当者が配布する授業資料にしたがって行うため、授業の中で上記テキストを使用することはない。また、シラバス作成後に新しいバージョンが発売されることがありうるので、購入前に最新のバージョンを確認して購入すること。
[参考文献]
土田伸也『基礎演習行政法(第2版)』(日本評論社、2016年)
土田伸也『実戦演習行政法(第2版)』(弘文堂、2022年)