シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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有機化学3A | 2025 | 前期 | 水2 | 理工学部 | 石井 洋一 | イシイ ヨウイチ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-BC2-6B19
履修条件・関連科目等
「基礎有機化学」「有機化学1」「有機化学2」の内容の理解を前提とするので、講義に先立ち、よく復習しておくこと。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義では、アルコール・フェノール、エーテル、ケトン・アルデヒド、カルボン酸とその誘導体という、一連の含酸素官能基の性質について学ぶ。これらの官能基間の相互変換は、炭素-炭素結合形成による炭素骨格の構築に重要であるだけでなく、有機合成化学の根幹をなす多くの反応を含んでいる。
講義では、まずアルコールの合成ならびに反応性と、それに関連したエーテル、エポキシドの反応性、特に求核置換反応や脱離反応を取り上げ、これらの化合物の基本的な反応性の理解を目指す。第二に、カルボニル化合物(ケトン・アルデヒド)のさまざまな求核付加反応を学び、それらがアルコールをはじめとする各種の化合物の合成に有用であることを理解する。第三に、カルボン酸とその誘導体を取り上げて、それらを特徴づける求核アシル置換反応の起こり方を学ぶ。そして、本講義で学んだ反応を組み合わせて、炭素骨格の構築を含む多段階の有機合成反応が組み立てられることまでを目標とする。
本科目は選択必修科目ではあるが、有機化学における主要な化合物群を扱うことから、基礎有機化学、有機化学1、有機化学2に続く有機化学の体系を理解するためには重要な科目と考えるべきものである。
科目目的
本講義では、アルコール・エーテルの求核置換反応・脱離反応、カルボニル化合物の求核付加反応、ならびにカルボン酸とその誘導体の求核アシル置換反応を中心に、アルコール・フェノール・エーテル・エポキシド・アルデヒド・ケトン・カルボン酸・カルボン酸誘導体の化学の基礎を理解することを目的とする。これらを通して、応用化学科のディプロマポリシーの中でも、知識獲得力・想像力・専門性を涵養する。
到達目標
(1) アルコール、フェノール、エーテルの置換・脱水・酸化反応を理解し、反応機構や反応生成物を説明できること。
(2) カルボニル化合物の求核付加反応を理解し、反応機構や反応生成物を説明できること。
(3) カルボン酸の性質を理解し、説明できること、およびカルボン酸とその誘導体の求核アシル置換反応を理解し、それらの相互変換の反応性や反応機構を説明できること。
(4)アルコール、フェノール、エーテル、カルボニル化合物、カルボン酸、およびカルボン酸誘導体の反応を利用した多段階合成反応の組み立てができること。
授業計画と内容
第1回 アルコールとフェノールの性質、アルコールの合成(復習)
第2回 カルボニル化合物からのアルコールの合成
第3回 アルコールの反応:求核置換反応と脱水反応
第4回 アルコールの酸化、保護・脱保護、フェノールの反応
第5回 エーテルの性質と合成、エーテルの酸開裂
第6回 エポキシドの合成と反応、アルデヒドとケトンの構造
第7回 アルデヒドとケトンの合成、酸化反応、求核付加反応の一般的な反応経路
第8回 カルボニル化合物の求核付加反応:水和、シアン化水素・ヒドリド試薬・グリニャール試薬の付加
第9回 カルボニル化合物の求核付加反応:アミンおよび関連化合物の付加と反応
第10回 アセタールの生成、Wittig反応、α,β-不飽和アルデヒド・ケトンの共役付加
第11回 カルボン酸の性質と合成
第12回 ニトリルの性質と合成、カルボン酸からカルボン酸誘導体への変換
第13回 酸ハロゲン化物、酸無水物の求核アシル置換反応
第14回 エステル、アミドの求核アシル置換反応
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 70 | 学期末試験の点数を70%の割合で考慮して成績を評価する。評価基準は「到達目標」であげた(1)~(4)が身に付いているかどうかに置かれ、(1)~(4)の各項目を30%, 30%, 25%,15%の割合で評価する。 |
平常点 | 30 | 毎週の提出課題(宿題)の評点を30%の割合で考慮して成績を評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
毎週の課題の提出状況は、期末試験での評価と強い相関があることが経験的に判明している。毎週の課題は必ず提出し、授業内容で理解できない部分を残さないように努めることが重要である。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
(1) 各回の資料・課題の解答などは、manabaにアップロードされる。
(2) 授業時間外の質問対応は、随時、教員研究室における面談およびmanabaの個別指導コレクションにより行い、Q and Aとしてmanabaにアップロードしてクラス全体で共有する。
(3) 可能な限り授業の録画を作成し、病欠・公欠等の学生には授業直後から、それ以外の学生には約1週間後から、それぞれmanabaで公開する。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:
「マクマリー有機化学(第9版)(上・中)」John McMurry著、伊東・児玉ら訳、東京化学同人、2017年、ISBN: 9784807909124; 9784807909131 (主要部分は「中」)
必要に応じて以下の参考書を参照すると理解の助けになる。ウォーレン有機化学はやや高度な内容を含むが、特に有機化学に興味を持つ学生には勧めたい参考書である。
「スミス有機化学(第5版)(上・下)」 Janice Gorzynski Smith 著、山本尚、大嶌幸一郎 監訳、高井和彦、忍久保洋、依光英樹 翻訳、化学同人、2017年、ISBN: 9784759819380; 9784759819397
「ブルース有機化学(第7版)(上・下)」 Paula Yurkanis Bruice 著、大船 泰史、香月 勗、西郷和彦、富岡清 監訳、化学同人、2014年、ISBN: 9784759815849; 9784759815856
「ボルハルト・ショア―現代有機化学(第8版)(上・下)」K. Peter C. Vollhardt, Neil E. Schore 著、古賀憲司、野依良治、村橋俊一監訳、化学同人、2019年、ISBN: 9784759820294; 9784759820300
「ウォーレン有機化学(第2版)(上・下)」Jonathan Clayden, Nick Greeves, Stuart Warren 著、野依良治、奥山格、柴崎正勝、檜山爲次郎 監訳、東京化学同人、2015年、ISBN 9784807908714; 9784807908721
参考教材:
HGS分子模型A型セット(丸善)
有機化合物のスペクトルに関する参考書:
「有機化学のためのスペクトル解析法−UV、IR、NMR、MSの解説と演習(第2版)」 Hesseら 著、野村正勝 監訳、馬場章夫・三浦雅博ら 訳、化学同人、2010年、ISBN: 9784759811933
その他特記事項
参考URL
ホームページ https://ishii-lab.r.chuo-u.ac.jp/
e-メール yo-ishii@kc.chuo-u.ac.jp