シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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情報ネットワーク構成特論 | 2025 | 後期 | 木3 | 理工学研究科博士課程前期課程 | 牧野 光則、石井 旬、伊東 武、小川 秀人、小林 敦、鈴木 優、趙 晋輝、中村 祐一、町田 吉弘、三 | マキノ ミツノリ、イシイ ジュン、イトウ タケシ、オガワ ヒデト、コバヤシ アツシ、スズキ マサル、チョウ シンキ、ナカムラ ユウイチ、マチダ ヨシヒロ 他 | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SG-PI5-8C82
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
情報ネットワークの定義、運用、取り巻く環境、課題に関して、産業界の実状を延べ14名の企業講師により紹介・解説する。授業は座学のほか、一部の回にてグループワーク・討論等の双方向型で実施する。
科目目的
広義の情報ネットワークとその応用システムの定義、技術、運用、取り巻く環境、課題に関して、産業界の実状を理解し、的確に評論できる知識と活用能力を習得する。
到達目標
広義の情報ネットワークの定義、技術、運用、取り巻く環境、課題に関して、産業界の実状を理解し、その内容を的確に記述し、かつ、問題点・疑問点を明らかにできる。
授業計画と内容
・順番は変更になる場合がある。9月1日に最終版をmanabaにて発表する。
第1回:鈴木 優 コミュニケーションAIの技術と応用
人とAIがコラボ―レーションするコミュニケーションAIの基盤技術、特に自然言語処理や音声処理、生成AIなどの技術と応用について企業での製品化の体験と共に紹介する。
第2回:小林 敦 OSS×クラウド
先進的な仕組みが最初にOSS(オープンソースソフトウェア)として世の中に出てくる時代となった。無償で誰でも入手できるOSSだが、IT企業やユーザ企業では、単に無償を理由にOSSを採用するのではでなく、ビジネス上の戦略的意図をもってOSSを扱うケースが増えている。また、スマートフォンの普及が進み、クラウドサービスも充実してきたことで、スタートアップ企業などがOSSとクラウドサービスを積極的に採り入れることが、俊敏性のあるインターネットサービスの提供、ひいては新たなビジネスを立ち上げる勢いとなっている。本講義では、IT企業やユーザ企業、サービス事業者らがどのようにOSSとクラウドサービスをビジネスに活用しているかを概観して頂くと共に、この時代に期待されるITエンジニア像やその取り組み姿勢を解説する。
第3回:小川 秀人 信頼できるAIを社会実装する - AIシステムのテストと品質保証
機械学習や生成AIなどのAIを搭載したシステムやサービスが増えている一方、AI特有のリスクへを懸念する声も聞かれます。たとえば従来のソフトウェアテスト技法はAIには有効ではなく、品質リスクを抱えているとも言われています。本講義では、AIの活用事例、AIシステムに対するテスト技法や品質保証の考え方、国内外で策定されている各種ガイドラインなど、信頼できるAIを社会に社会実装していくための取組みを紹介します。
第4回:渡辺 友樹 画像認識技術
画像認識技術は安全安心を始めとした様々な産業分野でコア技術になることが期待されている。コンピュータビジョンやパターン認識技術のITSやセキュリティ等での具体的な適用事例を通し、画像認識技術の基礎的な知識と最近のトピックスについて解説する。
第5回:伊東 武 組込みソフトウェア開発の実際と展望
携帯電話、ゲーム機、家電に搭載される組込みソフトウェアの構造や開発方法が、PC用ソフトウェアとどのように違うのか。各機器の特性に応じて求められる要求とは何か。また近年ますます複雑化していく組込みソフトウェア開発の課題と、新しい開発手法について解説します。
第6回:撫佐 昭裕 システムエンジニアの仕事--スーパーコンピュータの構築を通して--
大規模スーパーコンピュータシステムの構築事例を通して、システムエンジニアの仕事を紹介し、コンピュータ技術だけでなく、企業での業務には問題解決とプロジェクトマネージメントの能力が必要であることを示す。講義の前半では、システムエンジニアの業務概要を紹介し、顧客の課題解決のためにICT技術を駆使していることを紹介し、後半では地球シミュレータ構築時の苦労話を通してプロジェクトマネージメントの方法を紹介する。
第7回:町田 吉弘 宇宙機の軌道力学システム概説
人工衛星をはじめとする宇宙機を扱うシステムにおける土台となる技術が、宇宙機の軌道を計算し、将来の位置を予測する軌道力学である。軌道計算を正確に行うためには、時系、座標系、摂動といった宇宙空間特有のモデルが必要となる。講義では、宇宙機の軌道の種類や特徴、軌道に及ぼす摂動と呼ばれる外乱の種類や特徴、軌道計算といった軌道力学の基礎的な知識をできるだけ数式を使わずに説明する。また、身近な例ではGPSの利用は勿論、スマートフォンと衛星の直接通信といった形でも宇宙がインフラとなりつつある。最近ニュースの話題になるスペースデブリ、月探査、宇宙安全保障、衛星コンステレーション等についても、軌道力学の観点から見た特徴を中心に説明する。
第8回:伊東 武 ユーザー企業のDXを実現するアーキテクチャー
ITを使う立場であるユーザー企業がデジタル変革(DX)を実現していく上で考えていかなくてはいけないもの、技術等についてお話します。
第9回:中村 祐一 エネルギー消費とAI、効率的なAI処理を目指したコンピューティング
AIやデータ処理使われる計算機が消費するエネルギーが大きな問題になっている。この原因は大量のデータを使った学習がAIやデータ処理には必要だからである。本講義ではAIやデータ処理におけるデータの必要性と計算機が大量の電力を消費する仕組みや現状、今後のAIの発展への懸念を解説しながら、電力消費を抑えたAIの可能性に関して解説する。
第10回:石井 旬 生成AIを企業活動に活かす
昨今世の中を賑わせている生成AIのビジネスへの活用について、様々な実例をデモなどを交えて解説することで、生成AIのビジネス活用について理解を深めます。また、ChagGPTが日本市場では特に人気を集めていますが、今後は多様化する小規模で多様なLLM(大規模言語モデル)の適材適所での活用が大きなトレンドになっています。生成AIや基盤モデルのこれらの向かう方向についても解説します。
第11回:三浦 真樹 ソフトウェア開発における生成AIの活用
企業においてソフトウェア開発に生成AIを活用する場合、単に技術の新しさにとどまらず、さまざまな観点から評価した上で適切な活用を行う必要がある。技術から法的側面まで注意すべき点を明らかにするとともに、活用事例を交えながら、生成AIの特徴や効果を紹介する。
第12回:中村 祐一 量子コンピュータでできること
最近、量子コンピュータに関するニュースを見かけることが多いと思います。しかし、量子コンピュータが、なぜ、何のために、どのように動くのかなど、わからないことだらけだと思います。また、量子の響きから夢の万能計算機だと考えてしまいますが、その有効範囲は限定的である一方、ある種の問題に従来では考えられない速度で処理を行うことができます。本講演では、量子コンピュータの動作原理と利用法、及び今後の技術動向に関してなるべくわかりやすく解説します。
第13回:撫佐 昭裕 津波防災デジタルツインの実現
2011年の日本大震災の教訓のもと開発を行った世界初の津波防災デジタルツイン(リアルタイム津波被害予測システム)を紹介する。この講義では、システム開発は一人で行うのではなく、多くの有識者と協力して開発していくことが重要であることを示す。特に本デジタルツインはIT技術だけでなく、最先端の科学(地震学、津波工学)との融合が不可欠で分野間の研究者・技術者との交流例を示す。
第14回:山下 浩一郎 新しい環境下の技術ブレークスルー
例えばコロナ禍など世界の様子が一変する際の対策で、AIや通信技術など利活用するケースがある。感染拡大を制圧した様々な技術について分析と解説を行い、システム設計や技術適用の実例にそって分析検証します。様々な業種や技術がクロスオーバーすることで一気に開花する技術もあり、これらの技術や取組みなどについて、電子情報通信学会誌で連載した技術解説記事をもとに解説を行います。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
講師氏名・講義題名・講義概要をもとに、インターネット等で事前調査を行うこと。また、講師から許可された場合には資料を電子的に事前配布されるので目を通し、少なくとも概要を理解した上で授業に臨むこと。この際、主要キーワードの事前調査や授業中に確認したい項目の整理等をしておくこと。授業後には学習内容を振り返り、未確認事項がないように、かつ、さらに生じた疑問を解決するよう追加学習をした上で、毎回講義後のリアクションペーパーや最終レポートに取り組むこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 85 | 授業2回分のテーマについて、それぞれ中核となる知識・技術・運用を把握し、その将来性に関する調査を行い、それらに基づいて意見を的確に述べる。 |
その他 | 15 | 各回のリアクションペーパーにて、授業内容を正しくまとめ、かつ、疑問点・意見を明確に述べる。 |
成績評価の方法・基準(備考)
レポート採点のめやす(100点満点として)
選択した講義内容各々に対する解答を以下の観点を基準に評価する:
[50点]
(1)、(2)、(3)について誤りなくかつ的確に記述されており、
(4)にて求めている調査が幅広くかつ深くなされていることが明らかな記述であり、
かつ、これに基づく自分の意見が論理的・明快であり、的を射た内容が記述されている。
全体を通じて卓越した論述であり、他の学生に対する模範となり得る。
[40点]
(1)、(2)、(3)について誤りなくかつ的確に記述されており、
(4)にて求めている調査が幅広くまたは深くなされていることが明らかな記述であり、
かつ、これに基づく自分の意見が論理的であり、概ね的を射た内容が記述されている。
全体を通じて優れた論述であり、他の学生に対して必ず到達してほしい例となり得る。
[30点]
(1)、(2)、(3)について誤りなく記述されており、
(4)にて求めている調査がある程度の広さ・深さでなされていることが明らかな記述であり、
かつ、これに基づく自分の意見がある程度論理的であり、主張の趣旨が理解できる記述である。
全体を通じて必要条件を満たす程度の論述であり、他の学生に対して好例として提示できない。
[0点]
(1)、(2)、(3)のいずれかに看過できない誤りがあり、
かつ、(4)にて求めている調査が不十分であり、結果として自分の意見も感想程度に留まるか、または誤った論証を展開している。
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※最終成績への寄与は85%である。すなわち、上記に基づく採点結果(1講義50点満点、2講義で100点満点)を0.85倍したものが最終成績に算入される。
※上記めやすに基づき、例えば1つしか講義を取り上げていない場合には最高で50点(最終成績算入は最高で43点)となる。
この場合、最終成績の15%を占める各回のリアクション(最終成績算入は最高で15点)の結果によらず科目不合格となり、単位は付与されない。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
講師は企業所属の研究者・技術者であり、情報ネットワーク及び関連技術・システムに関する深く数多い経験を有している。
・鈴木 優 東芝デジタルソリューションズ株式会社
1995年 早稲田大学理工学研究科修士課程修了。
1995年 (株)東芝入社。
自然言語処理、情報検索、ヒューマンインタフェース、音声処理等の研究開発に従事。
・小林 敦 三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
早稲田大学理工学部機械工学科卒業、一橋大学大学院商学研究科修了(MBA)
1986年に三菱電機(株)に入社し工場、研究所などに勤務。国際海底ケーブル網監視システム、携帯電話向け映像配信システムなど、通信分野のシステム構築に従事した後、2023年にクラウド技術に特化した新会社「クラウドセントリック(株)」をグループ内に設立し、取締役COOを務める。
・小川 秀人 株式会社日立製作所
1996年名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士前期課程修了、株式会社日立製作所入社。
入社以来一貫してソフトウェア工学の研究と実業への適用支援に従事。AIプロダクト品質保証コンソーシアム発起人。生成AI、ソフトウェアテスト等に関する共著書複数あり。
・渡辺 友樹 株式会社東芝
2006年、北海道大学大学院情報科学研究科メディアネットワーク専攻修了、修士(情報科学)。
同年(株)東芝入社。
現在、(株)東芝 研究開発センターに勤務。コンピュータビジョンに関する研究に従事。
・伊東 武 三菱ケミカル株式会社
1992年 早稲田大学理工学部機械工学科卒業、日本アイ・ビー・エム入社。
OS/2用デバイスドライバーの開発、Javaの日本語化、組込みJava開発等を経て、以降、携帯電話、ゲーム機、カラオケ端末、デジカメなどの組込みソフトウェアの開発に従事する。
2019年 三菱ケミカルホールディングス入社。全社的なデジタルトランスフォーメーション(デジタル技術を活用した改革)に取り組む。
・撫佐 昭裕 日本電気株式会社
NEC入社以来、現在までスーパーコンピュータシステムの開発に従事。
・町田 吉弘 富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ株式会社
東京大学大学院理学系研究科天文学専攻修士課程修了、修士(理学)
2000年:富士通株式会社入社
現在:富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ株式会社に在籍
主に 宇宙機の軌道力学システム開発、衛星データ処理システムの開発、天文データ処理システムの開発に従事
・中村 祐一 日本電気株式会社
1988年大学院電気電子工学専攻修了、2007年早稲田大学情報生産システム研究科修了、博士(工学)。1988年にNECに入社後、ハードウエア、ソフトウエアの設計方法の研究開発に従事。東京大学、九州大学、早稲田大学客員教授、大阪大学招へい教授。内閣府量子イノベーション戦略委員。
・石井 旬 日本アイ・ビー・エム(株)
日本アイ・ビー・エム株式会社 技術理事、エンタープライズAI CTO、テクノロジー・エバンジェリスト
AIや量子コンピューターなどを始めとする先進テクノロジーの啓蒙やビジネス活用に従事。これらの先進テクノロジーに関わる講演・執筆活動も幅広く実施。また自らもデータ分析者や開発者として、多くの企業や組織でのデータ分析のトライアルやプロジェクトに携わる。
・三浦 真樹 富士通株式会社
主に社会インフラ分野でのディープラーニング等AI活用・ビジネス化に長く取り組む。
現在企業における生成AIのソフトウェア開発への適用を推進している。
AI プロダクト品質保証コンソーシアムQA4AIメンバー
・山下 浩一郎 富士通株式会社
1995.4 富士通入社(スーパーコンピュータ開発)
2001.9 電子デバイス部門(開発、開発支援)
2002.12 海外販社(アジア全域の営業、マーケティング)
2006.4 富士通研究所
2009.6 富士通研、富士通(モバイルフォン事本)兼務
2009.12 兼 Symbian Foundation SMP-WG チェアマン
2018.4~ Fujitsu R&D Center 上海研究所総監(現職)
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
講師の業務内容または関連内容をもとに講義テーマが設定されている。
テキスト・参考文献等
各回に資料を配布する。なお、資料は講師や講師所属機関に著作権があるものが多いので、複写や譲渡等は厳に慎むこと。
その他特記事項
本科目は、一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)の協力を得て、「JEITA IT講座」として実施する。
参考URL
https://home.jeita.or.jp/course/