シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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ドイツ文化講義(1)(3)/ドイツ文化講義(1)(3)(5) | 2025 | 前期 | 月4 | 文学部 | 石見 舟 | イシミ シュウ | 1~3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-DT1-C513,LE-DT1-C515
履修条件・関連科目等
前期「舞台芸術論」の聴講と、続けて後期「ドイツ文化講義」の履修をおすすめします。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
タイトル:亡霊の姿——演劇学の視点
■亡霊とは?
本講義はドイツ語圏でここ100年ほどかけて研究されてきた演劇学の知見をもとに、前期は「亡霊」について、後期は「風景」について考察します。
「亡霊」は「幽霊」「おばけ」など色々な名前を持っています。どのような名前で呼んでも構いませんが、亡霊とは何でしょうか?――いないはずの所にいるということ。いやいや、いないのだけど、いないとも言い切れない…… 亡霊は存在と不在の間にあります。
さらに演劇学的視点から言えば、二つの点を指摘できます。
(1)古今東西の演劇で亡霊役はよく登場する。
(2)亡霊の存在は見えるか見えないか、つまり「形」を巡って語られる。
つまり、演劇では「亡霊を見る」ことはあまり疑問を持たずに行われてきたのです。なぜでしょう? 演劇には「お約束」があるから等と説明できますが、大きな要因は「信じたくなる」ような亡霊が登場しているから、と言えます。人はどのような死者(あるいはまだ存在していないモノ)に対して目を向けたいと思うのでしょうか? そして「見る」という行為はそもそも何なのでしょうか?
こうした問いに古今東西の演劇の事例を見ながら、検証したいと思います。その時に「演劇」というモデルが大きな役割を果たすのです。
いままで演劇を見たことがない方も、あるいは演劇が嫌いという方も是非お越しください。
■授業の受け方および評価について
各回の目次と参考文献等をmanaba経由で配布します。
個々のトピックについて口頭で講義していきます。ですので、受講生の皆さまには、耳で聞いた情報をノートにまとめる作業を行ってもらいます(紙、電子を問わない)。
聞き漏らしてしまったこと、理解できなかったことについては授業の最後に提出するリアクションペーパーに書いていただきます。次の授業の冒頭でフィードバックを行います。
第14回で、内容についての確認を行います。具体的には言葉の選択と簡潔な文章を書いていただきます(これについては第1、2回でアナウンスします。)
科目目的
・舞台芸術に関する基礎知識を修得する。
・ドイツ語圏演劇学の概要を修得する。
・言語・文化の異なる演劇作品の比較分析について理解を深める。
到達目標
・舞台芸術に関する基礎知識を、他人に簡潔に説明することができる。
・ドイツ語圏演劇学の概要を、他人に簡潔に説明することができる。
・言語・文化の異なる演劇作品の比較分析について独自の視点から理解を深め、自身の言葉で論述することができる。
授業計画と内容
第1回 授業案内、亡霊という形姿(Figur)
第2回 亡霊の登場する劇:『ペルシア人』、『マクベス』、『幽霊』など
第3回 シェイクスピア『ハムレット』と憑在論~「いまの世のなかは関節がはずれている」
第4回 ブレヒト(1):戯曲断片『ファッツァー』~「以前は過去から亡霊がやって来たが/今では未来からやって来る」
第5回 ブレヒト(2):演劇理論「身振り」について
第6回 喪の作業:フロイト、イェリネク
第7回 人形:クライスト『マリオネット芝居について』、カントル『死の教室』
第8回 振付け:
第9回 能(1):野上豊一郎の比較演劇論
第10回 能(2):現代の創作、細川敏夫、岡田利規
第11回 ハイナー・ミュラーの亡霊たちと『ハムレットマシーン』
第12回 「アウシュヴィッツ」をめぐる表象可能性(1):アドルノとツェラン
第13回 「アウシュヴィッツ」をめぐる表象可能性(2):ディディ=ユベルマン、ポスト破局の演劇について
第14回 総括・まとめ:理解の確認
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 50 | 設問に対応した解答の達成度。 |
平常点 | 50 | 授業へ取り組む姿勢を、各回毎に集計するショートレポートの記述内容の充実度から評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
・都度、資料等はmanabaで通知・配布します。
【参考文献(一部)】
・ハンス・ティース=レーマン『ポストドラマ演劇』同学社、2002年。
・ギュンター・ヘーグ『越境文化演劇』三元社、2024年、ISBN: 978-4-88303-597-7。
・Gerald Siegmund "Theater- und Tanzperformance" Junius, 2020.