シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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先端産業論 | 2024 | 前期 | 月5 | 経済学部 | 増田 貴司 | マスダ タカシ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
EC-ID3-30XX
履修条件・関連科目等
特になし
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
最近のグローバルなビジネス環境の変化と産業の新潮流、進行しつつある第4次産業革命と脱炭素化(カーボンニュートラル)の潮流、生成AIが産業に及ぼす影響、日本の企業・産業の現状と課題(強みと弱み)、独自の価値を創出している企業の取り組み、産業競争力強化のための課題、企業や個人が第4次産業革命期に生き残るための課題などについて、担当教員(東レ・東レ経営研究所に在籍中、銀行勤務経験もあり)の企業経験を踏まえた豊富な事例解説を交えつつ、広い視野から考察、学習していきます。
科目目的
産業の新潮流、産業最前線のトピック、日本の産業・技術の特徴、注目すべきビジネスモデルなどについて、事例を取り上げながら学習します。世界のビジネス環境の変化と現代の日本が直面する課題を理解し、その中で日本の企業・産業が進むべき方向性や、次世代産業の姿について考察することを主眼とします。
特に、デジタル技術の進化・普及、第4次産業革命期の到来に伴う「全産業デジタル化」の進展(コロナ禍がそれを加速させ、生成AIの登場で新局面に突入した)、気候変動対策に関する脱炭素化の国際潮流などを背景に、グローバルな競争環境とビジネスのルールが変化したことを認識した上で、日本の産業・企業が発展するための課題について考察します。その中で、技術を収益につなげて事業化・産業化するポイント、競争力の源泉、これから伸びる産業の姿、等について自分の頭で考える力を養います。
なお、本授業で取り扱う先端産業は、狭義のハイテク産業にとどまらず、広くサービスやソリューションなどの提供で独自の価値を創出している企業・産業を対象とします。
到達目標
授業を通じて、今、産業界でどのような新潮流が起きているのか、環境が大きく変化する中で企業や個人が生き残るためには何が必要かについて深く理解すること(それを自分の頭で考え、人に説明できるようになること)を目指します。この目標に到達できれば、ビジネスパーソンとしてのサバイバル能力とウエルビーイングの向上につながる知識や思考態度が身に付きます。
授業計画と内容
1.イントロダクション
本授業で扱う先端産業とは?、授業の狙い、産業の新潮流をキーワードで捉えることの意義
2.産業の新潮流を読み解くキーワード①:
全産業デジタル化、異業種間競争、デジタル・トランスフォーメーション(DX)
3.産業の新潮流を読み解くキーワード②:
IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、AI・IoT時代のビジネスの潮流、
製造業のサービス化
4.産業の新潮流を読み解くキーワード③:
生成AI、VR・AR・MR(仮想現実・拡張現実・複合現実)、シェアリングエコノミー、
3Dプリンター
5.産業の新潮流を読み解くキーワード③:
リープフロッグ/リバースイノベーション、自動車産業の構造変化(CASE)、MaaS
6.産業の新潮流を読み解くキーワード④:
コモディティ化、ユーザー体験、アグリテック、物流テック、ヘルステック
7.産業の新潮流を読み解くキーワード⑤:
脱炭素(カーボンニュートラル)、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、
サーキュラーエコノミー、インフラビジネス
8.日本の産業構造と産業技術力
産業構造の特徴、日本産業の強み・弱み、グローバルニッチトップ(GNT)企業
国際的なデータ連携の動き
9.産業最前線の事例研究①:繊維産業と素材革命、炭素繊維の開発
(東レの事例を中心に紹介)
10.重要用語特別解説-「イノベーションのジレンマ」を理解する
産業最前線の事例研究②:都市鉱山ビジネス
11.産業最前線の事例研究③:元気な中小製造企業に学ぶ日本のものづくりの強さの源泉、
産業最前線の事例研究④:生物模倣技術(バイオミメティクス)
12.産業最前線の事例研究⑤:人間拡張技術
産業最前線の事例研究⑥:「仕組みづくり」の事例(前編):
ブリヂストンのリトレッド事業、シスメックス、「製造業のサービス化」の事例
13.産業最前線の事例研究⑦:「仕組みづくり」の事例(後編):
三菱化学メディア(プラットフォームビジネスの事例)
技術を産業にするために大切なこと
14.総括
産業の新潮流のまとめ、企業や個人が新潮流を生き残るための課題
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
1.各回授業の配付資料(授業前日までにmanabaにアップロードします)を各自ダウンロード・印刷して手元に置いて見ながら、授業を受講してください。事前に読み込む必要はありませんが、授業後に適宜、読み返して復習してください。
2.第3回、第6回、第9回、第12回の授業後には、授業時間外にmanabaを使用した小テストを実施します(計4回実施、各回指定の期限までに回答して提出してください)。これは授業で学んだ内容の理解度を確認するための小テストです。
3.授業に関する質問やコメントを、随時、manabaのアンケート機能を利用して受けつけます(提出は任意です)。
4.義務ではありませんが、シラバスの参考文献欄に記載した参考図書の中から、興味がわく本を選んで読まれることを推奨します。
5.授業時間外の日常、新聞、雑誌、ウェブ、小説、漫画、テレビ(ニュース、ドキュメンタリー、ドラマ、バラエティー等)などの各種メディアで見聞きする情報の中に、本授業で取り上げる「産業の新潮流を読み解くキーワード」に該当・関連する事例がたくさんあるはずです。履修期間中、日常生活の中で、それを意識して見つけ出すトレーニング(頭の中であれこれ考えを巡らせるだけで十分効果があります)をすることをお勧めします。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 20 | 小テスト(第3回、第6回、第9回、第12回の授業後にmanabaで実施、計4回)の評価点 |
期末試験(到達度確認) | 70 | 期末試験の得点 |
平常点 | 10 | 授業への積極的関与度得点(質の高い質問・コメント、授業効果向上につながる質問等を行った受講生を対象に加点を行う) |
成績評価の方法・基準(備考)
【成績評価の前提条件】
「manabaにアップロードした授業用教材のすべてを閲覧した記録があること」、および「manabaで実施する計4回の小テストのうち最低2回以上を回答・提出した実績があること」を、成績評価の前提条件とします。この前提条件を満たしていない場合は、期末試験が高得点であっても、評価の対象といたしませんので、ご注意ください。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
・大手銀行での調査業務経験
1983年4月~2000年6月 日本債券信用銀行に勤務
銀行在籍17年間のうち15年間は経済調査・産業調査業務に従事。大手金融機関に身を置き
つつ経済・産業を調査・分析した経験を有する。
・大手素材メーカーでの調査業務経験
2000年7月~現在 東レ株式会社と株式会社東レ経営研究所 に勤務(兼務)
東レ本社の経営企画室に在籍しながら、関係会社のシンクタンクで産業・経済調査業務に
23年間従事(現在も在籍中)。激動するビジネス環境の変化を体感しつつ、長年産業・経済
動向をウオッチし続けてきた経験を有する。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
上記の実務経験を活かし、グローバルな産業の潮流、企業が直面している問題、喫緊の経営課題や有効なビジネスモデル等について、生きた知識として最新の動向を解説していきます。
テキスト・参考文献等
テキストは使用せず、毎回講義資料を配布しますmanabaのコースコンテンツにアップロード)。
授業への興味・理解度・履修成果をより一層高めるために、一読をお勧めする自習用の参考図書は下記のとおりです。興味がわくものを選んで、できれば複数冊読むことを奨励します(つまみ読み、流し読みでも学習効果が期待できます)。
〇 山本康正『なぜ日本企業はゲームチェンジャーになれないのか-イノベーションの興亡と未来』祥伝社、2022年
〇 森川博之『データ・ドリブン・エコノミー-デジタルがすべての企業・産業・社会を変革する』ダイヤモンド社、2019年
〇 デロイトトーマツコンサルティング合同会社監修『日本企業が挑戦すべき「気候変動対応」』東洋経済新報社、2022年
〇 寺嶋高光『シン・製造業』クロスメディア・パブリッシング、2022年
〇 玉田俊平太『日本のイノベーションのジレンマ 第2版 破壊的イノベーターになるための7つのステップ』翔泳社、2020年
その他特記事項
特になし
参考URL
特になし