シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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ビジネス・プラクティカル・セミナーⅠ | 2025 | 後期 | 月2 | 商学研究科博士課程前期課程 | 榎本 俊一 | エノモト シュンイチ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
CG-OM5-004L
履修条件・関連科目等
1年次に限らず2年次も履修・聴講可です。プレゼンテーション等もお願いしますので、授業のテーマに関心を持ち、御自身で勉強したい方に履修をお願いします。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
総合商社であるか否かを問わず、特定の産業なり企業なりを学ぶ場合、得た知識をそのまま暗記するのではなく、他の産業・企業に当て嵌めてみて、何か新しい知見が得られないかを試みることが肝心です。では、日本の総合商社から、何を学べるのか。
第一に、1990年代に経営破綻の危機に瀕した総合商社は企業改革に取り組み、2000年代に「サプライ・チェーン・マネジメント・カンパニー」として生まれ変わります。三菱商事の”Value Chain Design”が典型ですが、サプライ・チェーンの各プロセスを有機的に関連付け競争優位を確立するビジネス・モデルは、資源高騰を追い風に大成功を収めました。しかし、成功は必ずしも盤石というわけではなく、LNG(液化天然ガス)顧客の電力会社が”Value Chain Design”をそのまま採用して、川下から総合商社に挑戦しつつあり、総合商社は新たな業態模索に迫られています。また、サプライ・チェーン・マネジメントは総合商社の専売特許なのでしょうか。ユニクロ・ニトリの製版統合モデルはサプライ・チェーン・マネジメントと言えないのか?仮にそうであるならば、総合商社とは如何に異なるのか、ユニクロ・ニトリは何を付加価値として加えているのか。さらに、製造企業のサービス化(Servitization)は我が国メーカーの市場を起点としたビジネス力の再生に向けた取組として改めて注目されていますが、Servitizationは実はサプライ・チェーンを意識したビジネス展開です。
第二に、上記の電力会社の挑戦は世界経済のグローバル化が可能としたものですが、総合商社は2010年代央以降グローバリゼーションへの本格的対応が求められています。日本経済の停滞を背景として、国内顧客を中心としたグローバル企業から、グローバル分散する顧客を相手とするトランスナショナル企業化が課題ですが、日本型雇用・人事システムに最適化された総合商社の企業組織・人的資源管理が「壁」となって立ちはだかっています。同様に、1980年代以降、日本メーカーにとりグローバル化は至上命題でしたが、総合商社と日本メーカーのグローバル化は如何なる異同があるのか、日本型システムは共通の「壁」であるのか。また、今後、アジア企業も国内経済の成熟に伴い多国籍化が不可避となりますが、日本の経験は彼等に示唆するところはないのか?
科目目的
総合商社を「サプライ・チェーン・マネジメント・カンパニー」として捉え、総合商社のビジネス・モデルをサプライ・チェーン・マネジメントの観点から捉え直し、総合商社がどのように事業創造・展開を行っているかを理解するとともに、他の産業・業態におけるサプライ・チェーン・マネジメントとの比較により、サプライ・チェーンを起点としたビジネス展開が秘める可能性について考察を行う。
同時に、総合商社のグローバル化によりサプライ・チェーン・マネジメントが如何に変質し、それに伴い国際経営組織・人的資源管理がどのような変革を迫られているかを理解し、その上で、総合商社を含む日本企業がグローバル化で直面し続けてきた「日本型システム」の壁について、それが打破可能であるのか否かについて考察する。
到達目標
第一に、総合商社ビジネスをサプライ・チェーン・マネジメントの観点から説明でき、総合商社における事業創造・展開をサプライ・チェーンの企画・形成・運営・管理の観点から分析できるようになる。
第二に、総合商社のサプライ・チェーン・マネジメントと他の産業・業態におけるサプライ・チェーン・マネジメントとの比較分析を通じて、サプライ・チェーンを起点としたビジネス展開の可能性等について説明できるようになる。
第三に、総合商社のグローバル化に伴い、サプライ・チェーン・マネジメントが如何に変化し、国際経営組織・人的資源管理の変革を必要とするかを説明でき、総合商社を含む日本企業がグローバル化で直面する「日本型システム」の問題を分析できるようになる。
授業計画と内容
(イントロ)
第1講 総合商社及び総合商社ビジネスから何を学ぶか
総合商社の本質 ~サプライ・チェーン・マネジメント・カンパニー
(第1群)サプライ・チェーンとビジネス
第2講 総合商社のビジネス・モデル
~三菱商事の"Value Chain Design"と伊藤忠商事の点的支配モデル
第3講 ”Value Chain Design”のケース・スタディ(LNGビジネス、鉄鋼ビジネス)
第4講 点的支配のサプライ・チェーン・マネジメントのケース・スタディ
第5講 "Value Chain Design"は模倣不能か? ~電力会社連合JERAの挑戦
第6講 総合商社ビジネスの拡張可能性Ⅰ ~ユニクロ・ニトリの製販統合モデル
第7講 総合商社のビジネス拡張可能性Ⅱ ~メーカーと流通の協業による製販統合
第8講 総合商社のビジネス拡張可能性Ⅲ ~製造企業のサービス化~
第9講 総合商社の「先祖帰り」~戦前商社のビジネス創造主体への回帰~
(第2群)企業のグローバル化と経営組織・人的資源管理
第10講 日本メーカーのグローバル化と経営組織・人的資源管理
第11講 総合商社のトランスナショナル化Ⅰ
~国内中心型からグローバルへのサプライ・チェーン構造の転換
第12講 総合商社のトランスナショナル化Ⅱ
~サプライ・チェーン・マネジメントと経営組織・人的資源管理の変化
・三井物産のLNGビジネス(本国本社中心のグローバル化)
・住友商事の鋼管ビジネス(本国本社の統制下での北米事業の独立化)
・伊藤忠商事の食料ビジネス(本国カンパニーと中国カンパニーの並列化)
・三菱商事の金属ビジネス(世界本社の海外移転)
第13講 トランスナショナル化の壁
~日本型人事・雇用システムとグローバル・スタンダード
第14講 総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 授業におけるプレゼンテーション、質疑応答などの参加状況を踏まえ評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
2019年度より大学教員に転じ、国際ビジネス、国際通商システム、デジタル・エコノミー等を講義担当していますが、教員に転ずる前の1990~2018年度は通商産業省・経済産業省において産業政策、通商政策を行政官として担当しており、貿易局及び貿易経済協力局には5年間所属し、総合商社ビジネスに関与してきました。教員転向後も、三井物産等で総合商社ビジネスに関する講演をさせていただいたり、総合商社各社の事業報告説明会や総合商社の実務家より構成される研究会に参加するなど、総合商社ビジネスに関する知見を更新・深化すべく努力しています。大学の講義は決して実務家の「経験談」ではありませんが、実地に見聞きし経験したことを活かした講義をしたいと考えます。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
上記のとおり。
テキスト・参考文献等
①テキスト
榎本俊一(2017)「2020年代の新総合商社論~日本的グローバル企業はトランスナショナル化できるか」(中央経済社)
②参考文献
適宜指示する。