シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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Global Sociology/グローバリゼーション | 2024 | 後期 | 火3 | 文学部 | 野宮 大志郎 | ノミヤ ダイシロウ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-SC3-K401
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
グローバリゼーション論は、近代世界を支配した国家の枠組みが次第に溶解していくこと、「国際関係的」理解にかわって「地球的=グローバルな」理解が必要とされる時代に入ったと主張する。一方、市民社会は国家(the state)が作り出す社会空間に対置した「市民」の自発的な社会空間が存在すると論じる。そうした市民社会を具現化したものとしてNGO活動や市民運動などがよく議論される。近年は「グローバル/国際市民社会(Global/International Civil Society)」を論じる研究が急速に増えた。グローバル化の影響のもと、それまで国境の中に閉じ込められていた市民社会もグローバル化している、とするものである。2003年初頭のイラク戦争反対運動や「世界社会フォーラム」さらには地球環境運動や人権運動がその例としてよく取り上げられる。とはいえ、「グローバル市民社会」には疑問の声もある。確かに、さまざまな領域で国境を越えてNGOsや運動団体が活動する時代になった。他方、「グローバルな市民社会」が真に存在するのかについては、十分な議論がなされていない。本講義では、市民社会とグローバリゼーションの両方の概念に触れ、こうした議論へ向けての端緒を見つけ出す努力をする。
科目目的
本科目では、グローバル化に関する専門的知識を獲得することと、グローバル化がもたらす諸問題について市民の立場から議論し、行為する規範的能力を養うことを目的とする。前者は、グローバル化とは何かを理解すること、次に、そのグローバル化がどの局面でどのように現れているかを政治、環境、経済の三領域での事例を使って理解することで達成する。後者は、グローバル化が引き起こす政治、環境、経済問題に対して、受講生各自が市民の立場から同対応するかを批判的に思考する機会を授業中に設けることによって達成する。
到達目標
本科目では、専門的学識の獲得、幅広い教養、主体性を受講生各自が身につけることが到達目標です。まず専門的知識として、グローバリゼーションの定義やそれが現実に引き起こす諸問題についての知識を獲得します。グローバル化が進む今日においては、この知識は、現代に生きる人間に必要な幅広い教養ともなります。最後に、グローバル化がもたらす問題について、どのようにすればこれら諸問題の解決を導き出すことが出来るかを、一般市民の立場から受講生各自が考えること、また自主的に学習した結果をクラスでプレゼンする課題を課すことで、主体的な思考と活動を促します。
授業計画と内容
<イントロダクション>
1( )オリエンテーション/イントロダクション
<グローバリゼーションとは>
2( )グローバリゼーションとは:歴史的理解
今週の宿題:必読文献①を読む
3( )グローバリゼーションとは:概念的理解、野宮2004、四つの概念化
今週の宿題:必読文献②を読む
4( )グローバル市民社会の登場:野宮2015、グローバル市民社会
今週の宿題:必読文献③を読む
<地球規模の環境問題の発生>
5( )何が今、問題なのか?シバとバーロウの対話
Democracy Now 2011
6( )国際環境政策の抱える問題:COP15、野宮 2009
7( )学生プレゼン:
(1)2011年日本の反原発運動&代替エネルギー
(2)地球温暖化を止める:京都議定書とNGO
今週の宿題:必読文献④を読む
<政治の変容:国家からグローバルな世界へ>
8( )近代国家の出現と溶解:国家を相対化する、野宮の「世界史」、
Cohen&Kennedy 2000
9( )国家vs未成熟な市民社会:1950sそして2011、日本の反原発運動(野宮2011)、
2003年イラク戦争反対運動(野宮 2005)
10( )学生プレゼン:
(1)国境を越えて連帯する(Zapatista)
(2)国家の行為へ反対する沖縄反基地闘争
今週の宿題:必読文献⑤を読む
<新たな経済問題の発生>
11( )経済GLとは?:資本主義、ネオリベラリズム、Bourdieu, Jeorge, Waquant, etc
12( )ネオリベラリズム政策の帰結:インドの農民と自殺、Democracy Now 2011
ネオリベラリズム政策執行機関への対抗:反WTO運動、G8対抗運動
野宮 2008, 石見&野村 2004など
13( )学生プレゼン:
(1)ジュビリー2000
(2)貧困、労働者のデモ2011
<Wrap Up>
14( )質問と期末エッセイの執筆・提出
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎週、指定したテキストのリーディング課題があります。また、5回のレポート提出に向けて、さらなるリーディングとライティング課題が出ます。最後に、自ら学習した成果をプレゼンするために、授業時間外で準備を行います。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 30 | ・5つの必読文献の論点要約をします。 ・1つの文献に付きA4で1500字から2000字(タイプ)で論点を要約します。宿題が出た週の翌週の授業開始時に提出します。 |
期末試験(到達度確認) | 40 | 期末エッセイを書きます。 |
平常点 | 15 | 授業参加の積極性を評価します(ディスカッション+質問+コメントなど)。 |
その他 | 15 | グループ・プレゼンにて、クラスへの貢献度を評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
宿題レポートは、毎回、提出者各自にフィードバックを行います。また最終エッセイでもフィードバックを行います。自主学習に基づくプレゼンについては、授業時間内外を問わず、必要に応じてフィードバックを行います。
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
グローバル化がもたらす諸問題をどのようにして解決するかについて、常に思考を張り巡らす授業内容です。課題解決に向けた態度を養います。また、時折、スクランブル形式でグループディスカッションやグループワークを行います。また、学生の主体的学習によるプレゼンテーションを行います。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
manabaやその他オンライン面談など、学習支援を行います。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
必読文献:
① カックイン他「1章グローバル化する社会」inヘルド編『グローバル化とは何か』2002.
② 野宮「11章グローバル市民社会」in 吉川元他編『グローバル・ガバナンス論』2014.
③ 毛利「第4章地球環境とNGO」in 馬橋他編『グローバル問題とNGO・市民社会』2007.
④ 野宮「1章サミットプロテストの登場と発展」in 野宮他編『サミット・プロテスト』2016.
⑤ 佐久間「9章社会運動のグローバル化」
参考文献:
・コーエン&ケネディ.『グローバル・ソシオロジー』 2003(2000)
・目加田説子.『国境を越える市民ネットワーク』.東洋経済 2003
・野宮大志郎.『社会運動と文化』.ミネルヴァ書房.2002
・Daishiro Nomiya."Under a Global Mask: Family Narratives and Local Memory in Global Social Movement in Japan." in Societies without Borders 4:117-140. 2009
・マンフレッド・スティーガー『グローバリゼーション』(2011)岩波新書