シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
特殊講義(ヨーロッパ思想) | 2024 | 後期 | 火5 | 総合政策学部 | 横山 陸 | ヨコヤマ リク | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PS-PE3-0001
履修条件・関連科目等
哲学・思想について基礎知識がない人は「特殊講義(哲学)」を合わせて履修してください。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本年度はドイツの哲学者ハンナ・アーレント(1906-1975)の政治哲学をとりあげ、民主主義社会における「公共」の意味と意義について考えます。アーレントはユダヤ系の女性哲学者で、ナチズムに追われてアメリカに亡命した後、同地にとどまり『全体主義の起原』や『人間の条件』において独自の政治哲学を展開しました。講義では、アーレントの著作『人間の条件』の内容を毎回、少しずつ解説しながら、彼女の政治思想について紹介していきます。講義を手引きに、ぜひ履修者自身も同書を手に取って、実際に哲学書を読むという体験を味わって欲しいと思います。
科目目的
哲学の基本的な考え方を理解し、総合政策学部の理念である「政策と文化の融合」に基づいて、哲学の観点から現代社会のさまざまな問題を批判的(=論理的)に分析し、その背景にある社会の理念や規範を問い直す力の習得を目指します。
到達目標
(1)哲学の概念や理論を理解し、自らの言葉で説明できる。
(2)それらの概念や理論を応用して、社会の諸問題を分析できる。
授業計画と内容
※参加者の人数や関心・理解度に応じて、内容や進捗度は変更する場合もあります。
第01回 人間の条件とは
第02回 人間は「社会的動物」か「政治的動物」か?
第03回 公的領域と私的領域
第04回 人間の様々な活動
第05回 労働と生命活動
第06回 労働と仕事の違い
第07回 消費と社会
第08回 世界の耐久性
第09回 世界の永続性
第10回 言語的「行為」について
第11回 「行為」の代替としての「制作」
第12回 言語的行為としての許しと約束
第13回 世界からの疎外
第14回 「労働する動物」の勝利
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 100 | 講義で紹介した哲学・思想の基本的な概念や理論を理解し、自らの言葉で説明できるどうか、また、それらの概念や理論を応用して、社会の諸問題を分析できるかどうか、を評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
出席とリアクション・ペーパーの提出がそれぞれ3分の2を満たない者については、成績評価の対象から外します。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
リアクション・ペーパーと、それに対する全体に向けたフィードバック(総評)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【教科書】ハンナ・アーレント『人間の条件』牧野雅彦訳,講談社(学術文庫),ISBN4065314275
【参考書】ハンナ・アーレント『活動的生』森一郎訳,みすず書房,ISBN4622078805
※教科書・参考書は大学生協(中央大学生活協同組合)にて割引価格で購入できます。オンラインでも注文できます(割引を受けるためには受け取り場所は大学生協となります。)詳しくは大学生協に問い合わせください。
https://www.chudai-seikyo.or.jp/books/personnel/counter_receipt.php
https://www.chudai-seikyo.or.jp/
その他特記事項
授業やレポートに関する連絡はmanabaのコースから行いますので、必ずリマインダーが受信できるよう設定しておいてください。(リマインダとは、manabaのコース上に連絡があると、学生の大学メールアドレスへ自動的に通知がされる機能です。)
思想や哲学は実験や統計に基づいた「実証科学」ではありません。また、現実の問題への解決策を具体的に示すものでもありません。むしろ現実の問題の背景にある概念や理念を問い直して、これまでにない視点(物の見方・考え方)を示そうとするものです。たとえば、人間関係の悩みに対して、それを解決するための直接的な手段(セラピー、薬の処方、コミュニケーション・スキルの伝授)ではなく、「そもそも他者とは何なのか?」と問い直すことを通じて、問題を解決するための視野を広げてみせるものだと考えてください。
「物の見方・考え方の視野を広げる」ことは、複眼的な視点から社会問題の解決策を立案する「総合政策」の理念に欠かせないものです。それは(昔ながらの言い方をすれば)「教養」であり、(最近の言い方をすれば)「リテラシー」ということになるでしょう。「視野を広げる」ためには、抽象的な議論が必要となります。また、自分のもっている道徳観・宗教観・価値観を相対化する必要もあります。たんに「抽象的だから意味がない」、あるいは、自分の道徳観・宗教観・価値観と違うから「自分はそう思わない」で終わりではなく、新たな視点から物事を考えようとする姿勢が求められます。
なお、講義および教員の姿勢は決して「中立」ではありません。民主主義の基本である個人の自由と人権の尊重、および中央大学のダイバシティ宣言を前提としています。