シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 現代社会思想/特殊講義(ヨーロッパ思想) | 2026 | 前期 | 火3 | 総合政策学部 | 万田 博文 | マンダ ヒロフミ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PS-PE3-0001
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
数ある視点のうちの一つの視点として、自然科学に対する数学の位置と人文/社会科学における哲学の位置には相同性があると見る視点があります。
数学において導出された解が、諸自然科学の見いだしたデータとそのまま完全に一致するのはレア・ケースであり、ましてや厳密な意味での現実世界の諸事象との一致は希有であるのと同様に、哲学において導き出された解を諸人文/社会科学にそのまま素朴に適用しようとしたり、その解が現実世界の諸事象を無矛盾に説明できると考えたりするのは早計でしょう。
それでは数学も哲学も無用の長物であるということになるのでしょうか。本講義は「そうではない。数学が<実用的>であるのと同様、哲学も<実用的>である。」という立ち位置から出発します。ここで問題となるのは、学の「実用性」とはどういうことか、延いては実学とは何なのかという問いだと思われます。
この壮大な問いを考えるにあたって、幾多のアプローチの中の一つの「導きの糸」として本講義はマルクス・ガブリエルの哲学を取り上げます。具体的には彼の近著『倫理資本主義の時代』を批判的に読み解くことを通して、演繹の空回りや帰納の不確実性に対して十分に警戒しながら、学と社会を繋ぐ<現実的な解>を、またもっと微視的に<私自身が考える>ことと<私自身が生きる>ことを繋ぐ<現実的な解>を導き出すにはどうしたらよいのか、履修者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
講義は大きく三つのパートに分かれます。第一部では問題の所在が確認され、第二部ではその問題をめぐるマルクス・ガブリエルの議論が紹介されます。第三部ではまとめとしてその議論を前提としたさらなる議論を進めていく予定です。
履修者は、最低でも教科書として指定された『倫理資本主義の時代』を読み込んだ上で、毎回講義後にリアクション・ペーパーを書き、最終的に学期末レポートを提出します。
科目目的
哲学の基本的な考え⽅を理解し、総合政策学部の理念である「政策と⽂化の融合」に基づいて、哲学の観点から現代社会のさまざまな問題を批判的/論理的に分析し、その背景にある社会の理念や規範を問い直す⼒の習得を⽬指します。
到達目標
(1) 哲学の概念や理論を理解し、 ⾃らの⾔葉で説明できる。
(2) それらの概念や理論を応⽤して、社会の諸問題を分析できる。
授業計画と内容
※履修者の人数や関心・理解度に応じて、内容や進捗度は変更されることがあります。
第一部
01:序。問題提起
02:現状に至る機序
03:現状からの機序推測
第二部
04:マルクス・ガブリエルの位置
05:倫理資本主義
06:エコ・ソーシャル・リベラリズム
07:CPO (最高哲学責任者) 設置というアイデア
08:子どもへの選挙権という提案
09:人間とAIの関係
10:マルクス・ガブリエルが見る未来像
第三部
11:批判的継承
12:学の実用性 / 実学
13:考えることと生きること
14:むすび。暫定的結論
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| レポート | 100 | 講義で紹介した哲学・思想の基本的な概念や理論を理解し、自らの言葉で説明できるどうか、また、それらの概念や理論を応用して、社会の諸問題を分析できるかどうか、を評価します。禁止行為・剽窃行為(詳しくは講義内で説明します)が発見された場合には成績評価の対象から除外されることがありますので気をつけてください。 |
成績評価の方法・基準(備考)
毎回の講義後にリアクション・ペーパー (以下、RP と表記します) を提出してもらいます。RPの提出期限は講義実施日後13日目の23:59とします。たとえば 1日が講義日の場合、14日23:59が締め切りです。RPの提出回数が講義回数の 3分の 2に満たない場合は F (または E ) 判定 (=不可) となります。
RPに関して以下の⾏為を禁⽌します。禁⽌⾏為が発⾒された場合、それが 1回であっても成績評価の対象から除外されることがありますので気をつけて下さい。
・ ⽣成AIを利⽤してRPを作成すること。
・ RPの⼀部または全部を、インターネットサイトや書籍などからコピーまたは無断引⽤すること。
・ RPの⼀部または全部を、他⼈に作成させること。
・以上の点が疑われる際の科⽬担当教員からの指⽰/指導にすぐに応じないこと。
* ⽣成AIの無断使⽤やインタネーット/書籍などからの無断引⽤は「剽窃」 ⾏為と⾒なされる恐れがあります。いずれも学則等に基づき「不正⾏為」として処分の対象となる恐れがありますので、絶対に⽌めてください。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
リアクション・ペーパーと、それに対する全体に向けたフィードバック(総評)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【使用テキスト】
・マルクス・ガブリエル『倫理資本主義の時代』土方奈美訳、早川書房 (ハヤカワ新書)。
【参考文献】
・マルクス・ガブリエル『超越論的存在論:ドイツ観念論についての試論』中島新/中村徳仁訳、人文書院。
・マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』清水一浩訳、講談社 (講談社選書メチエ)。
・マルクス・ガブリエル『新実存主義』廣瀬覚訳、岩波書店 (岩波新書)。
・マルクス・ガブリエル『考えるという感覚/思考の意味』姫田多佳子/飯泉佑介訳、講談社 (講談社選書メチエ)。
・菅原潤 『マルクス・ガブリエルの哲学:ポスト現代思想の射程』、人文書院。
※教科書・参考書は大学生協(中央大学生活協同組合)にて割引価格で購入できます。オンラインでも注文できます(割引を受けるためには受け取り場所は大学生協となります。)詳しくは大学生協に問い合わせください。
https://www.chudai-seikyo.or.jp/books/personnel/counter_receipt.php
https://www.chudai-seikyo.or.jp/
その他特記事項
哲学・思想は実験や統計に基づいた「実証科学」ではありません。また、現実の問題への解決策を具体的に⽰すものでもありません。むしろ現実の問題の背景にある概念や理念を問い直して、これまでにない視点 (物の⾒⽅/考え⽅) を⽰そうとするものです。これはたとえば、⼈間関係の悩みに対してその解決のための直接的な⼿段 (セラピー、薬の処⽅、コミュニケーション・スキルの伝授等) ではなく、「そもそも他者とは何なのか︖ 」と問い直すことを通じて、問題を解決するための視野を広げていくことだと考えてください。
「物の⾒⽅/考え⽅の視野を広げる」ことは、複眼的な視点から社会問題の解決策を⽴案する「総合政策」の理念に⽋かせないものです。それは (昔ながらの⾔い⽅をすれば) 「教養」であり、(最近の⾔い⽅をすれば) 「リテラシー」ということになるでしょう。「視野を広げる」ためには、抽象的な議論が必要となります。
また、 ⾃分のもっている道徳観・宗教観・価値観等を相対化する必要もあります。たんに「抽象的だから意味がない」、あるいは、 ⾃分の道徳観・宗教観・価値観と違うから「⾃分はそう思わない」で終わりではなく、新たな視点から物事を考えようとする姿勢が求められます。なお、講義および教員の姿勢は、 ⺠主主義の基本である個⼈の⾃由と⼈権の尊重、および中央⼤学のダイバシティ宣⾔を前提としています。