シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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金融論Ⅱ | 2024 | 後期複数 | 火3,金1 | 経済学部 | 小倉 将志郎 | オグラ ショウシロウ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-FE3-162X
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
応用的な内容となります。主要テーマとして、全28回の講義のうち、前半は「金融仲介とその展開」を、後半はそれを基礎に進展する「金融化(financialization)」を扱います。
科目目的
本科目の目的は、金融・金融仲介に関する基本的・発展的知識とそれらの最新の状況を知ること、それらと密接な関連を持つ新しい学術的アプローチである「金融化」論(主に欧米で展開するヘテロドクス(非主流)金融理論)の概要を理解すること、そして両者を通じ、経済・社会において金融が果たしている、あるいは今後果たしていくべき役割について、既存の議論を踏まえて自ら考え、それらを多角的・多面的に認識することです。そうした観点から本科目では、「一般的結論を教えること」や「担当者の考えを伝えること」よりも、受講生自らが考え、多様な意見を吸収し、そうしたプロセスを経て自身の確信的な意見に到達するための「素材の提供を行うこと」を強く意識します。
到達目標
①現代の銀行ビジネスモデルについて理解する
②近代から現代までの貨幣社会の経緯を把握し説明することができる
③貨幣供給の内生性・外生性の差異が説明できる
④国際通貨体制の経緯を貨幣論として説明できる
授業計画と内容
第1回 ガイダンス:金融仲介とその展開
第2回 銀行とその機能-間接金融①
第3回 銀行の業務とその展開(メガバンクと地方銀行を中心に)-間接金融②
第4回 地域・中小企業金融とは何か(協同組織金融機関とビジネスモデルとしてのリレーションシップバンキングを中心に)-間接金融③
第5回 証券会社と証券業務-直接金融①
第6回 証券市場で重要な地位を占める機関投資家(年金基金、投資信託、保険会社を中心に)-直接金融②
第7回 証券市場での地位を急速に高めるオルタナティブ投資主体(ヘッジファンド、PEファンド、ベンチャーキャピタルを中心に)-直接金融③
第8回 わが国における金融システムの歴史的展開(メインバンク制から「貯蓄から投資」へ)-市場型間接金融①
第9回 「市場型間接金融」における銀行の役割-市場型間接金融②
第10回 「影の銀行」、ノンバンク金融仲介機関が担う新しい金融仲介の世界的拡大-影の銀行システム①
第11回 資産証券化とストラクチャード・ファイナンス-影の銀行システム②
第12回 デリバティブ(先物・先渡し、スワップ、オプション)の原理とその利用拡大-影の銀行システム③
第13回 急拡大するホールセール短期金融市場とは何か(レポ取引を中心に)-影の銀行システム④
第14回 格付機関と自主規制による「規制の民営化」-影の銀行システム⑤
第15回 到達度確認および解説
第16回 「金融化(financialization)」とは何か-金融化の基礎①
第17回 金融化アプローチの先行研究、特にその原因をめぐる議論の整理-金融化の基礎②
第18回 「利潤の金融化」と非金融企業の金融活動-企業の金融化①
第19回 「支配の金融化」と株主価値重視のコーポレートガバナンス、株主のための会計制度(「会計の金融化」)-企業の金融化②
第20回 「所得の金融化」と個人の金融活動-家計の金融化①
第21回 「日常生活の金融化」と「金融的計算」の広まり-家計の金融化②
第22回 ソブリンウェルスファンドと公的年金を通じた「政府のファンド化」と金融市場を促進する「中央銀行プット」-政府の金融化①
第23回 人的・資金的つながり(「回転ドア」、ロビーイング、政治献金)に基づく金融の権力-政府の金融化②
第24回 大手商業銀行・投資銀行の金融コングロマリット化とそれを巡る諸議論-金融の深化①
第25回 金融イノベーションの展開(「プレーンバニラ」からICTと金融の融合としての「フィンテック」まで)-金融の深化②
第26回 金融化が社会に及ぼしうるポジティブな影響-金融化の諸影響①
第27回 経済格差、所得・資産の上位1%集中と金融化-金融化の諸影響②
第28回 金融不安定性、金融危機の「破滅のループ」と金融化-金融化の諸影響③
このスケジュールはあくまで目安であり、授業の展開次第で臨機応変に変更します。たとえば、進み具合により2回分の内容を1回にまとめるといった変更を実施したり、実務家をお呼びして話を聞く回を入れる、といった可能性があります。
授業計画に変更が発生する場合には授業の際にお伝えします。詳しくは初回ガイダンスで確認してください。
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
特に授業の復習を十分に行ってください。試験前にまとめて行うのではなく、毎回の授業終了後に時間を空けずに行うのが効果的です。
授業内で紹介する文献・サイト・番組等には積極的にアクセスしてください。
授業時間外でも、広い意味で授業に関する質問などがあれば、授業支援システム(manaba)やメールなどでご連絡いただければ対応します。またオフィスアワーでの対応も行います。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
中間試験 | 50 | 得点 |
期末試験(到達度確認) | 50 | 得点 |
成績評価の方法・基準(備考)
詳細は初回ガイダンス時に説明します。授業内で課題等を実施した場合は加点対象(10%前後)とします。
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
授業時間の一部を使ったり、授業支援システム(manaba)を活用したりしてフィードバックします。
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業支援システム(manaba)を活用し、担当者・学生間の相互コミュニケーションの機会を確保します。受講生から個別に提出された重要な質問などについては個別に回答するだけでなく、必要に応じて、授業内やweb掲示板等も活用して他の受講生と共有します。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
授業支援システム(manaba)を利用する回が複数回あります。どの回に実施するかについては原則として事前予告するので、その際にはPC、タブレット、スマートフォンなどの機器と通信環境をご準備ください。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
使用しません。
【参考書】
小倉将志郎『ファイナンシャリゼーション』桜井書店,2016年,ISBN:978-4-905261-27-8
その他特記事項
これからの社会を作る皆さんには、国際的な社会的課題(Global Issues)の認識と解決が求められています(いわゆるSDGsもその一環です)。本科目の受講がその一助となれば、と考えています。
なおシラバス記載内容は授業を実施していく中で更新される可能性があります。スケジュールや成績評価などの重要情報を含む授業に関する最新情報は、初回ガイダンス(特に重要!)および毎回の授業で随時お伝えしていきますので、聞き逃さないようにしてください。