シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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課題演習Ⅰ | 2024 | 春学期 | 木5 | 商学部 | 井上 義朗 | イノウエ ヨシオ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
CM-BS2-11XS
履修条件・関連科目等
2年次配当の事前登録科目です。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
〔テーマ〕
『新書』で学ぶ、日本経済と経済学の基礎
『新書』(岩波新書、中公新書、講談社現代新書など。新刊書という意味ではありません)は、ほぼ日本に固有の出版文化と言ってよいものです。「新書」は専門書ではありませんが、決して水準の低いものではありません。『新書』は、専門家が専門知識や専門用語に頼らずに、学問の成果を一般読者に伝えようと、さまざまに工夫を凝らして書かれるものです。そのため、やさしく書かれていながら、専門書以上に内容の充実しているものが少なくありません。特に、政治系、経済系、社会系の新書には、『新書』の名著と言われるものが数多くあります。このゼミでは、経済学関係の定評ある『新書』を取り上げ、経済学と現実経済の基礎知識を修得します。
課題演習Ⅰ(春学期)
課題演習Ⅰ(春学期)では、日本経済の基礎中の基礎を学びます。たとえば、「バブル崩壊と長期不況」という表現がよく使われますが、そもそも「バブル崩壊」あるいは「バブル経済」とは何なのか。なぜ、そのようなことが起こり、それは普通の好況・不況とどこが違うのか。そして、なぜバブル崩壊後、日本は長い不況に苦しめられたのか。それは偶然だったのか、それとも特別な理由があったのか。あるいは、少子高齢化が日本経済におよぼす影響とは、具体的にはどのようなものなのか。そして、なぜ豊かな社会に貧困が舞い戻ってきたのか。6人に1人と言われる子どもの貧困を食い止めることはできないのか。こういった基本的な問題について、鋭い視点から説得力ある議論を展開している『新書』を取り上げ、輪読と討論を通じて理解を深めていきます。
(参考)課題演習Ⅱ(秋学期)
課題演習Ⅱ(秋学期)では、経済学の考え方や経済思想について検討します。教科書とは一味違う語り口で経済学の考え方をやさしく解説している本、あるいは、経済学を築いてきた先人たちの思想をわかりやすく解説している本を取り上げます。日本には経済学史に関する名著が多く、その多くが『新書』のなかにあります。歴史のなかに経済学を置くことで、時代の難題に挑んでいった経済学の、生きた姿を垣間見ることができると思います。秋学期後半では、それまでの輪読・討論をふまえて演習論文を作成します。研究テーマの絞り方、論文の書き方、発表や討論の仕方など、専門演習でも実社会でも求められる基本技能を修得します。
科目目的
この科目は、ベーシック演習Ⅰ・Ⅱで養成された基礎的な能力を、具体的なテーマに沿って応用・発展させることで、適応力・判断力・実践力を身につけ、他者と協働する能力を養うことを目的としています。
この科目は、カリキュラム上の専門演習科目に位置づけられることから、現在、日本の経済が抱えている重要な問題について、基礎的な知識を修得するとともに、経済関係の文献を正確に、時には批判的に読む習慣を身につけることを目的とします。皆さんは、経済学の基礎理論であるミクロ経済学とマクロ経済学を2年次に履修しますので、この演習では理論書や専門書は取り上げず、一般読者向けの『新書』を輪読します。『新書』とはいえ、じっくり丁寧に読み込めば、専門書に勝るとも劣らない視野と知見を身につけることができます。現代の経済はいまどうなっているのか、経済学とは何をする学問なのかといった話題を、テレビやネット情報よりも一段深いレベルで理解することを目標に、積極的に参加してもらえればと思います。
到達目標
この科目では、以下の点を到達目標とします。
・日本経済の現状について、その歴史的背景も踏まえながら理解し、その基本的な課題や解決の方向性について、主体的に考え、他者と意見交換できるようになること。
・経済学の基本的な考え方や思想について理解し、その概要を自分の言葉で表現できるようになること。
・以上の点を総合して、学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)が求める人材像において、特に「適応力・判断力・実践力」すなわち、「ビジネスをはじめとする様々な分野において、多様性を理解・尊重し、柔軟な適応力・総合的な判断力・確かな実践力を身につけ、他者と協働することができる」能力、ならびに「主体的学修能力・知的好奇心」すなわち、「知的好奇心、協調性やリーダーシップ、倫理観や社会的責任の自覚、自己管理力などを有し、主体的に学びを継続することができる」能力の獲得を目標とします。
授業計画と内容
課題演習Ⅰ(春学期)
1.プロローグ
2.バブル経済以降の日本経済を概観する
3.なぜバブル経済になったのか
4.なぜバブルは崩壊したのか
5.バブル崩壊のあと、なぜ長期不況になったのか
6.長期不況に対して、どのような政策が行われたのか
7.景気回復と格差拡大は関係があるのか
8.少子高齢化時代の社会保障はどうあるべきか
9.異次元金融緩和とは何か
10.財政破綻とは何か
11~14:グループワーク(輪読したテキストを題材に、理解をさらに深めるためのグループワークを行います)
11.グループワーク(1):グループ課題の設定
12.グループワーク(2):プレゼンの方針と内容の協議
13.グループワーク(3):プレゼン資料の作成
14.グループワーク(4):プレゼンテーションの実施
課題演習Ⅱ(秋学期)
1.プロローグ
2.アダム・スミスは、「お金」は「富」ではないと言った。なぜか?
3.アダム・スミスは、「工業」より「農業」が先だと言った。なぜか?
4.アダム・スミスは、「競争」のやりすぎは良くないと言った。なぜか?
5.アダム・スミスは、『国富論』よりも前に「道徳」の本を書いていた。本当か?
6.経済学が考える「市場」とは、どのようなものか?
7.経済学が考える「企業」とは、どのようなものか?
8.経済学が考える「人間」とは、どのようなものか?
9.経済学が考える「社会」とは、どのようなものか?
10.自己責任論とは、何なのだろうか?
11~14:グループワーク(輪読したテキストを題材に、理解をさらに深めるためのグループワークを行います)
11.グループワーク(1):グループ課題の設定
12.グループワーク(2):プレゼンの方針と内容の協議
13.グループワーク(3):プレゼン資料の作成
14.グループワーク(4):プレゼンテーションの実施
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 50 | ・欠席・遅刻がないこと ・事前の予習を十分に行い、討論に積極的に参加していること |
その他 | 50 | ・プレゼンテーションの内容 ・グループワークに、積極的に取り組んでいること |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
〔テキスト(例)〕
次のような新書を取り上げる予定です。新書は次々と新しいものが出されますので、学期の初めにあらためて決定します。
課題演習Ⅰ(春学期)
・山家悠紀夫『日本経済30年史ーバブルからアベノミクスまで』(岩波新書)
・河村小百合『日本銀行-我が国に迫る危機』(講談社現代新書)
・阿部彩『子どもの貧困』(岩波新書)
など
課題演習Ⅱ(秋学期)
・堂目卓生『アダム・スミス』(中公新書)
・佐々木隆治『カール・マルクス』(ちくま新書)
・坂井豊貴『マーケットデザイン』(ちくま新書)
など
その他特記事項
〔募集人数〕
15名程度
〔募集方法〕
〇志望動機(エントリー時にC plusで入力)
〇面接試験
〔課題図書〕
演習開始前の課題図書は特に定めません
〔注意事項〕
欠席が多い場合は、単位認定できません。
〔国外実態調査〕
実施しません。
[使用ソフト]
ワープロソフト(Wordなど)とスライド作成ソフト(パワーポイントなど)