シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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法解釈演習 B | 2023 | 秋学期 | 木1 | 法学部 | 通山 昭治 | トオリヤマ ショウジ | 1年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-AD1-002S
履修条件・関連科目等
法律学科の1年次生
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
第一に、法適用の基本を身につける。条文をきちんと読み、適確に法適用ができる能力を養う。
第二に、こうした技法の先にある価値判断の世界へ学生を誘う。法律学の議論のマナーにしたがいつつ、価値判断ができるようになる素地を養う。
そのために、価値判断が分かれている問題について、現在の対立状況を整理した上で(論点整理をした上で)、自らの意見を説得的な形で展開するという体験を得させる。
その素材として、反対意見等がついた最高裁判所の判例をとりあげる。最高裁の裁判官たちの評議の場に参入し、同じ土俵の上で実践的に議論を戦わせることを目指す。
科目目的
この演習では、実定法学(解釈学)の方法論(①~⑥の法学的方法論)を初歩的に学び、実践することを目的とする。
ここでは、まずは、①条文を探し、②それを読んで情報を整理し、③例えば条文の内容をチャート化するなどしてその正確な理解を図り、④あてはめを行うという「文字通りの適用」のプロセスを正確に行うことができるようになることを目的とする。そして、こうした「文字通りの適用」によってでてくる結論について、⑤総合的な考察によりその妥当性を評価し、妥当ではない場合に⑥発展的な解釈(拡張解釈・縮小解釈・類推解釈等の解釈技法や、条文の削除や補正や追加といった方法)を駆使し、妥当な結論にいたる法解釈を行うことができるようになることも、さらなる目的の1つとする。
この演習では、①から④のプロセスを確実に進めることができることをまずは初歩的に学ぶ。その上で、⑤と⑥について、いわば「いったりきたり」、試行錯誤しながら妥当な結論にいたるより良い解釈が何であるかを考えるという法的思考(①~⑥の法学的方法論)をまがりなりにも生かすことができるようになることも目指す。
到達目標
まず第一に、上記の①~⑥の法学的方法論の全体像をつかむこと。
そして第二に、適用される条文が示されている状況にあって、その条文を事案にあてはめて結論をだすことができること、つまり、「文字通りの適用」(上記の①・②・③・④)ができるようになること。
第三に、論点について、議論の対立状況を整理できること。
第四に、論点について、さしあたり一つの見解を自らの見解として論拠を示して展開できること、すなわち、⑤と⑥を体験してみること。
もちろんこの最後の段階は、初年次では初歩的な体験にとどまるのであって、本格的にこれをするのは専門演習等が担うべきことといえるが、法学部における法律学教育の目標がどこにあるかを早い段階で具体的に見せておくことが必要であり、初年次の段階で少なくとも体験しておくことは必要であると考える。
授業計画と内容
下記のものはあくまでも一例である。下記の内容は、国籍法違憲訴訟(最大判平成20・6・4民集62巻6号1367頁)を例にとっている。なお、とり上げる最高裁の判例を変更すの場合があります。
第1回 法の解釈の概要の説明
第2回 問いをたてる(誰が誰に何を求めているのか)
第3回 条文を探す
第4回 国籍法2条1号の適用
第5回 国籍法3条1項の適用
第6回 裁判の経過を整理しよう。また、最高裁の裁判官たちの意見を整理しよう。
第7回 国籍法3条1項は憲法14条に違反するか考えてみよう(1) 多数意見を要約しよう。
第8回 国籍法3条1項は憲法14条に違反するか考えてみよう(2) 反対意見を要約しよう。
第9回 国籍法3条1項は憲法14条に違反するか考えてみよう(3) 対立点を明確にし、自分の意見を展開しよう。
第10回 国籍法3条1項は過剰なのか足りないのか(1) 多数意見を要約しよう。
第11回 国籍法3条1項は過剰なのか足りないのか(2) 藤田意見を要約しよう。
第12回 国籍法3条1項は過剰なのか足りないのか(3) 対立点を明確にし、自分の意見を展開しよう。
第13回 裁判を通じた法創造は可能なのか 藤田意見を要約しよう。
第14回 自分が最高裁の裁判官の一員になったつもりで意見を書いてみよう。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 40 | 8000字の課題レポートを提出する。 |
平常点 | 60 | 1回4点で14回皆勤の場合には、さらに4点を加算する。 4点X14=56点 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
予習・復習を十分にして授業に臨むこと。なお、予習では、毎回教材の該当部分をまえもって熟読したうえで、ゼミに参加し、復習では、ゼミでの討論等を踏まえて、各自でその重要な点について、さらに深く内容を掘り下げてください。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:森光『法学部生のための法解釈学教室』(中央経済社)
参考文献:
鵜飼信成『憲法』(岩波文庫34-035ー1)(岩波書店)
土井真一 『憲法適合的解釈の比較研究』 (有斐閣)
蟻川恒正『憲法解釈権力』 (勁草書房)
『憲法判例百選Ⅰ』第7版〔No.245〕 ( 有 斐閣)
『憲法判例百選Ⅱ』第7版〔No.246〕 ( 有斐閣)
その他特記事項
欠席や遅刻をせずに皆勤をめざして、たのしく修得していきましょう。
参考URL
とくになし