シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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進化学 | 2025 | 前期 | 月4 | 理工学部 | 青木 誠志郎 | アオキ セイシロウ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-BI2-9C12
履修条件・関連科目等
生物学、博物学、あるいは自然科学全般に興味がある方を歓迎します。高校で生物学や化学を履修していない方も、意欲を持って取り組むことで無理なく履修できるようにいたします。本授業に関連する基礎分野(例:遺伝学や分子生物学)の初学者のために、予習資料をmanabaのコースコンテンツで配布します。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
生物学には、生物を物質的・還元的に研究する分野の他に、生物間および生物と環境の関係性を研究する分野があります。本講義で扱う進化学は後者を主な対象とし、「進化機構」と「進化史」という2つの柱が提唱されています。本講義ではそれらの柱を元に、生物の多様性はなぜ、どのように生まれるのか?男女の違いや性の存在理由は?集団が協力するための条件とは?といったような問いを通して進化学を学びます:
また進化学に関係する分野として、系統学、集団遺伝学、分子進化学、生態学、ゲーム理論なども取り上げ、具体例を交えながら説明します。これらの説明を踏まえ、遺伝子-個体-集団といった生物の階層構造について理解を深め、さまざまな生物現象について皆さんと共に考察します。
科目目的
この科目での学習を通じて、生物の関係性を進化の視点から考察する力を養い、人間も含めた生物の相互作用に対する基礎知識を習得することを目的とします。この科目は、カリキュラム上の専門教育科目および教職課程の教科に関する科目として位置付けられていることから、生物学における専門性を反映するための進化の考え方について体系的に履修することを目指すと共に、理工学部の学位授与の方針に従い生命科学の観点から人類が直面する地球・社会・個人レベルの諸問題を把握・対処できる人材の養成を目指します。
到達目標
生物の不思議を進化の観点から見つめ、今もその謎への研究が続いている現象、例えば「多様な生物はどのように分かれて生まれてきたのか?」、「有性生殖や性差はなぜ存在するのか?」、「生物の利己性や利他性、協力行動はなぜ生じるのか?などの不思議について、科学的興味をもつことを到達目標とします。また、DNA、生物個体、生物集団、生態系さらには化石といった進化の材料と研究の方法について理解することを目指します。さらに「高等と下等」、「進化と退化」といった、社会的通念における問題点について考察できるようになることも、本科目の目標とします。
授業計画と内容
授業はスライド資料を用いた講義と毎週の宿題小テストで構成されます。
第1回:イントロダクション・系統学入門
第2回:系統学の考え方
第3回:分子系統学
第4回:性選択
第5回:性比
第6回:有性生殖の存在の原因
第7回:進化と多様性1:進化の定義
第8回:進化と多様性2:変異
第9回:生物間相互作用1:利己的行動
第10回:生物間相互作用2:利他的行動
第11回:生物間相互作用3:協力行動
第12回:集団遺伝学1:Hardy-Weinberg平衡と移動
第13回:集団遺伝学2:選択と突然変異
第14回:集団遺伝学3:遺伝的浮動と非任意交配
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
宿題を毎回の授業で提示し、翌週あるいは2週間後までに提出していただきます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 50 | 進化生物学の基礎知識と、生物間および生物と環境の関係性についての科学的説明のための能力を評価します。 |
平常点 | 50 | リアクションペーパー、manabaの小テスト、授業への積極的な質問や議論への参加を評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
評価方法:
学期末試験の結果(5割以上の正答を基準とします)を50%程度、宿題の小テストの提出を50%程度とします。質問などによる積極的参加を加点材料にします。
達成基準
・生物間および生物と環境の関係性について、具体例や研究方法を挙げつつ説明できる。
・生物の研究においれ重要とされる4つの視点である因果的要因(至近要因)、発生的要因、生存的要因(究極要因)、進化史的要因の4つを理解し説明できる。
・進化学の社会通念と科学的考え方の違いを説明できる。
・進化機構と進化史についてを解析方法と共に説明できる。
・系統学的方法や生物間の相互作用の進化について説明できる。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
授業中やメール用いたご質問を随時受け付けます。必要に応じてZoomなどでの対応を通じたフィードバックを行います。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
購入が必要なものはございません。必要な授業資料はすべてmanabaまたは授業内で配布します。
参考文献
以下を参考として紹介します(購入は不要です):
Scott Freeman, Jon C. Herron著「Evolutionary Analysis」Person Education, Inc.
Urryら「キャンベル生物学」丸善
ダーウィン「種の起原」岩波書店、光文社など
Nicholas H. Bartonほか「進化 分子・固体・生態系」メディカル・サイエンス・インターナショナル
Davies, Krebs, West「行動生態学」共立出版
酒井、高田、東樹「生き物の進化ゲーム」 共立出版
粕谷、工藤編「交尾行動の新しい理解」
日本生態学会編「生態学入門」東京化学同人
ドーキンス「利己的な遺伝子」紀伊国屋書店
アクセルロッド「つきあい方の科学」ミネルヴァ書房
その他特記事項
日常生活の中で、生物現象に対する「なぜ?」という問いを持ち、不思議を感じて科学や生物全体への興味を深めてください。いろいろ質問していただけると、さらに講義への理解が増すと思います。本講義を経験することで、皆さんの人生に「面白い!」と感じていただける何かが付け加わったならば、大変嬉しいです。