シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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ヨーロッパ研究Ⅰ政治・歴史 | 2024 | 春学期 | - | 横江 良祐 | ヨコエ リョウスケ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
GM-AT2-AB05
履修条件・関連科目等
履修条件:ヨーロッパ及びその歴史に強い関心を持ち、その様々な側面に対して独自の視点を提供できること。授業でのディスカッションやグループワークに積極的に参加できること。
関連科目等:2年次の「ヨーロッパの経済史」、および3・4年次の「ヨーロッパ産業論」「ヨーロッパ経済論」の基礎となるものである。
授業で使用する言語
英語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業では、激動の20世紀を通じてヨーロッパが経験した歴史的変遷に焦点を当てる。第一次世界大戦の勃発から始まり、戦間期の政治的・経済的激動、第二次世界大戦とその後の冷戦期、そして欧州統合と21世紀へのさまざまな挑戦へと続く。講義では、戦争と平和、政治イデオロギーと政治運動、革命と社会変革、経済政策、統合と分裂、他の地域との関係などのテーマを詳しく取り上げ、歴史学研究の観点から、それらが現代のヨーロッパと世界に与えた影響を考察する。20世紀ヨーロッパの全体的な流れと背景を理解することで、国際社会におけるその役割と影響力についての理解を深めるのが、この授業の目的である。
科目目的
・国際社会で必須とされる20世紀ヨーロッパの政治・経済・社会の基礎知識を提供し、包括的な理解を促す。各国の詳細な政治情勢や細かい知識の暗記を求めるのではなく、歴史全体の流れや重要な転換点に焦点を当て、各地域や時代における代表的な展開についての深い洞察に重点を置く。
・ヨーロッパ史の主要なテーマや転換点を自分の視点で捉え、独自の歴史解釈を形成する能力を育成する。したがって、批判的思考力を育成し、20世紀ヨーロッパの歴史を通じて、現代ヨーロッパおよび世界史全体に与えた影響への理解を促す。
・西洋史の専門科目の講義を通して、抽象的・具体的な内容を英語で習得・理解する言語能力を養う。さらに、グループワークや課題を通して、学術的な内容を英語で処理し、自分の解釈や見解を適切に伝える能力を促進する。
到達目標
・20世紀ヨーロッパ史の主要なテーマ、全体的な傾向、重要な転換点を詳細に説明できるようになり、それらの背景と結果を批判的に分析し、独自の視点と明確な根拠に基づいた解釈を提供できるようになること。
・批判的思考を駆使して、20世紀ヨーロッパ史が現代に与えた影響を深く理解し、それに関する論理的で洞察に満ちた議論を展開できるようになること。
・学術的な英語の聞き取りと読解能力を向上させるとともに、口頭および書面での表現力を高め、これらのスキルを国際的なコミュニケーション環境で効果的に活用できるようになること。
授業計画と内容
Lecture Overview - 各回の授業内容
1) Introduction and Course Overview - イントロダクションと科目概要
2) The Prelude to Catastrophe, 1900-1914 - 第一次世界大戦前のヨーロッパ
3) World War I and an Uneasy Peace - 第一次世界大戦と不安定な平和
4) The Russian Revolution and the Soviet Experiment - ロシア革命とソビエト連邦
5) Interwar Challenges: Democracy, Dictatorship, and Cultural Change - 戦間期の課題:民主主義、独裁主義、文化変動
6) The Great Depression and the Road to World War II - 大恐慌と第二次世界大戦への道程
7) World War II: Total War, Collaboration, and Genocide - 第二次世界大戦:総力戦、協力、ジェノサイド
8) The Coming of the Cold War and the New International Order - 冷戦の到来と新たな国際秩序の形成
9) Postwar Reconstruction and “the Golden Age of Capitalism” - 戦後復興と「資本主義の黄金時代」
10) Decolonisation, Postcolonialism, and Global Repercussions - 非植民地化とポストコロニアリズムの世界的影響
11) Revolution and Social Change in the 1960s and 70s - 1960年代と70年代の革命と社会変動
12) Europe in Transition, 1970s-1990s - 変革期のヨーロッパ、1970~90年代
13) The Fall of Communism and European Integration - 共産主義の崩壊とヨーロッパ統合
14) Conclusion: The Crisis of the 21st Century - 総括:21世紀の危機
科目の主要テーマ
・戦争と平和:2つの世界大戦を含む主要な紛争の原因、発展、その後の影響を探る。これらの戦争が社会、政治、国際秩序に与えた影響も検証する。
・政治イデオロギーと社会運動:民主主義、ファシズム、資本主義、共産主義、ナショナリズムなど、さまざまな政治的イデオロギーの台頭と影響を探る。また、社会規範や政治情勢を形成した重要な社会運動についても検証する。
・革命と社会変革:革命とそれによって引き起こされた変化に焦点を当て、これらの変革がヨーロッパの社会をどのように再形成し、それが世界に与えた波及効果を検討する。
・経済と国家:大恐慌、経済復興、ネオリベラリズムなど、世紀を通じた経済の発展について扱う。また、計画経済や社会福祉における国家の進化する役割も探る。
・統合と分裂:東欧諸国における共産圏の台頭と崩壊、欧州統合とその課題、国際主義とナショナリズムをめぐる問題などを探求する。
・ヨーロッパと世界:帝国主義と脱植民地化、冷戦の世界的影響、国際政治におけるヨーロッパの立ち位置など、ヨーロッパと他の地域との相互作用を探究する。
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
manabaで指定されたテキストを読み、事前に配布された課題がある場合はそれを完了させた上で授業に出席すること。授業中はノートを取り、その内容を積極的に復習すること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期)で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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成績評価の方法・基準(備考)
上述した科目到達目標に則し、下記の比率で評価する。
レポート課題(50%)
学期半ばに配布される質問のいずれかに答える2ページ以内の英文レポートを課す。レポートは、以下の基準をもとに評価される:
・序論で述べられた論旨が明確で、説得力があり、独創的であること。
・20世紀における複数の歴史的事例を論旨を補強するための証拠として利用し、授業内容に関する知識と理解を示していること。
・構成の論理性:本文の各段落が全体の論旨を支え、結論が導かれていること。
・英文の全体的な質:言葉の明瞭さと精確さ、丁寧な編集と校正の努力が示されていること。
平常点(50%)
授業への出席(学期を通じて最低11回の授業に出席することが要求される)、グループワークやディスカッションへの積極的な参加、及び口頭での貢献内容に基づいて評価される。さらに、授業後には短いリアクションペーパーをオンラインで提出することが求められる。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
manaba
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:なし。各授業のテキストは、事前にmanabaで指定する。
参考文献(日本語):
・マーク・マゾワー(訳:中田瑞穂、網谷龍介)『暗黒の大陸:ヨーロッパの20世紀』未来社、2015年。
・コンラート・ヤーラオシュ(訳:橋本伸也)『灰燼のなかから 上: 20世紀ヨーロッパ史の試み』人文書院、2022年。
・コンラート・ヤーラオシュ(訳:橋本伸也)『灰燼のなかから 下: 20世紀ヨーロッパ史の試み』人文書院、2022年。
・エリック・ホブズボーム(訳:大井由紀)『20世紀の歴史 上』筑摩書房、2018年。
・エリック・ホブズボーム(訳:大井由紀)『20世紀の歴史 下』筑摩書房、2018年。
・トニー・ジャッド(訳:森本醇)『ヨーロッパ戦後史(上)1945-1971』みすず書房、2008年。
・トニー・ジャッド(訳:浅沼澄)『ヨーロッパ戦後史(下)1971-2005』みすず書房、2008年。
その他特記事項
・日頃からヨーロッパに興味を持ち、また、政治や時事のニュースなどからも広く知識や情報を得ようと心掛けること。
・講義やグループワークは基本的に英語で進めるが、質疑応答は必要に応じてバイリンガルで行う。講義スライドに出てくる専門用語や難しい単語には日本語訳をつける。