シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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科学哲学研究 | 2025 | 通年 | 火5 | 文学部 | 飯盛 元章 | イイモリ モトアキ | 2~4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
LE-PE2-J213
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
「時間とはなにか」と「科学的知識とはなにか」というテーマで講義をします。
前期と後期数回をかけて、「時間」という個別の概念を取り上げます。まず、時間が自然科学(特に物理学)においてどのように扱われているのかを紹介します。自然科学のなかでは、任意の時点しか存在せず、特権的な現在というものが存在しないため、「時間が過去から未来へ流れる」ということが表現できません。「時間が流れる」ということをどのように考えたら良いのか。この点について、現代の分析形而上学の議論を手がかりに考察していきます。また、その他のさまざまな哲学者が時間についてどのように考えているのかも見ていくことになります。
後期の残りの回では、そもそも科学的知識とはどのようなものなのかについて考察します。ポパーの反証主義やラトゥールのアクターネットワーク理論などを参照することによって、科学者の営みについての理解を深めることを目指します。
科目目的
この授業には、以下の目的があります。
(1) 自然科学の見地を踏まえ、人間の生や日常的な見方を相対化できるようになること。
(2) 自然科学では語りえないもの(〈今〉や〈ここ〉など)があるということを理解すること。
(3) 自然科学そのものを相対化し、自然科学の見解には歴史的な発展があるということを理解すること。
到達目標
授業で扱われる内容(時間の本質、科学的知識の本質など)について自分の言葉で説明し、それに対して自分の主張を論理的に展開できるようになること。
授業計画と内容
毎回、前回の授業で取り上げきれなかったコメントや質問について解説しながら、ゆっくりと進めていきます。わからなかい点や思いついたことなどは、授業中にCommentScreenを使って投稿してください。
第01回 前期の導入
第02回 時間とはなにか01─特殊相対性理論と時間
第03回 時間とはなにか02─一般相対性理論と時間
第04回 時間とはなにか03─量子論と時間
第05回 時間とはなにか04─熱力学と時間
第06回 時間とはなにか05─タイムトラベルの哲学 (タイムトラベルの成立条件)
第07回 時間とはなにか06─タイムトラベルの哲学 (タイムトラベルのさまざまなパラドックス)
第08回 時間とはなにか07─マクタガート、時間の非実在性
第09回 時間とはなにか08─現在主義と永久主義
第10回 時間とはなにか09─ベルクソン、持続としての時間 (『意識に直接与えられたものについての試論』)
第11回 時間とはなにか10─ベルクソン、持続としての時間 (ベルクソン哲学のその後の発展)
第12回 時間とはなにか11─現象学における時間 (フッサール現象学の発展)
第13回 時間とはなにか12─現象学における時間 (フッサールと時間)
第14回 前期の総括・前期レポートの書き方について
第15回 後期の導入
第16回 時間とはなにか13─ホワイトヘッド、生成としての時間 (ホワイトヘッド形而上学入門 現実的存在・抱握・合生)
第17回 時間とはなにか14─ホワイトヘッド、生成としての時間 (ホワイトヘッド形而上学入門 絶えざる消滅と客体的不滅性、相対性原理)
第18回 時間とはなにか15─ホワイトヘッド、生成としての時間 (ホワイトヘッドと時間)
第19回 時間とはなにか16─ハーマン、対象と時間 (ハーマンvs. ホワイトヘッド、代替因果の論理)
第20回 時間とはなにか17─ハーマン、対象と時間 (四方対象、ハーマンと時間)
第21回 時間とはなにか18─メイヤスー、あらゆるものを破壊しうる時間 (メイヤスーと時間)
第22回 時間とはなにか19─メイヤスー、あらゆるものを破壊しうる時間 (相関主義批判から絶対的偶然性へ)
第23回 時間とはなにか20─メイヤスー、あらゆるものを破壊しうる時間 (帰納の問題から絶対的偶然性へ)
第24回 科学的知識とはなにか01─ポパーの反証主義
第25回 科学的知識とはなにか02─クーンのパラダイム論
第26回 科学的知識とはなにか03─ラトゥールのアクターネットワーク理論 (アクターネットワーク理論概要、『科学がつくられているとき』)
第27回 科学的知識とはなにか04─ラトゥールのアクターネットワーク理論 (『虚構の「近代」』、『科学論の実在─パンドラの希望』、プラズマが噴き出すとき)
第28回 後期の総括・後期レポートの書き方について
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 100 | 2回(前期と後期)のレポート提出により判定。授業の内容を理解し、自分の主張を論理的に展開できているかを確認します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
原則として出席点や平常点は考慮せず、レポートのみによって評価します。ただし、それまでに話したことを前提にして授業の議論が進んでいくので、可能な限り出席することを推奨します。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
毎回、授業中にCommentScreenを使ってコメントや質問を投稿してもらいます。授業の最後には、質問をじっくりと投稿する時間を設けます。
その回で回答しきれなかった質問については、次回の授業であらためてゆっくりと解説します。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは特にありません。参考文献は授業内でその都度、配布ないし紹介します。
差し当たり、以下のものを挙げておきます。
参考文献
・吉田伸夫『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?─最新物理学が解く時空・宇宙・意識の「謎」』(講談社、2020年)
・森田邦久『時間という謎』(春秋社、2020年)
・飯盛元章『暗黒の形而上学─触れられない世界の哲学』(青土社、2024年)
・戸田山和久『科学哲学の冒険─サイエンスの目的と方法をさぐる』(NHK出版、2005年)
・伊勢田哲治「科学哲学」(『哲学の歴史11』中央公論新社、2007年所収)