シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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国文学作家作品研究(1)A | 2025 | 前期 | 月4 | 文学部 | 吉野 瑞恵 | ヨシノ ミズエ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-JL3-A401
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
『源氏物語』に描かれたもののけと霊ー救済されない人々―
この講義では、『源氏物語』の中でもののけや霊が登場する場面を取り上げ、その表現の特徴と背後にある仏教思想との関連について考察する。
具体的には、次のような場面を取り上げる。よく知られている夕顔巻で夕顔がもののけに取り殺される場面では、もののけの正体は六条御息所と考えられることが多いが、実際に本文を読んでみると、多義的な解釈が可能になる場面であることがわかる。また、葵巻で六条御息所が生霊となって葵の上を取り憑く場面では、もののけとなる経緯が六条御息所の心に深く寄り添いながら語られているのが特徴である。六条御息所は死後ももののけとなって紫の上や女三の宮に取り憑き、このことは娘の秋好中宮に苦悩をもたらし、彼女の出家願望につながることになる。また、死者の霊が残された者の夢の中に現れることもあった。このような現象は、この世に執着が残っているためと解釈され、死者は救済されていないと考えられたのである。
以上のような場面を分析しながら、平安時代の人々の思考のありようについて考えてみたい。
科目目的
この科目は、学位授与の方針である国文学専攻の学問分野において求められる専門的な知識を身につけることを目的とする。
到達目標
この科目では、以下を到達目標とします。
・仏教思想に基づいた平安時代の人々の思考のあり方について理解できるようになること。
・『源氏物語』を原文で読解し、深く理解できるようになること。
授業計画と内容
第1回 授業ガイダンス
第2回 『源氏物語』概説
第3回 平安時代のもののけ、霊
第4回 光源氏、夕顔となにがしの院に赴く(「夕顔」巻)
第5回 夕顔を取り殺したもののけの正体(「夕顔」巻)
第6回 葵の上はもののけに取りつかれて苦しむ(「葵」巻)
第7回 光源氏は六条御息所のもののけと対面する(「葵」巻)
第8回 六条御息所はもののけになったことを自覚する、葵の上死去(「葵」巻)
第9回 六条御息所の死霊の出現(「若菜下」巻)
第10回 桐壺院の霊が光源氏の夢に現れる(「明石」巻)
第11回 桐壺院の霊が朱雀帝の夢に現れる(「明石」巻)
第12回 八宮の霊が阿闍梨の夢に現れる(「総角」巻)
第13回 仏教的な救済ともののけ、霊との関連
第14回 総括・まとめ・到達度確認
なお、扱う場面についてはシラバスと異なる場合があります。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 『源氏物語』におけるもののけ、霊の描かれ方の特色と、その背後にある平安時代の人々の考え方について説明できる。 授業中に取り上げた場面について正しく解釈できる。 |
平常点 | 40 | 毎回リアクションペーパーを提出してもらい、授業の参加度および理解度を評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
以下のテキストをコピーして配布する。参考文献については授業中に適宜紹介する。
『源氏物語』1~6(阿部秋生・秋山虔・今井源衛・鈴木日出男 校注・訳) 小学館新編日本古典文学全集