シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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イギリスの文化(2) | 2025 | 後期 | 火6 | 文学部 | 加太 康孝 | カブト ヤスタカ | 1・2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-EX1-B202
履修条件・関連科目等
「イギリスの文化(1)」と連続した内容ですが、必ず両方履修することを求めるものではありません。
関連については「授業の概要」を参照してください。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
現代イギリスの文化に見るアイデンティティーの諸相(第2部 さまざまな視角編)
現代イギリスにおけるアイデンティティーという主題を設定します。
その上で、「イギリス」という地域における複数性や多様性の表れ方という問題を念頭に置きます。
人々のアイデンティティーが単一のもの、均質なものであるということはあり得ません。
したがって複数性や多様性が浮かび上がることは当たり前のことなのですが、まずはそのことを体感することを目指します。
同時に、「複数性」「多様性」という言葉に止まってしまわないように(つまり、「いろいろな人がいるなあ」で終わってしまわないように)気を付けます。
複数性や多様性を具体的に捉えた上で、それを整理して理解することが重要です。
各回では特定の論題を挙げ、それに関わる文化的事象を題材として考察します。
「イギリスの文化(2)」では「さまざまな視角篇」として、世界の中での位置付けや主題ごとからの考察を行います。
(なお、前期の「イギリスの文化(1)」では「ブリテン諸島編」として「イギリス」を構成する地域および隣国のアイルランドを扱います。)
入門に当たる科目であり、扱う主題が広範囲にわたるため、まず各回の論題について概観し、大摑みな把握を試みます。
そのためどうしても広く、浅くという理解になってしまいがちですが、その欠点を補うべくさらにいくつか特定の文化的事象を取り上げて、具体的にそれぞれの問題に分け入っていきます。
その際には小説、詩、映像作品など多様な文化作品も扱うことになります。
また、現代のイギリスの社会に至るまでの経緯を理解しておくことの重要性を認識するべく、講義ではしばしば歴史的手法が取られます。
受講者は各回で提示される論題について自分なりの考えを持つことが求められます。
(具体的には「授業時間外の学習」の項目参照。)
科目目的
・ イギリスにおける文化およびアイデンティティーを理解するための知識や視点を学び、その全体像を把握する。
・ イギリスにおいて複数性、多様性がどのような形で表れているのかということについて理解を深める。
・ イギリスの文化およびアイデンティティーについての考察を通じて、あるひとつの地域における文化やアイデンティティーを学問的に扱う手法を習得する。
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受講生の方々は必ずしもイギリスという地域の研究に継続して携わっていくわけではないでしょう。
また、イギリスという地域に大きな関心を抱いている方ばかりでもないかもしれません。
いずれにしても受講生には、この科目で得た手法を自分の生活する、あるいは興味を持つ地域を見る際に応用していこうという姿勢が求められます。
ただしその一方で、ある地域についての考察から学んだ知識や手法を他の地域にも応用して広げていくためには、当該地域(すなわちこの授業ではイギリス)の特殊性を徹底的に理解しようと努めることが必要不可欠です。
ですから、イギリス以外の地域と比較する姿勢を念頭に置きながらも、まずはどっぷりとイギリスのことについて考えてもらいたいと思います。
到達目標
文学部は、学位授与にあたって「備えるべき知識・能力・態度」を定めています。その観点からこの授業では以下の目標を掲げます。
・ イギリス地域の文化を学ぶに当たって必要な専門的知識の基礎、および幅広い教養を身に付ける(「専門的学識」・「幅広い教養」)
・ イギリスという特定地域の文化について考察するための知識および視角を得ることで、複眼的に思考し、さらにはさまざまな地域社会のあり方について柔軟に対応する姿勢を身に付ける(「複眼的思考」)
・ イギリス地域の文化について学んだことを自分の関心に結び付け、適切に自分の言葉で表現する力を身に付ける(「コミュニケーション力」「主体性」)
授業計画と内容
第1週 導入——「イギリス」とは何か
第2週 帝国・コモンウェルス
第3週 ヨーロッパ
第4週 アメリカ合衆国
第5週 人種、民族⑴——ブリテン諸島の民族的多様性
第6週 人種、民族⑵——脱植民地化と民族的多様性
(11月4日 授業なし)
第7週 宗教、信仰——脱植民地化前後の宗教的多様性のあり方
第8週 社会階級⑴——王室・上流階級
第9週 社会階級⑵——ミドルクラス
第10週 社会階級⑶——労働者階級そして「新しい社会階級」
第11週 ジェンダー・セクシュアリティー⑴——「家庭の天使」の幻影
第12週 ジェンダー・セクシュアリティー⑵——20世紀後半に起きた「解放」
第13週 年齢、世代——保守的? 革新的?
(12月30日、1月6、13日 授業なし)
第14週 学期の総括
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
予習 各回の授業で次回の主題および扱う題材を提示し、またいくつかの問いを出します。
受講生は知らない固有名詞や概念についてあらかじめ調べ、また問いに対する自分の答えを用意しておいてください。
復習 各回の授業内で出てきた固有名詞や概念について不明点が残らないように、そして理解が深まるように、可能な限り調べてください。
その他、授業で紹介された書籍を読んだり、ウェブサイト、映画を自分で見たり、上演中の舞台や演劇、あるいは開催中の展覧会に足を運んだりしてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 65 | 学期を通じて得たイギリス文化に関する知識の定着度が問われ、また学んだ内容に基づいて自ら考察した内容を説明することが求められる。 |
平常点 | 35 | 各回のコメントペーパーが主たる評価対象となる。 |
成績評価の方法・基準(備考)
・ 毎回の出席が基本となります。さまざまな事情はあると思いますが、欠席は多くとも3回程度に収めてください。
・ 出席が14回中10回未満の場合、学期末試験は受けられず評価はFで確定します。やむを得ない事情による欠席(履修未確定の状態で出席していなかった回も含む)で出席回数が足りなくなる事態については早めにご相談ください。
・ オンライン授業では何をもって出席したと見なすべきか解釈が分かれがちです。この授業での出席の定義や履修期間までの最初の数回分の出席回数の扱い、やむを得ない不在時の代替措置については初回に説明した上で manaba 上に掲示します。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストとして指定するものはありません。適宜 manaba を通じて資料を配布します。
その一方で、受講生は授業の内容を深めるべく関連文献を各自で読み進めることが期待されます。
そうした文献については授業中に随時紹介していきますが、特にこの授業と関連性が深く、入手しやすいものは以下です。
・マイク・ストーリー、ピーター・チャイルズ (編)、塩谷清人(監訳)『イギリスの今 − 文化的アイデンティティ』2013年(世界思想社)(原著の最新版は Mike Storry and Peter Childs, _British Cultural Identities_, 6th edn, 2022)
・板倉厳一郎、スーザン・K・バートン、小野原教子『映画でわかるイギリス文化入門』2008年(松柏社)
・下楠昌哉(責任編集、著)、岩田美喜、西能史、丸山修、杉野健太郎、荒川裕子、小川公代、小舘尚文、下永裕基、立入正之、田中美穂、日臺晴子、深谷公宣、真野剛(著)『イギリス文化入門』2010年(三修社)
・石塚久郎、大久保譲、西能史、他 (編)『イギリス文学入門』新版(三修社、2023年)
・近藤久雄、細川祐子、阿部美春(編)『イギリスを知るための65章』第2版[エリア・スタディーズ、33](明石書店、2014年)
・吉賀憲夫(編)『ウェールズを知るための70章』第3版[エリア・スタディーズ、175](明石書店、2019年)
・尹慧瑛『暴力と和解のあいだ 北アイルランド紛争を生きる人びと』(法政大学出版局、2007年)
・海老島均、山下理恵子(編)『アイルランドを知るための70章』第3版[エリア・スタディーズ、44](明石書店、2019年)