シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門演習(3)(9)/ゼミ演習(3)(9) | 2025 | 通年 | 月2 | 文学部 | 石見 舟 | イシミ シュウ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
LE-DT3-C803,LE-DT4-C809
履修条件・関連科目等
「舞台芸術論」(前期)、「後期教養演習(舞台芸術)」(後期)、「ドイツ文化講義」(前・後期)の受講を強くおすすめします。
授業で使用する言語
日本語/ドイツ語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
タイトル:ヘーグ著『越境文化演劇』を通して演劇学に触れる
■全体のスケジュール
本授業は前期に、ドイツの演劇学者ギュンター・ヘーグの著書『越境文化演劇』の邦訳(三元社、2024年)を通読します。後期は『越境文化演劇』を下敷きとしながら、別の演劇学の手法に親しみます。ここまでで学んだことを活かして、受講生の皆さんに学術的なレポートを執筆していただきます。
■『越境文化演劇』について
『越境文化演劇』は、現代においてますます加速するグローバル化と、それへのリアクションとして興った原理主義との拮抗を演劇学的観点から観察し考察します。
なぜ「演劇学的観点」がこうした現代社会の分析に有効なのかと言うと、グローバル化と原理主義、そのどちらもが演劇的な装飾と演出によって自身の主張や価値観を広めようとしているからです。本書は演劇のみならず様々な事例を扱いながら、「演劇」とは何かを論じます。
ここでいう「演劇」とは劇場の内部で、周到なリハーサルの上で行われる「出し物」に留まりません。人間が他者と生きていく上で行われる小さな営為も含まれるような、射程の広いものです。ですから、これまで演劇に触れたことがない、演劇は嫌いだという方にも是非受講していただきたいと思います。
■授業の進め方
・前期については、各授業毎に『越境文化演劇』を20ページ程読み進めていきます(下記「授業計画と内容」参照のこと)。
・参加者は必ずその範囲を読んでおいてください。
・各授業で2名が発表担当者として、20ページを分割して担当し、著者の主張や背景知識、担当範囲で扱われている作品について発表します。
・その後、その発表資料を用いて参加者全員で疑問点やアイディアなどを共有し合うディスカッションを行います。
・後期も同様に授業を進めていきますが、テクストはmanaba経由でアップロードされる書籍の抜粋を読んでいきます。
・後期には「ケーススタディ」を二回実施予定です。直近で催される公演か展覧会等を鑑賞し、ディスカッションを行います。普段座学で行っていることの応用編です。
・後期の後半は、各参加者のレポートや卒業課題について発表、質疑応答を行い、ブラッシュアップを図ります。
■受講のために
前期、後期の初回授業で上記の発表担当者を決めます。必ずご出席ください。
もしも出席ができない事例に該当した場合は、できる限り早い段階で石見までご連絡ください。
■本演習の到達点
『越境文化演劇』を読み通すのには、それなりの覚悟とテクニックが必要です。正直なところ、学部生が一人で通読するには難しく、途中であきらめたくなってしまうかもしれません。しかし、「自分はどこが分からないのか」、「読んでいてどの箇所がしんどいのか」を他人に説明する技術は、大学で学んだり、働いたりする際に必ず必要になるスキルです。本演習は口頭でのディスカッションに重きを置くことで、他者の考えに触れ、それをよく理解し、自身の考えを伝えるスキルを研鑽する場にしたいと思います。
そして豊富な事例分析のどれかに心動かされたのであれば、それについて深く研究し、レポートにすることが可能です。(受講生持ち込みの事例についてレポートを書くことも大歓迎です。)自身の調べたことや考えについて文章にするスキルも学んでいきたいと思います。
科目目的
・ドイツ語圏演劇学の姿勢を修得する。
・作品、作者に関する調査・分析の方法を修得する。
・調査・分析した結果を発表して質疑応答する能力を修得する。
・調査・分析した結果をゼミ論として執筆する能力を修得する。
到達目標
・越境文化演劇という考え方について、例を挙げて説明できるようになること。
・自身の興味関心や問題意識を、「越境文化演劇」ないしドイツ語圏の演劇学の文脈と結び付けて論じることができるようになること。
・そのようなコミュニケーション手段としてのディスカッションやレポート執筆について習熟し、自身の主張や疑問点を他者と共有できるようになること。
授業計画と内容
第1回 授業案内、分担割り振り
第2回 ヘーグ『越境文化演劇』(1): S.11-33.(序章~第一部第一章)
第3回 ヘーグ『越境文化演劇』(2): S.34-50.(第一部第二、三章)
第4回 ヘーグ『越境文化演劇』(3): S.51-72.(第一部第四章一~三)
第5回 ヘーグ『越境文化演劇』(4): S.73-94.(第一部第四章四~第五章二)
第6回 ヘーグ『越境文化演劇』(5): S.94-113.(第一部第五章三)
第7回 ヘーグ『越境文化演劇』(6): S.116-129.(第二部第一、二章)
第8回 ヘーグ『越境文化演劇』(7): S.130-156.(第二部第三章)
第9回 ヘーグ『越境文化演劇』(8): S.158-179.(第三部第一、二章)
第10回 ヘーグ『越境文化演劇』(9): S.180-203.(第三部第二、三章)
第11回 ヘーグ『越境文化演劇』(10): S.204-217.(第三部第四章)
第12回 ヘーグ『越境文化演劇』(11): S.218-243.(第三部第五章)
第13回 ヘーグ『越境文化演劇』(12): S.244-262.(第三部第六章)
第14回 総括・まとめ
第15回 前期の振り返り、分担割り振り
第16回 レーマン『ポストドラマ演劇』 :ドラマと演劇の差異
第17回 フィッシャー=リヒテ『演劇学へのいざない』 :演劇上演を分析する
第18回 ケーススタディ(1): 上演分析とディスカッション
第19回 ジークムント『パフォーマンス演劇入門』(1) :ドイツ語での演劇(舞踊)学
第20回 ジークムント『パフォーマンス演劇入門』(2) :読んでみよう
第21回 ケーススタディ(2): 戯曲分析とディスカッション
第22回 発表とディスカッション(1): 論文の書き方、ゼミ論の進捗発表
第23回 発表とディスカッション(2): ディスカッションの意義、ゼミ論の進捗発表
第24回 発表とディスカッション(3): 上演分析、演劇批評の書き方、読み方
第25回 発表とディスカッション(4): 上演分析、演劇批評の推敲と修正の仕方
第26回 発表とディスカッション(5): 卒業研究・論文の成果発表(1)
第27回 発表とディスカッション(6): 卒業研究・論文の成果発表(2)
第28回 総括・まとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
担当範囲の事例(上演作品、映画、戯曲、文学作品、芸術作品等)については、別の文章や視聴覚資料等を用いて簡単にまとめてください。
登場するすべての事例を調べる必要はありません。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | ゼミ論(4,000字程度)の内容の充実度(調査の十分さ、論理的一貫性、分析視点の独創性)をもって評価します。 |
平常点 | 50 | 各授業での十分な予習と発言の積極性で評価します。 また、担当発表時の資料・プレゼンテーションの充実度についても評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
・ギュンター・ヘーグ『越境文化演劇』三元社、2024年、ISBN: 978-4-88303-597-7。(※各自購入してください)
【後期配布資料】
・ハンス・ティース=レーマン『ポストドラマ演劇』同学社、2002年。
・エリカ・フィッシャー=リヒテ:『演劇学へのいざない』国書刊行会、2013年。
・Gerald Siegmund "Theater- und Tanzperformance" Junius, 2020.
【参考文献】
・平田栄一朗、針貝真理子、北川千香子編『文化を問い直す 舞台芸術の視座から』彩流社、2021年、ISBN: 978-4-7791-2721-2。