シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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哲学講義(3)(13) | 2025 | 前期 | 木1 | 文学部 | 青木 滋之 | アオキ シゲユキ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-PE3-J303,LE-PE4-J313
履修条件・関連科目等
人格の同一性personal identity の問題を、哲学史(問題の発生)から現代の論争まで包括的に扱います。形而上学および認識論にまたがる話題なので、そうした関心の強い受講生であることが望ましいです。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
昨日の私と今日の私が同一の人であるのは、いかにしてでしょうか。昨日の私だけでなく、二十年前の私や、八十年後の私は、今の私と同一の人なのでしょうか。私の脳や記憶をそっくりコピーしたら、私と同一の人がたくさんコピーされるのでしょうか、あるいは、その場合「同一の」人という言い方は意味をなさなくなるのでしょうか。こうした問題群は、人格の同一性の問題the problem of personal identity と呼ばれます。この問題の発生から現代哲学での議論を、哲学史的/分析的に深く立ち入っていくのが授業の大まかな流れです。
科目目的
人格同一性の問題群について、歴史的/分析的なアプローチをふまえて、立体的な理解を得ることが第一の目的。そうした理解に喚起されて、自分でこの問題を考え、周りの人にも明晰に語れるようになることが、第二の目的です。
到達目標
人格同一性の問題とは、どのような問題であるのか。この300年ほどで、どのような説が提唱され、議論され、現代に至ってきているのか。こうした背景を押さえた上で、受講生が自分の立場を明晰に語り擁護できるようになることが、最終的な目標です。
授業計画と内容
1.授業イントロダクション、実体二元論の確立(デカルト『省察』を読む)
2.人格同一性の問題の発生 モリニューとロックの書簡を読む
3.人格概念の確立 ロック『人間知性論』を読む1
4.人格概念の確立 ロック『人間知性論』を読む2
5.最初期の議論 コゥバーン『擁護』を読む
6.記憶説への反論 バトラーとリード
7.現代の心理説
8.現代の心理説の問題点
9.パーフィットの思考実験1
10.パーフィットの思考実験2
11.現代のアニマリズム1
12.現代のアニマリズム2
13.まとめ回 レポート執筆に向けて
14.レポートのピアレビュー
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
この授業は反転授業(flipped class)で進める。
※日本語の翻訳がない文献もあるので、授業前の宿題で英語文献の読解を課す場合もある。
1.授業前に、manabaから出された宿題に取り組み、
2.授業中に、この宿題に答えるべく各グループでディスカッションを行う。
3.授業後に、授業で得られた知見を振り返る小テストを行う。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 46 | 3000字程度のレポートを課します。 |
平常点 | 54 | 1.授業前の宿題で26% 2.授業後の小テストで28% ※3回以上の無断欠席で、「F(不可)」とします。自分で、出席回数をしっかり管理することが必要です。 ※5分以上の遅刻で、授業後の小テストの点数を減点します。(5-20分 -1点 20-30分 -2点 30-分 欠席扱い) |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業では単一のテキスト(紙媒体の本)は使用せず、一次文献、二次文献ともにmanabaの「コースコンテンツ」でPDFファイルを配布していきます。授業を行うにあたって以下の2つのものを参照していく予定ですが、他の文献についても、授業中で案内していきます。
John Locke, An Essay concerning Human Understanding, ed.by Peter H. Nidditch, Oxford: Clarendon Press, 1975
John Perry (ed.), Personal Identity (2nd edition), Berkeley: University of California Press, 2008