シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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比較社会学/政治 | 2025 | 前期 | 金6 | 文学部 | 木下 光弘 | キノシタ ミツヒロ | 2~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-SC2-K304
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義では「比較社会学」というネーミングからもわかる通り、われわれの社会とは異なる社会について学び、これらを比較することで見えてくること、わかることについて、受講学生とともに考えます。このため、最初はアジア諸地域を例にしながら、日本国外の社会を中心に、いくつかの観点から紹介します。具体的な地域は、中国、モンゴル、チベット、ムスリムなど、歴史、親族、宗教、信仰、自己認識などの観点を事例とする予定をしています。受講生の人数にもよりますが、可能であれば、受講生の皆さんにも関心のある「異なる社会的背景を持つ集団」について調べていただき、ご報告頂く機会も設けたいとも考えています。多様な人びとの社会の魅力を感じてほしいと考えています。
ただし、「異なる社会的背景を持つ集団」はけっして遠い異国にのみ存在しているわけではありません。いま我々が暮らしている日本社会にも多様な社会的な集団が暮らしています。そのうえ、今後はこうした多様性はますます進んでいくものと予想されます。授業の後半では、比較の中から見えてくる「差異」が引き起こす摩擦とそれでも共に生きることの難しさと大切さについて扱う予定でいます。
科目目的
世界は広く、様々な社会が存在しています。本講義では、異なる社会的背景を持つ集団が持つ魅力、興味深さについて、理解してもらうことがまず第一の大きな目的です。
次いで、こうした多様な背景を持つ人びとと今後われわれは共に生きていく必要があります。異なる「認識・常識」の前にした時、どうしても苛立ちを覚えることもあるかもしれません。ですが、それでもわれわれは多様な文化、社会の中で生きていかなくてはなりません。そこで、いかに多様な社会的背景を持つ人びとと共生共存していくことができるのかについて、受講生とともに考えることが、二つ目の目的です。
到達目標
社会を比較しながら学ぶことで以下のようなことを身に着けていただきたいと考えています。
①異なる社会的背景を持つ人びとの暮らしや文化を知る
②異なる社会的背景を持つ人びとが抱える諸問題について理解する(社会的認識)
③異なる社会的背景を持つ人びとの問題と受講学生のみなさん自身との関わりについて考える(自己認識)
④諸問題の改善、解決のために何ができるのか、何をするのかを考え、実践する(行動への参加)
以上の4点が本講義で目指す到達目標です。①~④のすべての獲得は難しいことかもしれませんが、「目標」として意識しながら授業を行いますので、受講学生のみなさんもこうした意識を持ってご受講ください。
授業計画と内容
第1回 モンゴル国と中国領内モンゴルの相違ー歴史、牧畜
第2回 多様なモンゴルー農耕モンゴル人と資源開発、環境
第3回 われわれが認識する「社会」とはどのようなものか
第4回 家族と親族―東アジアを例に
第5回 末子相続と母系社会ーモンゴル人とモソ人
第6回 チベット仏教圏における転生活仏制度
第7回 チベット社会における宗教の役割や生活文化
第8回 民族的マジョリティ集団と民族的マイノリティ集団を比較する
第9回 漢人とは何か-先祖崇拝や鬼
第10回 近代的な民族としての漢人の誕生
第11回 民族的マジョリティ集団内の多様性-地域、客家、水上居民
第12回 民族的マジョリティ集団と民族的マイノリティ集団を包括するネイション概念
第13回 マジョリティ集団による「構造支配」-開発や支援という名の支配
第14回 これからの可能性を考える
※内容については進度等によって変更の可能性がある
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 学期末に到達度確認のための学期末試験を課す。 |
平常点 | 30 | 授業内容を理解したかについて、簡易な小テストを複数回行なう。 |
その他 | 10 | 授業への主体的な関与についても評価の対象とする。 |
成績評価の方法・基準(備考)
試験や課題・レポート以外に、受講学生からの積極的で主体的な授業への参加は、加点の対象にします。積極的に、様々な社会や生活習慣、文化、多様な民族に関する「情報」に対してアンテナをはり、授業中、あるいは授業担当者にご報告ください。学びは教室の中だけものではありません。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
全体的なフィードバックは授業内に行ない、必要に応じて個別の指摘などはmanabaを利用する予定です。
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
受講学生が取り組んだ課題や質問、問題意識を授業の中で活用することがあり得ます。この点はあらかじめご承知ください(それほど多くない場合もあると思います)。受講生の数にもよるが、授業内で学生に発問し、その問題について考え、話し合うことも計画しています。また、積極的に図書館を利用し、史資料の調査を行なうことなども計画しています。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
教室という限定された空間の中だけで、社会を比較するためにさまざまな地域や生活、文化を理解するは、どうしても難しく限界があります。受講学生には、インターネットサイト上の情報をうまく活用してもらい、異なる社会の人びとについてリサーチし、情報の収集をお願いすることがあります。教員の側からの情報提供だけでなく、受講学生の側からの発見についての積極的な報告を、歓迎します。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは用いません。参考文献は、以下のもの以外にも授業の中で必要に応じて紹介していきます。また、受講学生からのさまざまな地域、国、社会、あるいはこれらを比較する参考文献や情報の紹介も歓迎します。
【参考文献】
・①明石書店の『◯◯を知るための△△章』のシリーズ
・②ケイン樹里安ら編『ふれる社会学』(北樹出版、2019年)
・②上水流久彦ら編『東アジアで学ぶ文化人類学』(昭和堂、2017年)
・③西原和久・樽本英樹編『現在人の国際社会学・入門』(有斐閣、2016年)
・④粕谷祐子『比較政治学』(ミネルヴァ書房 、2014年)
・⑤塩原良和『共に生きる』(弘文堂、2012年)
など