シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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特殊研究Ⅱ(日本経済論) | 2024 | 通年 | 火6 | 商学研究科博士課程後期課程 | 村上 研一 | ムラカミ ケンイチ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
CG-OM6-302L
履修条件・関連科目等
マルクス経済学の基礎を理解していること
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
下記のテーマに関する指定文献・関連文献について、受講者の報告に基づく討議・質疑・議論を中心に授業を進める。受講者と相談の上、授業で取り上げた内容に関する、産業の現状や産業遺産などについて実態調査を行う場合もある。
科目目的
経済学分野の演習科目として、日本経済を理論的把握できることを目的とする。
日本産業・経済の構造と今日的課題について、理論的・歴史的な考察を踏まえて、独自の観点から評価と展望を論じられる力の要請を目的とする。とくに、『資本論』およびそこで提示された理論を踏まえた資本主義の構造的把握を踏まえ、日本経済の特質を理解し、理論的に考察、自らの見解を提示できる能力を養成することを目標とする。
到達目標
戦後日本産業・経済の成長とその限界、さらに限界を克服しつつ「経済大国」化した諸要因について、世界資本主義の構造変化の中での日本経済の位置を踏まえつつ理解できること。日本産業・経済の展開に関して、国際関係や政治的要因との関連を把握し、今日の国際環境が日本経済にどのような影響をもたらすのかを検討できること。今日の日本産業・経済の置かれた状況を的確に理解し、今後の課題と展望を的確に把握できること。世界経済および資本主義経済の現状と将来展望を踏まえて、日本産業・経済のあり方について、独自の視角から理論的に考察できること。以上の諸点について、独自の視角から、自分の言葉で論じることができることを目標とする。
授業計画と内容
〔前期〕
1回:課題の提示
2回:『資本論』と資本蓄積・恐慌論(1)恐慌の一般的可能性
3回:『資本論』と資本蓄積・恐慌論(2)発展した恐慌の可能性
4回:『資本論』と資本蓄積・恐慌論(3)恐慌の必然性
5回:20世紀世界資本主義の変容(1)独占の形成の蓄積態様の変化
6回:20世紀世界資本主義の変容(2)2つの世界大戦と資本主義の変容
7回:20世紀世界資本主義の変容(3)冷戦下の世界資本主義
8回:冷戦崩壊と世界資本主義の変容(1)米国のポスト冷戦戦略
9回:冷戦崩壊と世界資本主義の変容(2)世界市場のグローバル化
10回:グローバル資本の蓄積と格差・貧困(1)途上国・新興国の台頭と世界市場
11回:グローバル資本の蓄積と格差・貧困(2)グローバル化と格差・貧困
12回:世界経済の構造変化と資本蓄積(1)技術革新と世界資本主義
13回:世界経済の構造変化と資本蓄積(2)世界政治の変容と世界経済
14回:中間まとめ
〔後期〕
15回:課題の提示
16回:日本資本主義の生成
17回:戦後日本経済の国際的位置(1)戦後体制と日本経済
18回:戦後日本経済の国際的位置(2)冷戦下の日本経済
19回:高度成長と過剰生産体質の形成(1)産業構造の変容
20回:高度成長と過剰生産体質の形成(2)Ⅰ部門主導の蓄積
21回:輸出依存的「経済大国
22回:1990年代不況と日本経済の構造的問題
23回:2000年代日本の外需依存的成長の構造と限界
24回:新自由主義的改革の起源と性格
25回:2008年世界不況と日本経済
26回:グローバリゼーションと日本産業の空洞化
27回:日本経済における成長と格差・貧困
28回:まとめ―世界情勢の変化と日本経済の位置の変容
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
予習としては、次回の授業で扱う部分についてテキストを精読し、疑問点・論点を明確にしておく。さらに、参考書籍などにも目を通し、論者による認識の相違点などを整理しておくことが望まれる。(90分)
復習としては、授業での討議の内容をまとめ、改めて自分のノートに整理しておくことが望まれる。(90分)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 報告レポートや発言内容から到達度を評価する |
成績評価の方法・基準(備考)
資本蓄積・再生産論的視角に基づいて、日本経済の構造と課題についての把握・考察できるか、受講生の理解度と授業内での取り組み(報告、質疑)なども踏まえて総合的に評価する。配点基準は平常点60%、課題40%。
90~100点:授業内容を十分に理解し、日本経済の構造と特質について独自の見解を理論的に打ち出すことができる。
80~89点:授業内容を理解し、日本経済の構造と特質について、理論的視角をもとに独自の見解を示すことができる。
70~79点:授業内容を概ね理解し、今日の日本経済がかかえる課題について、問題の所在を理解している。
60~69点:授業内容は理解しているが、今日の日本経済がかかえる課題について、独自の見解はもっていない。
0~59点:授業内容を理解できていない。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは受講生と相談のうえ決定する。参考文献は授業内で示すが、さしあたり下記のものがあげられる。
富塚良三『経済原論』有斐閣、1976年
富塚・服部・本間編集代表『資本論体系Ⅰ~Ⅹ』有斐閣、1983~2001年
金子ハルオ『生産的労働と国民所得』日本評論社、1966年
村上研一『衰退日本の経済構造分析』唯学書房、2024年
井村喜代子『現代日本経済論〔新版〕』有斐閣、2000年
久保新一『戦後日本経済の構造と転換』日本経済評論社、2005年
吉田三千雄『戦後日本重化学工業の構造分析』大月書店、2011年
藤田実『戦後日本の労使関係』大月書店、2017年
涌井秀行『ポスト冷戦世界の構造と展開』八朔社、2014年
小西一雄『資本主義の成熟と転換』桜井書店、2014年
北原勇・鶴田満彦・本間要一郎『資本論体系10現代資本主義』有斐閣、2001年
※そのほか、授業内で提示する。