シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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英語読解 | 2025 | 通年 | 木2 | 文学部 | 太田 稔 | オオタ ミノル | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-EN1-SE11
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業では、Julia Annas(ジュリア・アナス)の"Ancient Philosophy"(『古代哲学』)という本の一部を読みます。この本は、オックスフォードから出ているVery Short Introductionシリーズの一つで、第一線の古代哲学研究者が、古代哲学の初学者に向けて、古代哲学の導入・紹介を行うというものです。授業には予習として特定範囲の訳読が課されます。
古代哲学というと、まずもってソクラテス、プラトン、アリストテレスという名前などが思い出されるのではないでしょうか。ストア派や古代懐疑主義、新プラトン主義などがさらに思い出されるならば、なお素晴らしいです。しかし、そこで思い出される古代哲学の印象は、「大切かもしれないけど、現代ではもはや通用しないもの」といったものかもしれない。本書においてアンナスは、古代哲学がわれわれにとってとても近しい存在であることと同時に、遠い存在であることを論じる。不用意に称賛するのではなく、古代哲学に従事する際の(これはあらゆる研究における基礎的な姿勢だけれども)注意点を、具体的に示してくれます。われわれは本書の第一章と第五章の読解を通じて、古代哲学が、それを学ぶ歴史や時代と関係なく内容的に・事柄そのものとして非常に面白いということと、哲学の読解・理解の仕方が歴史と切り離せないいうことを同時に学ぶのです。
本書は全六章からなっております。前期授業では、第一章と第三章を簡潔に扱い、そのうえで第四章と第六章を中心に扱います。以下、各章の簡単な紹介をします。
第一章 人間と獣
やり場のない怒りに心を支配されるという経験はありますか。激しい怒りは時に人を暴力へとかりたてるものです。われわれはその「怒り」をどのように理解しているのでしょうか。怒りという感情に支配されることは、理性的な判断が怒りに負けて屈服している状態なのでしょうか、あるいは怒りの中でも理性は冷静に計画・判断をしているのでしょうか。古代哲学におけるこの問題の論じ方を学んでいきましょう。
第二章 なぜプラトンの『国家』を読むのか
プラトンの『国家』では、国家の運営に携わる「守護者」が登場します。プラトンは女性の守護者という考えを打ち出していて、これは19世紀のイギリスの哲学者を中心に大いに称賛されてきました。しかし、反面『国家』には「妻子の共有」という悪名高い文句があり、20世紀の間にプラトンは全体主義者、ファシストとみなされることもあったのです。現代では双方の評価が一面的であることは明らかにされていますが、どのようにしてこうした現代の評価が可能になったのかでしょうか。こうした評価の変遷からは、学びを構成する基礎的な前提を具体的な形でとりだすことができます。
第三章 幸福な人生
「幸福」という言葉は、誰しもが一生のうちで一度は立ち止まって考えることになる言葉ではないでしょうか。ただし、その内容はひとそれぞれ完全に異なるもののようにも思われます。地位、名誉、お金、結婚など様々な選択肢が考えられます。本章では、幸福についての意見が、幸福論として哲学的に論じる仕方を学びつつ、地位や名誉、お金の獲得とは異なる幸福論として古代哲学における様々な幸福論を学びます。
第四章 理性、知識、懐疑主義
知識という言葉を聞いたとき、古代哲学においてはソクラテスがうけたアポロンの神託(実際に神託を聞いたのはソクラテスの友人のカイレポンです)という出来事が思い出されます。ソクラテスはこの神託を受けて、知識を持っていると思われている人たちに、その知識とは何かを問うことで、彼らの無知を明らかにしていきました。古代哲学は知識とは何かということから始まるのです。この問題を受けて、プラトン、アリストテレスがどのような返答をしていったのかに耳を傾けつつ、知識の存在に疑いの目を向ける古代懐疑主義の基礎を学びます。
第六章 いったいいつ始まったのか
最初の哲学者といわれているのは、タレスであり、彼が「すべてのものは水である」といったということは有名です。しかし、この言説と「知を愛する」という言葉の間には大きな溝があるように思われます。いったい何がこの溝を埋めるのでしょうか。本章では、この溝を、タレスの思想を深める方向によってではなく、ソクラテス、プラトンの思想を振り返ることで架橋し、ある言説が「哲学」となるさまを見ていきましょう。
科目目的
古代哲学の入門書の読解を通じて、古代哲学が現代においてどのような意義をもつのか、その一端を学んでいきます。その際、英語の文章そのものから理解を立ち上げていく力を養います。
到達目標
英語でかかれたテキストの訳読がこの教科の中心になって来るので、各学生が訳読を行い、解説をみて再検討することを通じて、テキストが正しく読み取れるようになることが一つの到達目標です。
他方で、筆者(ジュリア・アンナス)の文章を正しく理解し、各章の要点を押さえた説明ができるようになること、例えば、怒りと魂の問題について(第一章)おおまかな説明ができるようになることも到達目標です。
授業計画と内容
<前期>
第一回 前期イントロダクション
第二回 第一章 【魂論】ストア派の魂論 一体的魂
第三回 第一章 【魂論】プラトンの魂論 魂の三部分説
第四回 第一章 【魂論】古代の魂論における問題の所在
第五回 第一章 【魂論】まとめと発表
第六回 第三章 【倫理学】幸福と快楽
第七回 第三章 【倫理学】幸福と徳
第八回 第三章 【倫理学】第三章まとめ 外的善の問題
第九回 第三章 【倫理学】まとめと発表
第十回 第四章 【知識論】ソクラテスとデルポイの信託
第十一回 第四章 【知識論】古代哲学における知識 知恵(ソピアー)
第十二回 第四章 【知識論】「説明をすること」と基準
第十三回 第四章 【知識論】プラトンと知識論
第十四回 第四章 【知識論】アリストテレスと知識論
<後期>
第十五回 後期のイントロ
第十六回 第四章 【知識論】古代懐疑主義
第十七回 第四章 【知識論】ストア派とエピクロス派
第十八回 第四章 【知識論】四章まとめと発表
第十九回 第六章 【哲学とは】ある現象を「哲学的」とするものは何か
第二十回 第六章 【哲学とは】推論の伝統
第二十一回 第六章 【哲学とは】理性と理解
第二十二回 第六章 【古代哲学の受容】学科としての哲学
第二十三回 第六章 【古代哲学の受容】哲学の制度化
第二十四回 第六章 【古代哲学の受容】様々な諸学派
第二十五回 第六章 【古代哲学の受容】ローマ哲学への受容
第二十六回 第六章 【古代哲学の受容】最終的な断絶
第二十七章 第六章 【古代哲学の受容】古代哲学と今日の哲学
第二十八回 第六章 まとめと発表
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり1時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 40 | 前期後期の最終授業の際に課題を提示します。評価基準は、課題に適切に答えられているかです。 |
平常点 | 60 | 授業の出席と、毎週出す課題の提出で一回分の成績を付けます。 |
成績評価の方法・基準(備考)
やむを得ない理由を除いて、9回以上休んだ場合は、単位を認定できません。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
グループワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
訳読に関しては、それぞれが英文読解をした後で、グループごとに訳のすり合わせを行ってもらい、発表してもらうかたちをとります。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
中央大学通信教育インストラクターとして、古代哲学のレポート採点を行っている。
中央大学で「英語読解」の授業を行っている。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
もっぱらアリストテレスを中心とした古代哲学にかかわっているので、授業内容も古代哲学の範囲内で行われます。
テキスト・参考文献等
[テキスト]
Julia Annas, Ancient Philosophy, Oxford, 2000.
テキストは、 哲学研究室にてコピーを配布します。初回授業までに哲学研究室にてテキストをもらってください。初回授業に予習の必要はありません。
[参考文献]
ジュリア・アナス(訳 瀬口昌久)『古代哲学』、岩波書店、2004年。
この参考文献は、テキストの翻訳です。授業内で翻訳をそのまま読み上げることは厳禁とします。