シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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行政管理論 | 2024 | 後期 | 金5 | 総合政策研究科博士課程前期課程 | 川口 康裕 | カワグチ ヤスヒロ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PG-PA5-101L
履修条件・関連科目等
学部において「憲法」の単位を取得し、国民国家の諸原理を理解していること。未履修の場合には、講義開始前に、学部レベル以上の標準的な日本憲法(統治機構及び人権)のテキストを自習しておくこと。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
主として国(中央政府)の行政府を対象に、資源(ヒト、カネ)、内部の原理、外部からの行政府に対する「統制」、立法府との「協働」について議論する。その際できる限り、日本の行政を運用している官僚において「内面化」された広義の「制度」を明らかにするよう努める。また、講義全体のまとめとして、国民の権利義務に大きな影響を与える「法律の立案と審議」を据え、その実務と実際を明らかにする。
科目目的
本科目は、研究発展科目の「法政と経済」に属する授業科目である。日本の行政を動かしている広義の「制度」を「理解」することで、政策研究に必要な基礎知識を身につけることを目的とする。
到達目標
日本社会が抱える諸問題について、「実践的な」政策提案ができるようになること。
授業計画と内容
第1回 政治と行政
第2回 官の人生
第3回 国の行政組織と組織原理
第4回 予算編成原理
第5回 国の行政の意思決定
第6回 国家公務員の行動原理
第7回 立法府による行政統制
第8回 司法府による行政統制
第9回 行政の透明性
第10回 国民による行政統制
第11回 立法過程(立法府と行政の協働)1
議員立法
第12回 立法過程(立法府と行政の協働)2
内閣提出法案の策定(立案過程)
第13回 立法過程(立法府と行政の協働)3
内閣提出法案の策定(審議過程)
第14回 総括・まとめ
(注)講義の順序、内容に変更がありうる。議員立法については、実務に通じた専門家を招聘する予定。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 70 | 講義内容及び関連文献の理解と、論述力。 |
平常点 | 30 | 講義に出席し、講義内容を理解し、的確な質問、意見を述べることで、講義の充実に貢献する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
レポートの提出は任意であるが、提出があれば加点する(最大20%)。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
経済企画庁(現内閣府)に1982年に法律職として入庁して以来40年国家公務員として勤務した。同庁のほかに内閣官房、内閣府本府、大蔵省、金融庁、消費者庁、外務省(在米国大使館及び在ラトビア共和国大使館)にて勤務した。
内閣参事官として内閣官房において消費者庁の設立準備を行ったほか、庁次長(官房長・局長に相当)として、国会で政府参考人答弁を行い、在職中、製造物責任法、消費者契約法、消費者裁判手続法など合計5本の新法制定や多数の法改正に携わった。さらに主計局主査、広報室長のほか特命全権大使など国の行政の多面的機能に、様々な立場で自ら携わる実務経験を得た。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
「行政学」及びその周辺の学問に蓄積した理論、業績を踏まえつつ、自らの実務経験に照らし、行政を運用する公務員が「内面化」している制度(行政の行動原理)を「理解」するために、本質的であると思われる知識(制度の知識:不文律、文化、慣行などを含む)を抽出し、再整理して、講義において伝えたい。
テキスト・参考文献等
テキストはない。レジュメを配布する。
参考書としては、
①伊藤正次・出雲明子・手塚洋輔 『はじめての行政学(新版)』(有斐閣 2022年)
初学者用のテキストであり、コンパクトな記述でありながら、最近の動きも含め、重要論点をバランスよくとりあげている。大学院レベルの知識、問題関心で読み直しても得るところが多い。
②真渕 勝『行政学(第2版)』(有斐閣 2020)
行政学の論点を幅広く網羅し、行政学の現時点での到達点を示すもの。大学院レベルの行政学研究には必読文献。
③曽我 謙吾『行政学 新版』(有斐閣 2022年)
「分業」と「委任」をキーワードに、日本の現在の行政の実態を記述した理論的、体系的な文献。
特に、立法学に関心のある場合には、
④中島 誠 『立法学(第4版): 序論・立法過程論』(京都の法律文化社 2020年)
実務家(厚生労働省に長年勤務した行政官が九州大学への出向時に執筆したものを最新の動きを踏まえ改訂したもの)による意欲的な著作。