シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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安全保障論 | 2024 | 後期 | 水3 | 総合政策研究科博士課程前期課程 | 籠谷 公司 | カゴタニ コウジ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PG-IN5-303L
履修条件・関連科目等
学部で開講されている国際システムの理論分析 I・II を履修していなければ、履修をお薦めする。ただし、特定の科目の履修を前提とはしない。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
戦争をいかに回避し平和を維持するのかという問題は、19世紀・20世紀における過去のものではなく、現在でも国際関係において問われ続けている最重要課題である。
当該科目では、現実主義、自由主義、構成主義といった伝統的な理論は取り上げない。その代わりに、過去30年の間に蓄積されてきた科学的研究の成果を概観し、新しい国際関係理論を学ぶことになる。特に、「相手の出方に対して自分はどう振舞うのか」という国家間の相互作用(駆け引き)に焦点を当てた戦略的選択アプローチに基づく研究に焦点を当てる。そして、これらを現代国際関係における安全保障上の諸問題へと応用し、国家間の対立と協調の可能性について考える。
科目目的
当該科目は、(1)ゲーム理論を中心とした基礎的な数理モデルを用いて戦争の原因を探り、(2)計量分析によるデータの分析結果を吟味することを通じて、国際紛争の背後に存在する諸問題を理解することを目的とする。
本学部の学位授与方針(ディプロマポリシー)のうち、「専門性に基づく複眼的思考能力」「多様性理解力」と特に関連している。
到達目標
本講義の到達目標は以下の通りである。
第一に、国際政治を分析する上で必要な理論の基礎を学び、紛争が発生する過程を論理的に説明できるようになること。
第二に、国家間の紛争の歴史や個々の事例の説明は最低限に留めて、科学的な手続きに基づく証拠(エビデンス)に基づいて複数の理論を吟味し、紛争の発生過程を多面的に捉える知識を獲得すること。
第三に、国際社会の多様性と紛争の関係性を理解し、紛争回避手段の在り方について自分の考えを提示できるようになること。
これらを踏まえて、現代国際関係における安全保障上の諸問題を体系的に把握し、新聞やニュースで耳にする国際政治における出来事を分析できるようになることを目指すことになる。
授業計画と内容
01 イントロダクション
02 科学的な戦争研究:第1章(pp. 25-39)
03 戦争や軍事紛争の定義と世界の傾向:序章 (pp. 3-23) ならびに第2章1節(pp. 41-48)
04 戦争の合理的選択原因論:第2章 (pp. 48-64)
05 近接性と領土:第5章2節 (pp. 124-137)
06 パワー:第5章1節 (pp.113-123), 補足のリーディング
07 軍事同盟:第5章4節 (pp.144-156), 補足のリーディング
08 民主主義的平和論:第3章1節 (pp.69-76), 補足のリーディング
09 経済的相互依存と戦争(1):第3章2節 (pp.77-83), 補足のリーディング
10 経済的相互依存と戦争(2):補足補足のリーディング
11 集団安全保障、国際組織と戦争:第3章3節 (pp.84-88)
12 抑止政策:第5章3節 (pp.137-144)
13 戦争終了とその帰結:第5章5節 (pp.64-68)
14 内戦
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業前に教科書の指定個所を読んでみて分からないところを明らかにしてください。授業後に講義を復習し、教科書を読んで分からなかったところを理解できるようになったかどうかを確認してください。それを済ませてから小テストの準備をするようにしてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 3週目以降、授業の冒頭で10分間の小テストを行う。小テストの範囲は、前週の講義とリーディング課題とする。いかなる理由でも、再試験は行わない。 小テストは覚えるだけでは解けません。概念を理解していることを前提に問題を考えないと解けません。安易に高得点を取れると期待しないでください。 |
成績評価の方法・基準(備考)
毎回の小テストの点数を100点満点とする。最終成績は、小テストの平均点とする。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
小テスト終了後、講評を行う形でフィードバックする。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
教科書:
多湖淳. 2018. 『戦争とは何か』中公新書.
Quackenbush, Stephen L. 2014. International Conflict: Logic and Evidence. CQ Press.
参考文献:
土山 實男. 2014『安全保障の国際政治学 -- 焦りと傲り』第二版. 有斐閣.
村田晃嗣、君塚直隆、石川卓、栗栖薫子、秋山信将. 2015 『国際政治学をつかむ』 新版. 有斐閣
その他特記事項
授業の中で数理モデルを用いて説明しますが、中学生ぐらいまでの数学の素養があれば問題なく理解できます。数学に苦手意識がある人でも飛び込んでみてください。そして、知的好奇心を刺激してみてください。