シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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【通教 通信授業】民法3(債権総論) | 2024 | その他 | ー | 通信教育課程 | 髙田 淳 | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JD-CI2-102L
履修条件・関連科目等
履修条件:通信教育課程の学生対象
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
民法財産法という大きな体系の中の一大領域が債権法(人に対する財産的な権利である債権に関する領域)であり、これは、さらに大きく二つの領域に分かれる。債権である以上、原則として、債権の発生原因や内容を問わずに共通して適用される制度・条文を集めた部分を「債権総論」という。これに対して、債権の発生原因ごとに個別のルールを定めるのが、「債権各論」である。債権の発生原因には、契約、事務管理・不当利得・不法行為がある。
なにごとも、一般化できることと、個別にしか決められないことがある。債権総論は、債権をめぐる扱いのうち、一般化できるルール(制度・条文)を集めているのに対し、債権各論は、必ずしも一般化できないルールを、債権発生原因ごとに、個別に規定している、といえる。本授業の対象は、前者である。
債務者が任意に債務を履行しない場合、債権者のとりうる手段としては強制履行や損害賠償などが考えられる。まずは、これらの法的救済をとりうるために満たされているべき要件を考えなければならない(履行期・弁済提供方法など)。これが満たされている場合において、債権者が債権の強制的実現を求める場合には、強制履行を申し立てることになる。そうすると、強制履行の態様を知る必要がある。また、債権者は、損害の賠償を求めることもできる。そのときは、債務不履行の態様と、賠償の範囲を論じなければならない。債務は、弁済によって消滅する場合がほとんどであるが、供託や代物弁済など、現実の弁済以外の原因によって消滅することもある。これらの債務消滅原因にも取り組まなければならない。
上記強制履行や損害賠償は、債務者が十分な財産を有しなければ、十分に機能しない。その意味で、債権者にとって債権が実現されるか否かは、最終的には債務者の財産 ( 責任財産 ) によって決定される。そこで民法には、責任財産を保全する手段として、債権者代位権や詐害行為取消権が用意されている。また、債務者の責任財産だけでは不十分な場合、これを債務者以外の第三者の財産に拡大する手段 ( 責任財産の量的拡大 ) として「人的担保」がある。その典型として保証を挙げることができるが、不可分債務や連帯債務など、民法に「多数当事者の債権及び債務」として規定される諸制度も人的担保として機能する。「債権の譲渡」もまた、履行期前の債権を現金化する手段として、あるいは債権を担保する手段として利用されるものである。
科目目的
民法の中核的要素である債務不履行制度・債権回収のための制度を中心として、各制度の趣旨・要件・効果の基本を習得することが債権総論領域の学習の目的である。
到達目標
受講生が、当該分野の法制度に関する基本的な知識を習得し、その知識を運用して具体的な問題に取り組み、妥当な解決策を導き出す能力を得ることを目標とする。
授業計画と内容
債権総論の学習・授業における標準的な進め方は、次のとおりである。
①債権総論概観
②弁済提供
③強制履行 債務不履行制度概観
④債務不履行損害賠償 要件・態様
⑤債務不履行損害賠償 効果(賠償の範囲)
⑥債権の種類
⑦同一債権債務について、複数の者が債権者・債務者になる場合
⑧債務消滅原因 代物弁済
⑨債務消滅原因 供託・免除
⑩債務消滅原因 相殺
⑪債権侵害
⑫債権の準占有者への弁済
⑬弁済による代位
⑭信義則と債務不履行制度
⑮債権者代位権1(制度趣旨・要件)
⑯債権者代位権2(効果・転用例)
⑰詐害行為取消権1(制度趣旨・効果概観・要件)
⑱詐害行為取消権2(効果・法的性質)
⑲連帯債務1(制度趣旨・基本的仕組み)
⑳連帯債務2(一人の債務者に生じた事由・求償)
㉑保証債務1(制度趣旨・基本的仕組み・要件)
㉒保証債務2(主債務者に生じた事由・求償)
㉓連帯債務と保証債務(連帯保証・分別の利益)
㉔そのほかの多数当事者の債権関係(分割債権・分割債務・不可分債権・不可分債務)
㉕債権譲渡1(制度趣旨・債権譲渡が禁じられる場合)
㉖債権譲渡2(債権譲渡の要件・債権譲渡の対第三者対抗要件)
㉗相殺(制度趣旨・相殺が禁じられる場合・要件・差押えと相殺)
㉘まとめ
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
十分な予習・復習をすれば、ほかの科目の履修・学習が終わっていなくとも、債権総論の講義を理解することはできる。しかしながら、やはり、債権総論と最もつながりが深いのは、債権各論である。債権総論の制度や解釈論は、債権各論の知識ないし議論内容が前提となっている部分がかなり大きい。
また、民法全体の原則的基本ルールを定める民法総則の学習が済んでいることが、債権総論の勉強をスムースにする。
通信教育課程では、他の科目と同じく、債権総論の勉強に関しても、自宅における学習が、講義と同等以上に重要である。法律の制度の基本は、一に制度趣旨、二に要件、三に効果である。教科書・参考書を読んで勉強する際は、この三つを意識しつつ頭の中で整理をしていくことが、着実な学習方法である。そのうえで、具体的な解釈例を補っていくと、理解を深めることができる。その際行うべきは、判例を読むということである。具体的な解釈の実際を判例を通じておさえていくことが、法律学では大事である。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 試験(科目試験またはスクーリング試験)により最終評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
通信教育課程 在学生サイト 教科書一覧を参照
https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/tsukyo-current/textbook?authuser=0
その他特記事項
【通信教育課程はなし】