シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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【通教 オンデマンド】民法5(親族・相続) | 2024 | その他 | 1・2期 | 通信教育課程 | 鈴木 博人 | 2年次配当 |
科目ナンバー
JD-CI2-201L
履修条件・関連科目等
履修条件:通信教育課程の学生対象
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
(1)親族法 親族法は個人をとりまく家族の法的関係を、個人同士の個別の関係として規律している。規律対象となっているのは、夫婦、親子、その他の親族関係である。それぞれ、どのような要件を満たすと当該の法的身分関係が発生するのか(婚姻の要件とその成立、親子関係の成立等)、同様にどのような要件を満たすと身分関係が解消するのか(離婚、離縁)といったことが制度として規定されている。それでは、そこで定められている手続を踏んでおらず、法定の要件を満たしていない場合、そうした生活関係は法の枠組みから外れるものとして、法律上は、存在しないものとなるのだろうか(例えば、推定を受けない嫡出子)。逆に形式上、法定の手続を踏んでいれば(例えば、婚姻届の提出)、法定の身分関係は有効に成立するのだろうか(仮想婚、養子縁組の濫用問題)。こうした身分関係の得喪だけでなく、身分関係が成立すると、どんな法的効果が発生するのだろうか。特定の身分関係に入ると、どのような権利義務が当事者間に生まれ、身分関係を解消するにはどのような法的効果を生む処理をしなければならないのだろうか。このような法的問題を夫婦、親子、その他の親族関係について講じていく。
(2)相続法 人は必ず死ぬ。人の死亡に伴って、その人の所有している財産(積極財産だけではなく、借金のような消極財産も含まれる)、つまり、遺産所有権の帰属先を決定していく仕組みを相続法は規定する。相続法はその仕組みを、(1)法定相続、(2)遺言、(3)遺留分の三つのシステムによって規定する。相続法には、財産法の原理と親族法の原理の双方が流れ込んで、制度が構築されている。
日本では、「家族法」という一つの名称で親族法と相続法を呼ぶことがあるが、この二つの法の性格は異なる。相続法上の個々の制度の理解は重要であるが、親族法と相続法はどのように交錯するのかも可能な限り見ていくこととする。
科目目的
民法5(親族・相続)では、民法第4編親族と第5編相続が学習の対象となる。親族法と相続法それぞれの制度がどのように構成されているのか、それらの制度をめぐってどのような問題が起こっているのかを把握することが本授業の第一の目的である。この分野は明治民法施行後、第2次大戦後の家制度の廃止と男女平等原則の採用に伴う法改正以後大きな改正が行われてこなかったが、2017年には相続法改正、2019年には特別養子法改正が行われ、2020年には「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」(令和二年法律第七十六号)が成立した。2022年末には親子法改正法が成立し、2024年4月1日から施行される(親権法の懲戒権の廃止は2022年12月16日に施行済み)。現時点でも、離婚後の親権制度等が議論されている。その意味では、にわかに法改正の多い領域に変化した。そこで、法改正の背景にある社会的実情にも目をむけてもらいたい。
到達目標
親族法(家族法)・相続法の基本的な知識を習得することが本授業の目的です。
授業計画と内容
全体の流れを理解してもらうために扱う内容を示すが、単元ごとに割り振られたものというより、このような項目・順番で授業が進められるものと理解してもらいたい。時間的な制約もあるので、民法典の中で財産法とは別の原理に基づいていることがより明確な親族法(家族法)を中心にした授業になる。
第1 単元 民法の基礎理論と構造─家族法と相続法の体系的位置づけ
第2 単元 日本の家族法・相続法の歴史的特殊性─「家」制度の特色
第3 単元 婚姻法─婚姻の要件、婚姻の取消し、婚姻の無効
第4 単元 婚姻法─婚姻の効果(1)
第5 単元 婚姻法─婚姻の効果(2)
第6 単元 離婚法─離婚の手続、離婚の原因、離婚の届出
第7 単元 離婚法─離婚の効果
第8 単元 実親子法
第9 単元 養子法、親権法
第10単元 相続法─概略
第11単元 相続法─相続人
第12単元 相続法─遺産分割
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
この科目に限らないが、法律問題を考えていくときには、該当する法制度を正確に理解し、どのような原因、社会的背景をもって、裁判にまでなる問題が発生するのかを把握、分析することがまず必要になる。そのうえで、当該の問題で示されている事実関係が、法律条文に規定されている要件に該当するのかどうかが確定されなくてはならない。当該の要件を満たす、あるいは要件に合致すると、その法律が規定する法律効果が発生することになる。この思考方法を、「法学入門」の授業や「民法1(総則)」の授業などで身につけてきてほしい。親族法、相続法は、誰もが経験する現象を対象にするために、上記のような思考方法をもたずに、問題に取り組むと、単なる個人的な感想や価値判断を述べるだけに終わってしまう危険性が大きくなる。もっと具体的にいうならば、上記の法的な考え方の訓練ができていないまま、試験を受けてもなかなか合格しないということになる。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 科目試験により最終評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
■スクーリングで使用する教材
二宮周平『新法学ライブラリ─ 9 家族法』[第5版]以降 (2019年)新世社
■推薦図書
大村敦志・沖野眞已(編)『民法判例百選III 親族・相続』[第3版](2023年)有斐閣
髙橋朋子他著『民法7 親族・相続』[第7版](2023年)有斐閣
窪田充見『家族法』[第4版](2019年)有斐閣
常岡史子『家族法』(2020年)新世社
本澤巳代子・大杉麻美(編)『みんなの家族法入門』(2021年)信山社
潮見佳男『詳解 相続法 第2版』(2022年)弘文堂
その他特記事項
【通信教育課程はなし】