シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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【通教 通信授業】民法4(債権各論) | 2024 | その他 | ー | 通信教育課程 | 原田 剛 | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JD-CI3-201L
履修条件・関連科目等
履修条件:通信教育課程の学生対象
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
民法財産法という大きな体系の中の一大領域が債権法(特定の人に対する財産的な権利である債権に関する領域)ですが、これは、さらに大きく二つの領域に分かれます。債権である以上、原則として、債権の発生原因や内容を問わずに共通して適用される制度・条文を集めた部分を「債権総論」といいます。これに対して、債権の発生原因ごとに個別のルールを定めるのが、「債権各論」です。債権の発生原因に、契約(契約債権の発生原因)及び主に事務管理・不当利得・不法行為(法定債権の発生原因)があります。契約について、民法は、さらに 13 種類の契約類型ごとに特別の規定を置いています。
なにごとも、一般化できることと、個別にしか決められないことがあります。債権総論は、債権をめぐる扱いのうち、一般化できるルール(制度・条文)を集めているのに対し、債権各論は、必ずしも一般化できないルールを、債権発生原因ごとに、個別に規定している、といえます。個別具体的なルールから構成される債権各論は、いきおい、量的にかなり多くの制度・条文を擁しています。これを一通り学習するのは大変ですが、民法4(債権各論)は、それに取り組んでいきます。
大学では、個々の教員が、その責任と権限に基づいて、自ら、担当の授業の方針・内容・手順を構想し、具体化します。したがって、個別の授業の細部については、各担当教員の授業内容を参照する必要があります。ここでは、ごく一般的な民法4(債権各論)の講義のイメージを述べておきます。
先ほども述べたとおり、債権各論は、債権の発生原因ごとに、その特徴を反映した個別のルールが定められている領域です。債権の発生原因の筆頭には、契約が挙げられます。民法は 13 種類の契約類型を定めていますが、契約の種類に関係なく、契約であれば共通して適用を認めるべき制度も考えることができます。そこで、民法は、契約についても、「契約総論」と「契約各論」を分けて規定しています。
債権各論の講義は、通常、契約総論から始まります。そこでは、契約の成立、同時履行の抗弁権、危険負担、解除、定型約款などを勉強していきます。これらは、どの契約類型にあたるかに関係なく、適用を考えなければならない制度です。契約総論が終わると、個別の契約類型の学習(契約各論)に移ります。実際には、契約類型ごとの、当事者の権利義務・責任のあり方を学んでいきます。贈与契約、売買契約、賃貸借契約、請負契約、委任契約など、契約の類型ごとに検討をしていきます。契約各論では、個別の契約の特徴はどういった点にあるのか、その特徴を踏まえて、法律は、どのような工夫をして条文・制度を組み立てているのか、に着目しつつ学習をすすめることになります。契約の勉強の後は、契約に基づかない債権発生原因に取り組むことになります。それが、主に事務管理・不当利得・不法行為です。これらは、契約(当事者の合意)に基づかないで債権を生じさせます。契約によって債権が生じるのは、当事者が合意をしたから、つまり、当事者自身がそれを望んだからです。それに対し、事務管理・不当利得・不法行為によって債権が生じる理由は、当事者が望んだからでなく、法律の定めがあるからです。つまり、これらの場合、債権の発生原因は法律自体です。そうすると、事務管理・不当利得・不法行為の学習では、人は、望んでもいないのになぜ債務を負うのか、どれだけの事情があれば、意思に反して債務を負わされるのか、を意識する必要があります。
科目目的
民法4(債権各論)では、民法財産法のうち、いわゆる債権各論に関する基本を学びます。
到達目標
債権各論は、債権総論で扱われる抽象的な「債権」(および「債権関係」)の発生原因である、契約、事務管理、不当利得および不法行為で構成されています。これらは、約定債権である契約と法定債権である事務管理、不当利得および不法行為に大別されます。そのうち、最も重要な発生原因は契約です。この契約(制度)は、民法の最も重要な原理として前提している「私的自治の原則」を具体的に実現する最も重要な制度であり、それは「契約自由の原則」によって規律(整序)されています。
そこで、債権各論では、いずれの教員が担当する場合でも、皆さんの到達目標として、まず、契約制度の基本をしっかり理解することが求められます。より具体的には、皆さんは、契約総論では、契約の意義、契約の成立要件(意思表示の合致)、契約の効力のうち、とりわけ重要な、売買などの双務契約の牽連性に関連した同時履行の抗弁権、危険負担、契約の解除の知識をしっかり得ることが求められます。また、契約各論では、13種類の典型契約のうち最も重要な売買、継続的契約関係として重要な賃貸借に関する知識を得ることが求められます。
法定債権においては、とりわけ不当利得制度、不法行為制度は、私的自治を背後から支え、契約制度と両輪の関係にあります。そこで、皆さんは、前者では、類型論に従った不当利得の理解、後者では、総論として、過失責任原則とその修正、権利・法益侵害論を中心とした違法性の理解、被害者救済において最も立証が困難であるといわれている因果関係の理解がもとめられます。各論の特殊的不法行為では、法定監督義務者の責任、使用者責任、共同不法行為について、現代型不法行為と言われるものでもあり、その基本的理解が求められます。
授業計画と内容
授業はおもに契約法を中心とし、以下の項目に従って進めていきます。
契約総論の分野
①契約法総論
②契約の成立、効力(双務契約の効力を中心に)
③契約の解除、危険負担との関係
典型契約の分野
④典型契約の概観
⑤売買契約(1)債務内容
⑥売買契約(2)契約不適合責任を中心に
⑦売買契約(3)売買における危険の移転
⑧賃貸借(1)債務内容
⑨賃貸借(2)賃借権の対抗力
⓾賃貸借(3)賃借権の譲渡、転貸、終了
⑪役務提供型の契約--請負、委任
法定債権の分野
⑫不当利得、事務管理
⑬不法行為法(1)基礎と概観
⑭不法行為法(2)要件を中心として
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
通信教育課程では、他の科目と同じく、債権各論の勉強に関しても、自宅における学習が、講義と同等以上に重要です。法律の制度の基本は、一に制度趣旨、二に要件、三に効果です。教科書・参考書を読んで勉強する際は、この三つを意識しつつ頭の中で整理をしていくことが、着実な学習方法です。そのうえで、具体的な解釈例を補っていくと、理解を深めることができます。その際行うべきは、判例を読むということです。今は、学生向けの判例集が各種出版されています。具体的な解釈の実際を判例を通じておさえていくことが、法律学ではとても大事です。
債権各論と最もつながりが深いのは、債権総論です。債権各論の制度や解釈論は、債権総論の知識ないし議論内容が前提となっている部分がかなり大きいです。というよりも、債権各論の条文・制度のうち、債権総論との関連のないものを指摘することの方が困難です。したがって、なんといっても、債権各論の講義受講や学習の前に、債権総論の勉強をしてあることが望ましいです。そのつぎに、民法全体の原則的基本ルールを定める民法総則の学習が済んでいることが、債権各論の勉強をスムーズにします。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 試験(科目試験またはスクーリング試験)により最終評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
通信教育課程 在学生サイト 教科書一覧を参照
https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/tsukyo-current/textbook?authuser=0
その他特記事項
【通信教育課程はなし】