シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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【通教 通信授業】行政法1 | 2024 | その他 | ー | 通信教育課程 | 徳本 広孝 | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JD-PU3-212L
履修条件・関連科目等
履修条件:通信教育課程の学生対象
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
行政法は、よりよい社会をつくるための道具の一つです。すなわち、行政法に基づいた政府(国・自治体)の行政活動は、私たちの福利のため、社会のあり方や人・企業の環境・行動を変えることができます。たとえば、食品の安全確保のために行われている各種品質・表示規制等は、消費者である私たちの生命や健康を保護することに役立っています。食品事故によって生じる損害は、民法等に基づいて救済を受けることができますが、未然防止のしくみがあれば、そのような損害自体を抑止することになりますし、企業間競争を確保できる場合には、より安全な食品を工夫する企業の動機づけにもなります。政府(およびその根拠を示す行政法)の役割は、それにとどまりません。都市計画(まちづくり)、教育、福祉、医療、年金、介護、財政、金融、産業振興、水・エネルギーの安定確保、環境保全、電気通信(携帯電話など)、放送、運輸、住宅等広範な分野に及んでいます。もちろん、行政によって市民の権利・利益がみだりに侵害されないようにすることも重要な行政法の役割です。
授業では、多様な行政活動に共通する考え方と重要な一般法について学びます(「行政法」という法典はありません)。すなわち、なぜ政府の活動が行政法に基づかねばならないのか、行政活動には、どのような道具立て(行為形式、手法)があるのか、行政活動を適切に行うことができるようどのようなしくみがあるのか等について学びます。
国会や裁判所が行政をどのように統制することができるか等についても学びます。もっとも、行政活動が誤っているため国民・住民の権利利益を侵害した場合に、裁判所や行政機関にどのように救済を求めることができるのかに関しては、ごく概略的な解説を行うにとどめます。この問題に関する詳しい解説は、行政法2で行われる予定です。
学習の過程では、報道されている具体的な事件や判例を素材にこれらについての理解を深める機会があると思います。さらに、政府(国・自治体)の活動が市民社会の活動(企業・市民による活動)と社会における役割をどのように分担すべきか、どのようにすれば政府の活動が国民・住民の意思を十分に反映したものになるか、政府の活動が社会の複雑な利害関係をどのように調整していくべきかなどについても考えることがあるでしょう。
行政法は、公務員の方が学ぶべき法分野だといわれることがありますが、それにとどまりません。行政活動は、市民生活と密接な関係があることや企業が行う事業活動の多くはなんらかの形で行政規制を受けている(ビジネス法としての行政法)ことから広く市民のみなさんの関心を呼ぶはずですし、ビジネスに関心のある方にとっても有益な知見を与えてくれると考えています。
科目目的
行政法の基本的なしくみや考え方を理解すること、特に法治主義や法律による行政の原理の意味及びその実現のためのしくみを理解することが、この科目の授業の目的です。
到達目標
行政法のしくみや考え方の基礎について理解ができること、特に社会において生じる様々な問題や紛争を行政法の視点から分析し、解決の方向性を見つけ出すことができるようになることが、この科目の授業の到達目標です。
授業計画と内容
この科目の授業は、以下の3つの部分に大別されます。
まず第1編「行政法とは何か」では、国や地方公共団体の行政活動を規律する法規範や法原理を明らかにします。次に第2編「行政活動のプロセス」では視点を行政の側に切り換え、国や地方公共団体はいかなる法的手段を用い得るかを明らかにします。そして第3編「行政活動に対する制約原理」では視点を再び法規範や法原理の側に戻して、多様な行政活動を制約する法原理の具体的内容を詳細に解説します。
以上のような各編の内容は、以下の通りです。
第1編 行政法とは何か
第1章 行政法とはいかなる法分野か
第2章 法治主義と法律による行政の原理
第3章 行政法規範の多様性
第2編 行政活動のプロセス
第4章 行政行為
第5章 行政の実効性確保
第6章 非権力的な行政活動
第7章 行政活動と情報
第3編 行政活動に対する制約原理
第8章 手続法的コントロール
第9章 実体法的コントロール
第10章 組織法的コントロール
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
「行政法1」の十分な理解のためには、「憲法」および「民法1(総則)」の理解が役に立つことに注意してください。《授業の概要》のとおり、行政法は、私たちの身近な生活に関わっているとともに現在および将来の社会のあり方にも大きな影響を及ぼしているといっても過言ではありません。行政法は、理解が容易でないといわれることがありますが、先入観を捨てて、現実の社会における諸問題と行政法にはどのような関係があるか、具体的事例(判例の事案や新聞記事等)を考えながら、学習すると関心が高まります。行政法学習の過程では、その重要な法律の条文(小さな六法にも掲載されているもの)の諸規定をていねいに参照することが必要です。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 試験(科目試験またはスクーリング試験)により最終評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
通信教育課程 在学生サイト 教科書一覧を参照
https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/tsukyo-current/textbook?authuser=0
その他特記事項
【通信教育課程はなし】