シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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卒業論文 | 2024 | その他 | 他 | 文学部 | 新原 道信 | ニイハラ ミチノブ | 4年次配当 | 8 |
科目ナンバー
LE-SC4-K180
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業のなかで重要な概念を紹介する際に、日本語に対応する言葉を、新原がこれまで接してきた言語(イタリア語、ドイツ語、ラテン語他のラテン系の言語)で紹介することがあります。
授業の概要
卒業論文作成の具体的な準備は、3年次から始まります。それぞれの専攻・プログラムで行われる卒業論文ガイダンスが卒業論文の作成への第一歩です。スケジュールは、所属先で異なりますので、スケジュール一覧や文学部事務室、各共同研究室の掲示板、Cplus、manaba等でよく確認して怠りのないよう十分注意して下さい。
卒業論文の作成に当たっては、まず、どのようなテーマを設定するか、そこから第一歩が始まります。そのためには、1・2年次のうちに基礎知識を十分身につけるとともに、できるだけ広範囲な学習機会に接して自分の間口を広げておくことがたいへん重要です。それを踏まえておおまかなテーマを念頭に置き、徐々に3・4年次の体系的な履修へと進んでいくわけです。
また、大学院への進学を希望している場合は、受験資格の多くが卒業論文を書いていることを課していますので、希望する学生はそのつもりで取り組んで下さい。
科目目的
卒業論文は、文学部に入学してから卒業までに自分が何を学習していくか、そのためには自分は今何をすべきなのかを示してくれる重要な指標となります。
卒業論文のテーマを見つけるためには、いろいろな視点から物事を考え、広い視野を持つことが必要です。様々な学問分野にふれ、多くのことに興味、関心を抱く、その中から自分の興味の対象を徐々に絞り込んでいく、最終的に卒業論文のテーマを決め、卒業論文に取り組む。その過程そのものが、言うならば文学部で学習する過程そのものなのです。
到達目標
卒業論文は、大学での学業生活の総決算とも言えるものであるとともに、自らの主体性によって学問の世界に踏み込み、本格的に研究し自分自身の成果を創造することを到達目標とします。
授業計画と内容
第1回 テーマ設定1
第2回 テーマ設定2
第3回 先行研究の収集・検討1
第4回 先行研究の収集・検討2
第5回 先行研究の収集・検討3
第6回 先行研究の収集・検討4
第7回 先行研究の収集・検討5
第8回 先行研究の収集・検討6
第9回 先行研究の収集・検討7
第10回 先行研究の収集・検討8
第11回 先行研究の収集・検討9
第12回 課題設定1
第13回 課題設定2
第14回 中間報告
第15回 資料の収集・検討1
第16回 資料の収集・検討2
第17回 資料の収集・検討3
第18回 資料の収集・検討4
第19回 資料の収集・検討5
第20回 資料の収集・検討6
第21回 資料の収集・検討7
第22回 資料の収集・検討8
第23回 卒業論文の執筆1
第24回 卒業論文の執筆2
第25回 卒業論文の執筆3
第26回 卒業論文の執筆4
第27回 卒業論文の執筆5
第28回 卒業論文の執筆6
※個別指導・集団指導は、指導教員によって異なります。
※上記授業計画は一例であり、実際の授業計画は指導教員ごとに異なります。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
フィールドワークとデイリーワークを重視し、授業時間外にも、ゼミのML等を通じて情報の共有と対話、合宿とグループワークをおこないます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・卒業論文、または卒業研究の作成等に対して専門分野に関する必要な論文作成、研究指導を行うことを基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 卒業論文の内容及び口述試験を文学部共通の評価ルーブリックを用いて総合的に評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
① 提出された卒業論文は指導教員を中心に審査を行い、その内容について口述試験を実施します。
② 口述試験の日時は、原則としてC plus・manaba等でお知らせします。各自で必ず確認して下さい。全員指定された日時に口述試験を受けなければなりません。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
ゼミのMLに提出された論文通信(論文草稿)にコメントをMLで開示し、自分に対して向けられているのでないコメントをわがこととして聴く力を高めます。
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
"複数の目で見て複数の声を聴き、複数のやり方で書いていく"ことを通じて、下記のかたちでの〈調査研究/教育/大学と地域の協業〉を体験していく:
①〈調査研究/教育/大学と地域の協業〉に取り組む調査研究者の使命は、その能力を、あくまであらたな社会の構想につながる認識の地平を生産することのみに活用することである。
②この営みに参加する者は、有意の情報や知見を他の調査者にもたらす必要がある。
③調査者は調査によって獲得した新たな認識をなんらかのかたちで他の調査者や自分が属するコミュニティ/かかわるフィールドに返す必要がある。そして調査に応じた当事者もまた他の当事者に新たな認識を返す必要がある。そこで重要となるのは、結果の伝達を通じての直接的なコミュニケーションそのものである。
④社会と自らの行為のリフレクションをしていくという意味での調査者でもある当事者と調査者は、"対話的にふりかえり交わる(riflessione e riflessività)"なかで 、その関係性を"切り結び続ける(ricostellando la relazione, reconstellating the relationship)"。当事者も調査者も、それぞれの目的に応じたかたちで調査の結果をわがものとする。(Alberto Melucci, "Verso una ricerca riflessiva", registrato nel 15 maggio 2000 a Yokohama, 2000年=新原道信訳「リフレクシヴな調査研究にむけて」新原道信編『"境界領域"のフィールドワーク――惑星社会の諸問題に応答するために』中央大学出版部, 103ページ.以下,Melucci(2000=2014), 99頁のメルッチよるまとめをもとに改作)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
manabaやGoogleドライブ等によるゼミで蓄積された調査研究のアーカイブの活用、MLで常にお互いの草稿と授業の記録を開示し、授業時間外でもコメント&リプライを、教員から学生という一方向のみならず学生間も含めて多元的に行います。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
《テキスト》 新原道信編『人間と社会のうごきをとらえるフィールドワーク入門』(ミネルヴァ書房、2022年)/新原道信『境界領域への旅』(大月書店,2007年)/A.メルッチ『プレイング・セルフ』(ハーベスト社,2008年)/新原道信『旅をして、出会い、ともに考える――大学で初めてフィールドワークをするひとのために』(中央大学出版部、2011年)/新原道信編『人間と社会のうごきをとらえるフィールドワーク入門』(ミネルヴァ書房、2022年)。
《参考文献》 新原道信他編『地球社会の複合的諸問題への応答の試み』(中央大学出版部、2020年)/新原道信編『"臨場・臨床の智"の工房――国境島嶼と都市公営団地のコミュニティ研究』(中央大学出版部,2019年)/新原道信編『うごきの場に居合わせる――公営団地におけるリフレクシヴな調査研究』(中央大学出版部,2016年)/新原道信編『"境界領域"のフィールドワーク――惑星社会の諸問題に応答するために』(中央大学出版部,2014年)/新原道信『ホモ・モーベンス――旅する社会学』(窓社,1997年)/野口裕二・大沼英昭編『臨床社会学の実践』(有斐閣,2001年)/矢澤修次郎編『講座社会学 社会運動』(東京大学出版会,2003年)/西成彦・原毅彦編『複数の沖縄』(人文書院,2003年)/廣田功・永岑三千輝編『ヨーロッパ統合の社会史』(日本経済評論社,2004年)/新原他編『地球情報社会と社会運動』(ハーベスト社,2006年)/新原他編『地域社会学講座 第2巻 グローバリゼーション/ポスト・モダンと地域社会』および第1巻と第3巻(東信堂,2006年)/矢澤修次郎編『再帰的=自己反省の社会学』(東信堂、2017年)。
その他特記事項
卒業論文の提出は、12月中旬で指定日時に遅れることは絶対に許されません。
ただし、病気その他の理由で締切時刻までに本人が提出できない時は、あらかじめその旨を文学部事務室に連絡の上、代理人に提出を依頼することができます。
提出場所は文学部事務室です。具体的な日時については時間割等で発表します。
※専攻別の卒業論文作成上の注意が各共同研究室に置いてありますので、卒業論文を作成する前に必ず一読するようにして下さい。
卒業論文は人生の「背骨」となるものです。歴代のゼミ生たちは、どんな卒論を、どのように書いたかを大切にしてきました。すなわちそれは、よりゆっくりと、やわらかく、深く、耳をすましてきき、勇気をもって、たすけあう、"複数の目で見て複数の声を聴き、複数のやり方で書いていく"、〈あるき・みて・きいて・しらべ・ふりかえり・考え・ともに書く〉というスタイルでの卒論執筆です。
私は、地域に寄りそい、ひとにこころを寄せるフィールドワークをテーマとして、イタリア・ブラジルなど海外のひとたちと国際共同研究をしています。たったひとりで異郷/異教/異境の地に降り立ち、大切なこと/出会うべきひとに出会い、他者とともに場を創っていく――そうすることで〈ひとのつながりの新たなかたち〉を構想することを学生のひとたちとやってきました。ゼミ活動を"ともに(共に/伴って/友として)"することで、以下のことを考えていけたらと思っています:
惑星地球をひとつの海として、社会をそのなかに浮かぶ島々として体感するような"智"――地球規模の複合的諸問題に応答する"臨場・臨床の智"を、いかにして紡ぎ出すのか。地球の、他の生き物の、他の人間の悲鳴を、感知し、感応する"共存・共在の智"をいかにして可能とするのか。"惑星社会のフィールドワーク"はこの課題を引き受け/応答するものたり得るのか。そのためにはいかなる条件があるのか?
このゼミでやっていることは、〈試行錯誤していくなかで、自分で気付き、自ら学ぶ「問題発見(仮説生成)型」〉のトレーニングです。「答えがある程度予測できる範囲の問題解決」でよしとせず、じっくりと探求(exploring)していくことで、後からやって来る「気付き」があります。これは、自分の限界をこえていこうとするときに有効なやり方で、試行錯誤のプロセスそのものが貴重なデータとなり、漢方薬のようにじんわりと永く効き目が続く「根本問題の解決」へとつながります。ゼミそしてフィールドでの「衝突と出会い」のなかで、「ふつう」にこのゼミでplaying&challengingにやったひとたちは、短期的に速くいこうとする人たちよりも、より遠くまで、そして(結果的には)より早く、自分のなすべきことに到達していきます(「急がば回れ」です)。想像力と創造力を大切に、このゼミで自分を試していってもらえたら幸いです。大切なのは、どのフィールドを選ぶかでなく、どうかかわるかです。みなさんの小さな行いが次の世代にむけての「一粒の麦」ともなり得ますし、それまでの蓄積をぶちこわす場合もあります。ひとつのフィールドにきちんとかかわれば、そこから、ほとんどあらゆる問題関心に応答する力を獲得できます。慎み深く、思慮深く、臆することなく、きちんと外の世界に出ていき自分を試していってください。
フィールドワークでは、突然の状況の変化で、予定が変わったり、現地に行けなくなったり、帰れなくなったり、いろいろ大切なものを失ったりと、様々なことが起こります。なんとかその現実に対応しようとするなかで、何かを「うまくやる」力というよりは、「うまくいかないときでもなにかは出来る」力を、ゼミ生はつくってきてくれているのだと思います。
すでに社会に出た卒業生たちからは、「危機の瞬間や転換期にこそ力を発揮するひとを育てるゼミだったと思います。だからこそたいへんなときにはまた帰りたい、声をききたい、そこにいたいと思えるのかもしれません」と言われています。いまはまさに、制限のあるなかでも出来ることを見つける力を養える時期だと考えています。新原ゼミでは様々なタイプのひとを歓迎します。ともに場を創っていただけたら幸いです。
参考URL
https://sociology.r.chuo-u.ac.jp/member/detail/76