シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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美術史各論(2)A | 2024 | 前期 | 火2 | 文学部 | 粂 和沙 | クメ カヅサ | 2~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-HR2-D453
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
19世紀半ばから20世紀前半までの西洋における装飾芸術とデザインに焦点をあてます。装飾芸術やデザインなど「応用美術」と呼ばれた分野は、実用的な用途を持つことから彫刻、建築、絵画などの「純粋美術」とは切り離され、従来職人や技術者の分野として考えられてきました。しかし19世紀後半に産業の発展とともに注目されると、これらの分野は異文化間の影響や交流、交渉を経て、ひとつの芸術ジャンルとして台頭していきます。この授業では、機械化と手仕事、芸術性と商業性、エリートと大衆、国民性と国際性といった、近代デザイン史における相反する論点についても検討します。
科目目的
西洋近代のデザインや装飾芸術をめぐる動向だけでなく、そこに含まれる他者表象やジェンダー、消費文化をめぐる問題についても理解することを目的とします。
到達目標
近代デザイン史の流れを理解し、主要な作家や作品についての基礎知識を得ること。
装飾芸術やデザインを手がかりに、それらを取り巻く社会や、作品にあらわれた文化的事象を読み解く複合的な視点を培うこと。
授業計画と内容
第1回 イントロダクション:講義の概要と進め方
第2回 産業革命と英国におけるデザイン改良運動
第3回 産業デザインをめぐる日英交流①産業見本としての日本
第4回 産業デザインをめぐる日英交流②明治期の殖産興業政策と輸出工芸
第5回 ウィリアム・モリスとアーツ・アンド・クラフツ運動
第6回 唯美主義と室内装飾の消費文化
第7回 ジャポニスム①装飾工芸
第8回 ジャポニスム②グラフィック・アート
第9回 ジャポニスム③服飾デザイン
第10回 アール・ヌーヴォーと1900年のパリ万国博覧会
第11回 ユーゲント・シュティールと分離派
第12回 アール・デコと「他者」の表象
第13回 バウハウスとモダニズム
第14回 全体のまとめ
*受講生の関心や理解度に応じて、各回の内容を一部変更する場合があります。
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
各テーマの内容について、講義で示した参考文献を読み、理解を深める。
適宜、授業中に紹介した展覧会を見学する。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 40 | 講義内容から自らの関心のあるテーマを設定し、論述するという期末レポートを課します。設定したテーマについて複数の文献にあたり、それを踏まえて「自分はどう考えるのか」「なぜそう考えるのか」自らの意見を述べることができているか、評価します。 |
平常点 | 60 | 授業への出席と授業後に提出するリアクションペーパーによって受講姿勢を測ります。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
授業後に提出してもらうリアクションペーパーの中で全体で共有すべき質問や意見があれば、次週の最初に取り上げ、必要に応じて解説を行ないます。
提出されたレポートには、コメントを付して返却します。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
manabaおよびGoogleドライブを通じて、資料共有等を行ないます。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
教科書は使用せず、毎回プリントを配布。以下の参考書のほか、授業時に各回のテーマに関する文献を紹介します。
ニコラス・ペヴスナー『モダン・デザインの展開 : モリスからグロピウスまで』白石博三訳、みすず書房、1957年
エイドリアン・フォーティー『欲望のオブジェ : デザインと社会1750年以後』高島平吾訳、鹿島出版会、2010年(初版1992年)
天野知香『装飾/芸術:19-20世紀のフランスにおける「芸術」の位相』ブリュッケ、2001年
天野知香『装飾と「他者」 : 両大戦間フランスを中心とした装飾の位相と「他者」表象』ブリュッケ、2018年