シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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東洋史学基礎演習(1)A | 2024 | 前期 | 月4 | 文学部 | 松本 隆志 | マツモト タカシ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-OH1-G011
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本授業では指定したテキストを受講者全員で分担して読んでいきます。
テキストの読解を通じて「歴史とは何か」「歴史学とはいかなる学問なのか」という正解のない問いに対し、学生各自が一定の論理性を持って自分なりの回答を提示できるようになることを目指します。
毎回の授業は以下のプロセスで進行していきます。
(1)担当者による担当内容の発表
担当者は、テキストの担当箇所をしっかりと読んでその内容を整理し、そこに必要な注釈を入れ、要旨をまとめたレジュメを作成してもらいます。
発表後は下記の質疑に対する回答も担当してもらいます。きちんとテキストを読み込んで自分の理解を形成しておかないと、あるいは理解の及ばない点については注釈作成等の調査をしておかないと、質疑に対して何も回答できなくなります。
(2)受講者から担当者への質疑
担当者以外の受講者は、テキストを読んで質問を準備してきてもらいます。まず挙手による自由な質問を受け付けます。その上で質疑時間に余裕があれば講師が質問者を指名します。
担当一人の発表につき複数の学生に質問を求めていくので、学期中に全員に数回は質問をしてもらう予定です。
そのため、毎回事前に複数の質問を用意しておきましょう。そうしないと指名された時に質問できなくなります。
(3)講師による解説
担当者による発表内容や質疑への補足、修正、追加説明、文献紹介、当日の内容総括などを講師がおこないます。
(4)課題論述の作成・提出
授業時間後半の20-30分程度を使って200字程度の課題論述を作成・提出してもらいます。
書いてもらうことは主に、当日の発表範囲となったテキストの内容に関する理解と考察となる予定です。時に講師から特定のテーマを与えることもあり得ます。
担当者による発表も、その後の質疑も、この課題作成を念頭に置いておこなってもらうことになります。
提出された課題論述については、次回授業の冒頭でフィードバックをおこないます。提出された中から講師が任意に論述を選び出し、講評をおこなう予定です。
科目目的
テキストの読解を通じて、主に以下の3点を身につけていきます。
(1)テキストを読解した成果をまとめ、プレゼンテーションをして、質疑を行うという一連のプロセスを修得する
(2)テキストの読解に必要な周辺情報を調査する技術(図書データベースの利用、文献の収集)を修得する
(3)自分の問い・考察・回答からなるレポートの書き方を修得する
これら3点は、東洋史学専攻の学生が大学で歴史学をおこなっていくうえで必要な、基礎的な素養です。これらを経験して身につけることが本授業の目的となります。
到達目標
上記の目的3点を身につけること。
授業計画と内容
第01回 ガイダンス:授業の内容・目的・意義
第02回 講師による見本:歴史家と事実(1):レジュメ作成、発表のやり方について
第03回 講師による見本:歴史家と事実(2):質疑、ショートレポートのやり方について
第04回 発表:社会と個人(1):発表と質疑
第05回 発表:社会と個人(2):本章のまとめと考察
第06回 発表:歴史と科学と道徳(1):発表と質疑
第07回 発表:歴史と科学と道徳(2):本章のまとめと考察
第08回 発表:歴史における因果関係(1):発表と質疑
第09回 発表:歴史における因果関係(2):本章のまとめと考察
第10回 発表:進歩としての歴史(1):発表と質疑
第11回 発表:進歩としての歴史(2):本章のまとめと考察
第12回 発表:広がる地平線(1):発表と質疑
第13回 発表:広がる地平線(2):本章のまとめと考察
第14回 まとめ・総括
以上の授業計画・内容は状況に応じて変更になる可能性があります。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
自分でのテキストの読解に加えて、その読解過程を記したノートの作成をすると学習効果が高まります。
自分の理解・考察をアウトプットする練習になりますし、担当個所のレジュメ作成や毎回の質問の用意、課題作成、さらにはレポート作成にも役立ちます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | レポートの作成要領にきちんと従っているかどうか、問い・考察・回答がきちんと示された論述になっているかどうか等を評価します。 |
平常点 | 50 | 毎回の課題論述の提出、発表担当時のレジュメ、非担当時の積極的な質問等を評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
5回以上の欠席、期末レポート未提出は単位取得不可です。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
(1)テキスト(必ず入手すること)
E. H. カー著,清水幾太郎訳,『歴史とは何か』(改版)(岩波新書:青版447),岩波書店,2014年(初版1962年).
原著は1961年に出版。書名の通り、歴史とは何か、歴史学とはいかなる学問であるかを論じた古典的名著。過去は決して定まったものではなく、歴史は決して暗記ゲームではありえず、そして歴史学は常に現在進行形の学問であることが平易に語られています。
本書を通じて、一定の学問的なテーマのもとに情報の提示と考察がおこなわれている文献の読解を経験していきます。加えて、受験科目としての歴史と大学における歴史学のギャップを感じるとともに、歴史学という学問が現在もなお抱え続けている問題点を知ることもできるでしょう。
学生には、著者であるカーが「何を」「いかに」論じているのかを理解することが求められます。
(2)参考文献
E. H. カー著, 近藤和彦訳, 『歴史とは何か』(新版), 岩波書店, 2022年.
岩波新書版であるテキストとは訳者が異なる新訳です。テキストの文章で文意が理解しにくい個所も、こちらの新版ではわかりやすくなっている場合があります。また、解説や訳注が充実しているため、レジュメ作成に際して参照しておくと良いでしょう。
ジョナサン・ハスラム著,角田史幸ほか訳,『誠実という悪徳:E. H. カー 1892-1982』,現代思潮社,2007年.
テキストの著者であるカーの評伝です。カーの生きた時代背景と生涯、それらと著作との関係を知ることができます。カーの論じるところに従えば、カーの著作を理解するためにはカーの人生と当時の社会を知らなければならない、ということになります。本書を読むことでそれを実践できるでしょう。
喜安朗,成田龍一,岩崎稔著,『立ちすくむ歴史:E.H.カー『歴史とは何か』から50年』,せりか書房,2012年.
テキストの刊行後50年間における歴史学の展開を、三人の歴史学研究者が鼎談形式で論じたものです。テキストがその後の歴史学に及ぼした影響と、そこから派生した歴史をめぐる今日的な諸問題について知ることができます。本書を読むことで「歴史学を学ぶにあたってなぜこのテキストを読む必要があるのか」が理解できるでしょう。
その他特記事項
テキストは必ず入手してください。
レジュメやレポート作成の要領、講師との連絡方法などは講義内でお知らせします。
なお、状況によりシラバス記載内容に若干の変更が入る可能性があります。