シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
インド哲学史通覧/印度哲学史A | 2024 | 前期 | 水3 | 文学部 | 河﨑 豊 | カワサキ ユタカ | 1~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-EP1-T005
履修条件・関連科目等
哲学,宗教学,仏教学,南アジア地域研究に関連する科目のいずれか,または複数を併せて履修すること,もしくは履修済みであることが望ましい(履修条件ではない).
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
アーリヤ人のインダス川中流域への移住以来,いわゆるブラフマニズム(≒婆羅門教)の最古の聖典である『リグヴェーダ』からはじる南アジア(≒インド)の哲学的伝統は,インド正統派哲学やヒンドゥイズムの宗教諸派,ブラフマニズム・ヒンドゥイズムに対抗するジャイナ教や仏教,さらにはシュリー・オーロビンドやOshoなど近現代の思想家に至るまで連綿と続いている.そしてその哲学的伝統は,仏教が東アジア諸地域に展開し,またヨーガが世界中で市民権を得たように,その影響は計り知れない.南アジア文化圏の哲学の諸相を正確に理解することは,いまの世界の多様なあり方を正確に理解するために必須である.
本授業では,南アジア文化圏で花開いた所謂のインド哲学を,おおむね時系列に沿って概観する.認識論や存在論など,通時的に主題とされてきた問題は,複数回で触れるであろう.なお,インド共和国第二代大統領であった哲学者サルヴパッリー・ラーダークリシュナンが述べたとおり,インド哲学は宗教を抜きにして語ることはできない.どの時代の哲学も,大なり小なり宗教的思索を前提とする.したがってこの授業では,それら南アジア宗教の教義もあわせて扱うことになる.
受講者には,授業各回でミニッツペーパーを作成し,提出してもらう.各回のミニッツペーパーについては,次回授業冒頭に簡単な講評を行う.また授業初回には期末レポートの課題を提示する.受講者は各回の授業内容とそこで提示される参考文献に基づいてレポートの作成を進め,授業期間内に提出することが求められる.授業最終回は,レポート講評を含めたまとめを行う予定である.
科目目的
本科目の科目目的は,中央大学文学部が学位授与の方針として示す「卒業するにあたって備えるべき知識・能力・態度」のうち,主体的に自ら学ぶことを前提とし,以下の点に関与する:
①インド哲学に関する「専門的学識」を修得する.
②西洋哲学や中国哲学,イスラーム哲学などとは異なる思想の伝統に触れることで,「幅広い教養」を得る.
③その知識を前提とした課題作成によって「複眼的思考」を涵養する.
④上の課題作成を通じ,自らの思考を他者に伝え理解させる能力,また他者の思考を理解する能力を涵養する.
到達目標
本科目の到達目標は以下のとおり:
・インド哲学に関する基礎的な知識を習得し,個々の内容について他者に正確に説明できる.
・インド哲学の知識を通じ,人間社会が築き上げてきた思想の多様性を理解する.
・インド哲学の知識に基づいて自ら客観的・批判的に思索し議論できる.
授業計画と内容
第1回 イントロダクション:インド学 ― 南アジア研究 ― インド哲学
第2回 ブラフマニズムにおける哲学(1):ヴェーダとブラーフマナ
第3回 ブラフマニズムにおける哲学(2):ウパニシャッド
第4回 非ブラフマニズムにおける哲学(1):六師外道
第5回 非ブラフマニズムにおける哲学(2):ジャイナ教と哲学
第6回 非ブラフマニズムにおける哲学(3):初期の仏教と哲学
第7回 非ブラフマニズムにおける哲学(4):仏教の哲学的展開
第8回 ブラフマニズムにおける正統哲学(1):サーンキヤとヨーガ
第9回 ブラフマニズムにおける正統哲学(2):ニヤーヤとヴァイシェーシカ
第10回 ブラフマニズムにおける正統哲学(3):ヴェーダーンタとミーマーンサー
第11回 インド古典世界における価値観からみる哲学
第12回 インド古典文学理論にみる哲学
第13回 近現代インド思想の一端
第14回 総括と期末レポート講評
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業の各回で示される予定の参考文献・ウェブサイトなどを参照しながら,期末に課せられるレポートの準備・作成を進めること.
レポートの作成にあたっては,中央大学ASCライティング・ラボの「レポートの書き方資料」を必ず一読すること.
https://sites.google.com/view/chuo-writinglab/textbook
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 60 | ①中央大学ASCライティング・ラボが示す「レポートの書き方資料」の様式に準じている ②授業の内容を正確に理解している ③自ら考えた痕跡があり論理的に議論している に基づいて評価する. |
平常点 | 40 | 内容理解と授業参加態度について,授業各回のミニッツペーパーおよび授業における発言などをもとに,総合的に評価する. |
成績評価の方法・基準(備考)
中央大学ASCライティング・ラボの「レポートの書き方資料」のURLは以下である.これを参照せずに書かれたことが明白なレポートは機械的に減点する:
https://sites.google.com/view/chuo-writinglab/textbook
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは指定せず,各回で配布する資料を使用する.各回で用いる資料は全て,授業日までに事前にmanabaにアップロードする.また参考文献は授業各回の内容と進度に応じて適宜紹介する.
本授業全体に関わる参考書としては以下のものを紹介しておく:
早島鏡正 他『インド思想史』 東京大学出版会,1982年
村上真完『インド哲学概論』 平楽寺書店,1991年
ロイ・W・ペレット『インド哲学入門』ミネルヴァ書房,2023年
辛島昇 他『新版 南アジアを知る事典』 平凡社,2012年
インド文化事典編集委員会(編)『インド文化事典』 丸善出版,2018年
赤松明彦『インド哲学10講』 岩波書店,2018年
その他特記事項
受講に際し,サンスクリット語やヒンディー語,タミル語など,南アジア諸言語の知識は必要ない.ただし授業内容の性質上,それら南アジア諸言語とくにサンスクリット語の語彙が頻出する点は注意されたい.
授業内容や課題に関する質問等は,授業終了後口頭で,またmanabaの掲示板で随時受け付ける.