シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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哲学講義(7)(17) | 2024 | 前期 | 金2 | 文学部 | 尾留川 方孝 | ビルカワ マサタカ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-PE3-J307,LE-PE4-J317
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
『日本書紀』の神話およびそれに続く伝説的記事は、日本での思想的側面を持つもっとも古い言説である。成立後ほどなく学問の対象とされ、その後も繰り返し学ばれた古典である。現代でもこれから派生したマンガやゲームなどがあり、目にすることは少なくないが、必ずしも本来の内容が知られているわけではない。
神話は、現実に行われていた神祇信仰とも密接に関連するし、外来思想と融合して神仏習合などの発展をする。また外来の思想や概念にもとづく新たな神話解釈が展開される。多様な展開や発展をするが、いずれも基礎となるのは神話であり、本来の内容を知っていることが、理解の大きな助けとなる。そういうわけで本講義では、本来の姿すなわち原典で読む。
まず、冒頭に神話を載せる『日本書紀』の成立の経緯と、表現形式について学ぶ。それから世界の生成、日本の国土の成立といった世界認識、その国土の統治者の希求と実現の経緯、統治の委譲といった政治性、さらに祭祀儀礼の対象ともなる神々の特質、現実・非現実の両方を含む他国との関係といった、なまざまな要素を、ストーリー順にたどる。さらに神話本文に対する異説の「一書」が日本書紀には多く存在していることに着目し、その理由や意義も考察し、世界のはじまりを説く神話の性質を考える。
科目目的
さまざまな日本の思想や文化を理解するために必要となる根幹的思想・概念の一つである神話を学ぶ。『日本書紀』のはじめに記される神話は、日本で成立し、ながく日本の文化や思想の基礎の一つであり続けた。日本の文化や思想は、古代から近現代にいたるまで、外来文化・思想(儒学や仏教など)の影響を大きく受けているが、その基底にはしばしば在来の文化・思想もある。より深い理解には、表面に見える外来文化・思想の知識のほかに、その基底にあるものの知識も重要である。その基底にあるものの一つである『日本書紀』の神話を学ぶ。
到達目標
神話を『日本書紀』でたどり、本来の神話の内容全体の概要を把握する。断片や部分ではなく、また後世のさまざまなに変化したものではなく、本来の内容の全体の概要を理解する。後世のさまざまな言説(思想や文学など)で、神話に由来する部分を指摘できる。また『日本書紀』成立の経緯や背景も学び、しばしば日本独自とされてきた文献も、外来文化の一定の影響により成立したことを理解する。
授業計画と内容
1、授業の概要と予定
2、神話と歴史、神話の思想性
3、『日本書紀』の成立と成立後の読まれ方/中国文化との比較と表現形式
4、天地開闢と神の生成/複数の「一書」の存在
5、国生みと三貴子(統治者の未成立)
6、黄泉国訪問譚
7、アマテラスの天窟屋戸ごもり(祭祀の起源1)
8、スサノオの罪と大祓(罪への対処)
9、スサノオのヤマタノオロチ退治とオオナムチの国造り
10、天ツ神の地上平定とオオナムチの国譲り(祭祀の起源2)
11、天孫降臨・海神宮訪問譚
12、神武天皇東征と即位(統治者の成立)
13、神話での世界構造/占い(太占・ウケイ)のモチーフ
14、総括・まとめ:神話の着地点と世界の把握
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 『日本書記』の神話の理解の程度を、記述式の問題により評価する。 |
平常点 | 40 | 授業内容の理解を確認する簡単な課題を、毎回授業時間内に提出してもらい、評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
毎回の課題(平常点の対象)の半数以上を提出し、なおかつ学期末試験を受験することを、評価の必要条件とする。毎回の課題の提出が半数に満たない場合は学期末試験の点数に関わらず不可(単位認定しない)とする。また学期末試験を受験しない場合、毎回の課題の提出回数にかかわらず不可(単位認定しない)とする。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
質問などはmanabaの「個別指導」で受け付けます。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
特定のテキストは用いない。プリントを配布する。
参考文献:
小島憲之等(校注訳)『日本書紀(1)』(小学館、新編日本古典全集、一九九四年)(ジャパンナレッジによりオンラインで閲覧可)
坂本太郎・家永三郎等『日本書紀(1)』(岩波文庫、一九九四年)
井上光貞(監)『日本書紀(上)』(中公文庫、二〇二〇年)
宇治谷孟『日本書紀〈上〉』(講談社学術文庫、一九八八年)