シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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哲学講義(8)(18) | 2024 | 後期 | 金2 | 文学部 | 尾留川 方孝 | ビルカワ マサタカ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-PE3-J308,LE-PE4-J318
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
『日本書紀』の神話の概要を理解していることを前提に、神話が、現実世界にどのように展開し、他の思想とどのように絡み合ったかを学ぶ。神話はしばしば固有性が強調されるが、様々にひろがりがあったことを理解する。具体的には、1、神話や祝詞と中国由来の天命思想・災異思想の関係。2、神話および神祇信仰を基調とする仏教受容および神仏習合(神身離脱・本地垂迹)の解釈。3、「日本」の由来を語る神話を継承しつつも、日本・インド・中国を並べる三国観への展開。4、日本書紀の注釈に見られる神話を対象とする儒教・仏教の概念による哲学的解釈。こうした展開をたどる。
原文は漢文の文献を取り上げますが、プリントでは現代語訳や解説をするので、漢文が苦手でもなんとなるはずです。
科目目的
日本の思想のなかで、外来思想の受容やその影響を受けて、発展・展開したものを学ぶ。『日本書紀』の神話を基礎にしたいくつかの思想的展開をたどることで、日本固有の神話がしばしば儒学や仏教に代表される外来思想により解釈され、それを通して外来思想を取り込み、神話の意味や内容を拡張したことを学ぶ。すなわち、しばしば日本特有の思想とおもわれているものにも、実際には外来思想により支えられている場合があることを理解する。
到達目標
日本の神話および神祇信仰が発展した代表的なものを示すことができる。またそれを分析して、神話に由来する部分、儒学に由来する部分、仏教に由来する部分がどこなのか指摘でき、それぞれがどのように組み合わさっているか指摘できる。また元となった儒学や仏教の思想がどのようなものか、簡潔に説明できる。
授業計画と内容
第1回 授業概要および予定の説明
第2回 「現在」の祭祀制度の成立(もう一人の初代天皇)
第3回 災異説と天帝と神祇(中国思想の受容として)
第4回 伊勢神宮の成立
第5回 カムロキ等の命令が祭祀の起点となる意味(初代天皇の考察)
第6回 蕃神・他神としての仏教受容/神祇祭祀と仏教儀礼
第7回 猿の神と仏教(神身離脱:神は仏に救いを求めるか?)
第8回 『沙石集』での天照大神と大日如来(国生み神話のリメイク)
第9回 『沙石集』での天照大神と大日如来(伊勢神宮と両界曼荼羅、斎戒と戒律)
第10回 『神皇正統記』での日本の相対化(日本・印度・中国の三国観)
第11回 『神皇正統記』での天地開闢神話の並記
第12回 『日本書紀纂疏』での天地開闢神話の儒学(性理学)的解釈
第13回 『日本書紀纂疏』での天地開闢神話の仏教的解釈
第14回 総括・まとめ:様々な思想・文化の基底としての神話
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
配布するプリントを、授業前に一通り読んでおくこと。また授業後には、授業で割愛した部分について、参考文献によって補うこと。神話で用いられている特徴的な表現や事物の名前などは、各種辞書を用いて理解を深めること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 神話の発展といえる事象について、神話に、どのような思想がどのように組み合わさっているか説明できるかを評価する。 |
平常点 | 40 | 授業の理解度を確認するために、簡単な課題を毎回授業時間中に書いてもらい、評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
毎回の課題を半数以上提出し、なおかつ期末試験の受験を、単位認定の必要条件とする。毎回の課題の提出が半数未満ならば、学期末試験の点数にかかわらず不可とする(単位認定しない)。また学期末試験を受験しない場合、毎回の課題の提出状況にかかわらず不可とする(単位認定しない)。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
特定のテキストは用いない。プリントを配布する。
参考文献:
小島憲之等(校注訳)『日本書紀(1)』(小学館、新編日本古典全集、一九九四年)(ジャパンナレッジによりオンラインで閲覧可)
坂本太郎・家永三郎等『日本書紀〈1〉』(岩波文庫、一九九四年)
井上光貞(監)『日本書紀(上)』(中公文庫、二〇二〇年)
宇治谷孟『日本書紀〈上〉』(講談社学術文庫、一九八八年)