シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
哲学演習(1)(9) | 2024 | 通年 | 金5 | 文学部 | 佐藤 陽祐 | サトウ ヨウスケ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
LE-PE3-J801,LE-PE4-J809
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
A.N.ホワイトヘッドのSymbolismを皆で読んでいきます。
ホワイトヘッドはこれまではマイナーな哲学者として扱われてきましたが、素粒子から宇宙のあり方に至るまで、それらを一つの経験として説明し尽くそうという野心的な形而上学体系(=Process and Reality)は21世紀あるいはこれから何世紀先までも、我々にとって重要な示唆を間違いないく与えうるものだといえます。今回取り上げるテキスト Symbolismはホワイトヘッド哲学における知覚論であり、象徴作用という独特の概念によって人間の知覚経験を説明しようとする興味深い内容です。
中央大学文学部哲学専攻は、中村昇先生を筆頭に、飯盛元章先生、佐藤、またホワイトヘッドとも深い関連があるウィリアム・ジェイムズの専門家でありかつホワイトヘッド哲学にも通暁する大厩諒先生、さらには大学院生にもホワイトヘッド研究者がおり、ホワイトヘッド研究者が一つの大学にこれほどに集まっている大学は少なくとも現在の日本にはどこにもありません。中央大学文学部哲学専攻は、いわば、日本におけるホワイトヘッド研究の総本山といっても過言ではない環境にあります。そうしたなかで、ホワイトヘッドの哲学に皆様にも興味を持っていただき、あわよくば我々と共に研究を行っていただける方を探すプロジェクトの一環として、本演習はあるといえます。
科目目的
この講義の目的は主として3つあります。
①哲学的に考え、議論ができるようになること。
②諸君がこれまでに行ってきた「勉強」とこれから行う「学問」の違いを知ること。
そして、学問がどれほどおもしろいものなのかを体感すること。
③ホワイトヘッドの哲学を通じて学問として専門的に哲学をすることの糸口をつかみ、諸君の興味範囲を拡大していくこと。
④ホワイトヘッド哲学について基礎的な理解を得ること。
到達目標
英語で書かれた哲学書を読み、「自分で」考えることができるようになること。
ホワイトヘッドの哲学について理解を深めること。
卒業論文において扱いうるようなテーマを見つけること。
授業計画と内容
前期
1.イントロダクション
2.Kinds of Symbolism pp.1-2
3.Symbolism and Perception pp.2-3
4.Symbolism and Perception pp.3-5
5.On Methodology pp.5-6
6.Fallibility of Symbolism pp.6-7
7.Definition of Symbolism pp.7-9
8.Experience as Activity pp.9-10
9.Language pp.10-11
10.Language pp.11-13
11.Presentational Immediacy pp.13-14
12.Presentational Immediacy pp.15-16
13.Perceptive Experience pp.16-18
14.Symbolic Reference in Perceptive Experience pp.18-19
後期
1.イントロダクションと前期の復習
2.Roles of Sense-data and Space in Presentational Immediacy pp.21-22
3.Roles of Sense-data and Space in Presentational Immediacy pp.23-25
4.Objectification pp.25-26
5.Objectification pp.27-29
6.Hume on Causal Efficacy pp.30-31
7.Hume on Causal Efficacy pp.32-33
8.Hume on Causal Efficacy pp.34-35
9. Hume on Causal Efficacy pp.36-37
10. Kant and Causal Efficacy pp.37-38
11. Kant and Causal Efficacy pp.38-39
12. Direct Perception of Causal Efficacy pp.39-40
13. Direct Perception of Causal Efficacy pp.41-43
14.これまでに扱った内容についての総括・質疑
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
担当者には事前にレジュメを作成してもらい、授業時に発表してもらいます。
担当者以外も必ずテキストを読み込んでくること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
中間試験 | 40 | 前期末、後期末にテキストの内容について問う試験を行います。 |
期末試験(到達度確認) | 40 | 前期末、後期末にテキストの内容について問う試験を行います。 |
平常点 | 20 | 出欠を確認します。前期、後期の各々半期において3回以上の欠席は単位認定不可とします。出席の上、質疑への参加を平常点として評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
manabaでの掲示板、あるいはアンケートなどで質問が出た場合は、次の回に応答をします。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
テキストを読解のうえ、質疑応答を行い、内容について皆で議論を行います。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テクストは、A.N.Whitehead, Symbolism Fordham University Press,1927. を用います。テクストは初回授業時にコピーを配布する。
参考文献:
中村昇『ホワイトヘッドの哲学』講談社、2007年。
飯盛元章『連続と断絶: ホワイトヘッドの哲学』人文書院、2020年。
佐藤陽祐『日常の冒険 ホワイトヘッド、経験の宇宙へ』春風社、2021年。
その他特記事項
全員がテキストを読み込んできていることを前提にこの演習は進行します。相当の英語を読解する力が求められます。したがって、受験のために学んだ英文法でよいので、高校までの英文法を「徹底的に」復習しておくこと。辞書を引く労を厭わないこと。また、言葉の真の意味において成績評価を「とてつもなく厳しく」行うので、簡単に単位を取得できるとは思わないでもらいたい。努力、根性、気合いを見せてほしい。学位を取得しようとするならば、大学で学問をする覚悟と気概を持つこと。
わからなければ、ありとあらゆる手段を用いて調べればよい。
調べ方がわからなければ、尋ねればよい。
とはいえ、自分で調べて、理解して、
学ぶこと、表現することの楽しさや苦しさや諦念や絶望を心から味わってほしい。
(おもしろいと思えれば、予習をしなければという義務感もなく、
自然と予習をし始めるし、おもしろくないのは、予習をしてい
なくて、講師やみんなの言っていることがわからなくなるからだ。)
それとは別に、テキストは間違いなくおもしろい。)
講師への連絡がある場合には、manaba内の個別指導(コレクション)を用いること。