シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
多文化教育学 | 2024 | 前期 | 木5 | 文学部 | 丸山 英樹 | マルヤマ ヒデキ | 2~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-ED2-N305
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
日本語での授業であるが、用いる資料は英語のものも多く、ある程度の英語運用能力が求められる。
This class is basically in Japanese, but some materials are in English.
授業の概要
この授業ではグローバル・ローカル課題を踏まえ2050年の社会を受講生が想像し、その時に求められる教育を3つの設問(何を続け、何をやめて、何を再構築するか?)に答える形で表現する。そのために、受講生はUNESCOが2021年に刊行した報告書『Reimagining Our Futures Together』のチャプターを毎週一つずつ講読し、扱われる内容の背景や状況に関する補足資料ももとに議論を行う。報告書と議論の内容から、受講生たちは人種・民族、社会階層、ジェンダー、性的指向性、障がいなどの多様な人々の文化背景について調べ、基礎的な理論と現実を理解する。またグローバル課題がローカル課題と連関しており、特に持続可能な未来に向けて教育がいかなる役割・可能性を持ちうるのかを把握する。
科目目的
2050年に生きる社会の中堅としての自身を受講生は想定し、教育を学校だけのものとせず、自身と他者がサステイナブルに生きることができる多文化社会を具体的に想像することをめざす。
到達目標
受講生は、次のことができるようになる:
1)グローバルおよびローカル課題としての教育を理解すること
2)未来社会が多文化であることを前提とした教育課題を議論すること
3)自分の考える2050年における教育を表現する
授業計画と内容
1. 導入:本講義の目的と評価の確認。教材の手配
(宿題 UNESCO報告書「概要」を通読し、要点と質問を用意する)
2. 概要:教育のための新たな社会契約・基盤となる原理
(宿題 同「はじめに」同上)
3. はじめに:人類課題としての教育
(宿題 同「第1章」同上)
4. 第1章:より公平な教育の未来に向けて
(宿題 同「第2章」同上)
5. 第2章:破壊的なるものたちと生じつつある変容
(宿題 同「第3章」同上)
6. 第3章:協力と連帯の教育学
(宿題 同「第4章」同上)
7. 第4章:カリキュラムと進化する知識コモンズ
(宿題 同「第5章」同上)
8. 第5章:教師の変革的な取り組み
(宿題 同「第6章」同上)
9. 第6章:安全性を保ち、変容する学校
(宿題 同「第7章」同上)
10. 第7章:時間と空間を超えた教育
(宿題 同「第8章」同上)
11. 第8章:研究・革新の呼びかけ
(宿題 同「第9章」同上)
12. 第9章:グローバルな連帯と国際協力を呼びかける
(宿題 同「おわりに」同上)
13. おわりに:提案と継続的行動
14. 発表:2050年の社会における教育について、グローバル・ローカル課題を踏まえて表現(上智大学との合同もありうる)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
ユネスコの報告書(UNESCO (2021). Reimagining Our Futures Together)の指定チャプターを毎週必ず通読し、授業内での議論に向けて準備しておくこと。教材となる報告書は初回で共有する。毎週の議論では、背景情報となる追加資料を適時用いるので、必要に応じて事前・事後に通読しておくこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
平常点 | 70 | A:授業に出席し(i)、宿題によって準備し(ii)、授業内グループディスカッションに貢献ができ(iii)、省察的・批判的コメントを表現(iv)した B:(i)~(iv)のいずれか1つが抜けている C:(i)~(iv)のいずれか2つが抜けている D:(i)~(iv)のいずれか3つが抜けている E:(i)~(iv)のいずれもが抜けている |
その他 | 30 | 発表 A:グローバル課題(i)とローカル課題(ii)を捉えた上で、2050年の社会における教育の課題(iii)と可能性(iv)を表現できている B:(i)~(iv)のいずれか1つが抜けている C:(i)~(iv)のいずれか2つが抜けている D:(i)~(iv)のいずれか3つが抜けている E:(i)~(iv)のいずれもが抜けている |
成績評価の方法・基準(備考)
成績評価の割合で示すとおり、出席しない場合、いずれも自動的にE判定となる。出席は第2〜14回で取る予定である。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
受講者数によるが、オンラインツールを用いた双方向型の講義パートが含まれる。受講生はパソコン・タブレット・スマホを頻繁に用いる必要がある。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
1. アギヨン, P., アントニン, C., ブネル, S.(2022)『創造的破壊の力』東洋経済新報社
2. ウルリッヒ, B., ヴィッセン, M.(2021)『地球を壊す暮らし方』(中村健吾・斎藤幸平監訳)岩波書店
3. 英『エコノミスト』編集部(2012)『2050年の世界』(東江一紀・峯村利哉訳)文藝春秋
4. 太田美幸・丸山英樹編『ノンフォーマル教育の可能性』増補改訂版、新評論
5. 北村友人・佐藤真久・佐藤学編『SDGs時代の教育――すべての人に質の高い学びの機会を』学文社
6. 工藤尚悟(2022)『私たちのサステイナビリティ:まもり、つくり、次世代につなげる』岩波ジュニア新書
7. サイド, M.(2021)『多様性の科学』ディスカバー・トゥエンティワン
8. 佐藤一子ら(2022)『共生への学びを拓く:SDGsとグローカルな学び』エイデル研究所
9. タレブ, N.N.(2017)『反脆弱性』上下(望月衛・千葉敏生訳)ダイヤモンド社
10. ドレングソン, A.・井上有一編(2001)『ディープ・エコロジー――生き方から考える環境の思想』昭和堂
11. ドーリング, D.(2022)『Slowdown:減速する素晴らしき世界』(遠藤真美訳)東洋経済新報社
12. ハイト, J. & ルキアノフ, G.(2022)『傷つきやすいアメリカの大学生たち』(西川由紀子訳)草思社
13. ビースタ, G.J.J.(2016)『よい教育とはなにか――倫理・政治・民主主義』(藤井啓之・玉木博章訳)白澤社
14. 広井良典(2019)『人口減少社会のデザイン』東洋経済新報社
15. ブリッカー, D., イビットソン, J.(2020)『2050年 世界人口大減少』(倉田幸信訳)文藝春秋
16. ブリントン, M.C.(2022)『縛られる日本人――人口減少をもたらす「規範」を打ち破れるか』中公新書
17. ベイトソン, G.(2000)『精神の生態学』(佐藤良明訳)新思索社
18. マクレイ, H.(2023)『2050年の世界:見えない未来の考え方』(遠藤真美訳)日本経済新聞出版
19. 丸山英樹(2023)「ESDの深い次元」佐久間亜紀ら編『教育学年報』14: 81-101.
20. 丸山英樹(2024)「ESD 3.0で2050年の教育と社会を想像する」『比較教育学研究』68: 138-150.
21. ラワース, K.(2018)『ドーナツ経済学が世界を救う』(黒輪篤嗣訳)河出書房新社
22. リフキン, J.(2023)『レジリエンスの時代』(柴田裕之訳)集英社
23. UNESCO (2021). Reimagining Our Futures Together: A new social contract for education, Paris, UNESCO.