シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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教育学特講(4) | 2024 | 後期 | 月2 | 文学部 | 堀川 修平 | ホリカワ シュウヘイ | 2~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-ED2-N411
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
私たちの身のまわりに存在しているジェンダー/セクシュアリティ問題について、じぶんごととして捉えることができる力、そしてそれらを解決するための力を養っていただきます。そのために、私たちを「種としてのヒトから人間としてのひと」へと育て養う「教育」(必ずしも、学校教育だけが教育ではありません)の可能性に着目しながら学びを深めていきたいと思います。
【授業の概要】
1.ジェンダー/セクシュアリティといった〈性〉に関わる差別問題を反省的にとらえる契機を与え、省察的な意見をもてる内容とします。
2.性の多様性、「らしさ」の強要、LGBT市場における包摂と排除といった現代的諸課題について、具体的ケースを示しながら検討をしていただきます。
3.本授業担当教員の専門性である「教育(人間形成)とジェンダー・セクシュアリティ」という観点から授業を深めます。
4.本授業は原則、個人ワーク・グループディスカッションを取り入れます。単に受動的に知識を吸収し、座っていればよい「座学」ではありません。
5.積極的に教員と学生、学生同士での交流を行いますので、人権保障に関する意識のない学生には受講を控えていただきたいと思います。
科目目的
この科目は、ジェンダー・セクシュアリティの観点から人間の多様性についての学識と思考力を修得することを目的としています。
到達目標
本授業の到達目標は以下の3点です。
・ジェンダー平等とは何かを歴史的な観点から理解することができる。
・ジェンダー平等実現のための教育の課題について理解し、学校におけるジェンダー平等の課題について考えることができる。
・ジェンダー/セクシュアリティに関する差別問題が身のまわりに存在することを理解できるよう、日常的な関心を形成し、意見を述べることができるようになる。
授業計画と内容
第1回 オリエンテーション
第2回 性教育とはなんだろう?(1)私たちは「性教育」を学んできたのか?
第3回 性教育とはなんだろう?(2)「包括的性教育」と「純潔教育」の違いとは?
第4回 グループディスカッション(1)どのような「性教育」を受けてきたのか?
第5回 ジェンダーの視点・性の多様性の視点(1)機会の平等・結果の平等とジェンダー
第6回 ジェンダーの視点・性の多様性の視点(2)「性の多様性」=LGBT??
第7回 グループディスカッション(2)重なる属性・重なる差別
第8回 噂とジェンダー・セクシュアリティ~「デマ」に抗する知識を身につけよう
第9回 「特権」と「社会的マイノリティ」~「性的少数者」は適切な表現なのか?
第10回 ジェンダーバッシング・性教育バッシングの歴史(1)「バッシング」とは何か?
第11回 ジェンダーバッシング・性教育バッシングの歴史(2)誰がバッシングを煽動する?
第12回 ジェンダーバッシング・性教育バッシングの歴史(3)バッシングに抵抗するための知
第13回 グループディスカッション(3)わたしたちが、今、始められることとは?
第14回 まとめ:「涓滴岩を穿つ」ために
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 40 | ジェンダー・セクシュアリティ、包括的性教育についての学識を修得したかどうか、日本の性教育やジェンダー平等に関する課題を説明できるかどうか、を評価します。昨年度は、文献精読レポートや授業に関連する学習イベントへの参加レポートなどに取り組んでいただき5000字程度で論述してもらいました。今年度の受講者の理解度・学習深度に沿って課題内容を検討します。 |
レポート | 60 | 毎授業後に提出する「学びと感想」を評価します。毎授業後に400〜1200字程度のコメントシートをmanabaにて提出いただきます。また、数回小レポート(1200〜2000字)を課します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
評価の前提条件:出席率が70%に満たない者についてはE判定とします。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー/タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
堀川修平『「日本に性教育はなかった」と言う前に:ブームとバッシングのあいだで考える』(柏書房、2023)を第3回授業までに準備しておいてください。
上記テキストの他、レジュメや補足資料等をネット上で配布します。各自持参ならびに管理をし、授業の際や、レポート作成に用いて下さい。
その他特記事項
この授業では「ジェンダー・セクシュアリティ平等の視点」を"社会におけるすべての人の〈性〉に関する抑圧の解放を目指すために、性の多様性を認め、性の差別や偏見から自由になること"と定義して、現代社会における「差別」問題について考えていきます。また、社会にすでに存在している差別に関する内容として、「暴力」や「生と死」に関わる内容を取り扱うことも前提としています。本授業ではあらゆる社会的マイノリティに対する差別は認めません。差別言動が行われた場合(コメントシート内、あるいは学生間でのディスカッション内など)は、退出ならびに受講の取りやめを求めることがあります。
授業では、皆さんに「じぶんごと」として社会問題を捉えてもらいたいと思います。ですので、「自説のみにこだわり、周りの人たちと対話するつもりのない方」や「この社会のあらゆる差別に関して敏感に捉えるつもりのない方」、「授業内でのあらゆる課題に取り組むつもりのない方」、「小難しい知識を暗記することのみに力を注ぎたい方」などもいらっしゃると思いますが、そのような自分をこの授業を通して変えるつもりのない方は、別の授業の受講やご自身の趣味の時間に使った方が有意義だと思います。本授業の受講を取りやめることを検討してください。
また積極的に教員と学生、学生同士の交流をしていただきますので、他の受講生の学習権の侵害がないように積極的に参加していただきたいと思います。選択科目の一つとして本授業は位置づいております。決して「楽単」の授業ではありませんので、楽をして単位を取りたい方の受講はおすすめしません。大学の授業にかぎらず、教育の場は、教育者と学習者とがともに場を作っていくものです。「お客様」として着座し、指示があったことだけ取り組む方の参加は望みません。
みなさん自身に、精一杯課題に取り組んでいただくなかで、半年間かけて「受けてみてよかった」と思っていただける授業にできるよう、こちらも尽力したいと思います。周りの学生の学習権の侵害、また教員の学習権の侵害にあたらないよう、上記の点を承知した上で受講をお願いします。
参考URL
https://researchmap.jp/horikawa-shuhei