シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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フランス詩演習 B | 2025 | 後期 | 火4 | 文学研究科博士課程前期課程 | 前之園 望 | マエノソノ ノゾム | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LG-LT5-308S
履修条件・関連科目等
フランス文学史に関する基礎知識を身につけており、中級以上のフランス語の読解力を有している。
授業で使用する言語
日本語/フランス語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業では、フランス詩作品を例にとって、文学作品を実生活に生かす方法を皆さんと一緒に探っていきます。
読書には、情報収集型と体験熟成型の、二種類の読書があります。
情報収集型の読書は「瞬間的に役に立つ」読書で、効率化が可能なので、コスパやタイパといった考え方と相性が良いものです。
体験熟成型の読書は「人生を豊かにする」読書です。同じ作品を再読することで、新たな読み方を発見し、そのたびに読書体験を深めてゆく行為で、効率化とは無縁です。逆に言えば、何度読み返しても新しい発見があり、そのたびに作品と自分の人生に深みを与えてくれる作品でなければ、体験熟成型の読書には不向きです。文学研究とは、体験熟成型の読書を行うことで作品を「育てる」ことにほかなりません。
この授業では、日々の生活に接続可能な「本(作品)の育て方」を、追究します。具体的には、19世紀・20世紀に活躍した詩人の作品を中心に、フランスの近現代詩作品を教員との質疑応答を通して鑑賞し、文学研究の基礎となる分析方法を学び、その知見をもとに年間テーマに沿った発表をしてもらいます。
今年度はシュルレアリスム詩の理論と実践について、実験も交えつつ考察を行います。シュルレアリスム運動の中心人物であるアンドレ・ブルトンは、「自動記述」や「ポエム=オブジェ」など、詩的創作活動に関する独自の理論を展開しました。彼の詩論に関しては先行研究で言及されることも多いですが、実際に彼の詩作品が読まれることは意外に(?)少ないです。本授業では、ブルトンの詩論と詩作品を照合し、両者がどこまで一致し、どこに「ずれ」が生じるのかを探ります。さらに、履修生の方には実験として、ブルトンの詩的理論に基づいた創作活動も体験していただきます。「受け手」ではなく「作り手」の側に回ってみて、初めて理解できることもあります。実験の前後で詩の理解がどのように変化するかを体感し、その変化を言語化してもらいます。
科目目的
本格的な文学研究に必要な専門的知識、技術を身に付ける。徹底的に辞書を使いこなすことによって、高度に文学的・学術的なフランス語の文章を、独力で読み解けるようになる。文法的知識を適切に運用することで、複雑な詩句/文章を独力で理解することができるようになる。フランス語表現の細かいニュアンスの差に気が付けるようになる。初見では難解な文章が、粘り強く再読を繰り返すことで少しずつ解きほぐされ、次第にその全容が明らかになってゆくプロセスを、効率化の誘惑に陥ることなく実感できるようになる。
到達目標
1.授業で扱った詩作品の音声上の特徴、文法構造を理解する。
3.授業で扱った詩作品で使用されている修辞法を理解する。
4.上記の観点を踏まえて自分で詩作品の分析・解釈を行う。
5.必要な先行研究にアクセスする方法を身に付ける。
6.自分の考えを適切な形で文章にまとめることができる。
7.プレゼンテーションツールを使用した発表ができる。
8.研究発表において適切な質疑応答ができる。
授業計画と内容
第1回:授業概要説明。
第2回:「甘美な死骸、その顕揚」精読①/1948年の時代背景
第3回:「甘美な死骸、その顕揚」精読②/作品例の分析
第4回:【実験】定義ゲーム/コラージュ川柳/「優美な死骸」(文章/デッサン)
第5回:前半の授業作品の振り返り
第6回:学生発表①:ブルトンのコラージュ詩の分析
第7回:ポエム=オブジェ概観、「オブジェのシュルレアリスム的状況」精読
第8回:「客観的ユーモア」解説、『狂気の愛』精読
第9回:「ポエム=オブジェについて」精読
第10回:「ポエム=オブジェ『あの空き地…』について」精読
第11回:ポエム=オブジェ「私は見る/私は想像する」解説
第12回:【実験】ポエム=オブジェ制作/コラージュ詩+オブジェ(写真)
第13回:後半の授業作品の振り返り
第14回:学生発表②:ポエム=オブジェの分析
(授業回は大体の目安であり、履修者の人数や理解度によって内容を追加・変更することがあります。)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 40 | 以下の5項目を採点基準とし評価する。 ①提出期間を含め課題の規定に従っている。 ②構成(問題設定・本論・結論)が適切である。 ③主題(論旨)が明確かつ説得的である。 ④執筆者にしか書けない独創性がある。 ⑤誤字脱字などのない明晰な文章である。 |
平常点 | 60 | 60%の内訳は、30%が半期に付き2回ある発表内容、30%が授業中の質疑応答内容。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
毎回の授業へのコメントを共有するためにmanabaの掲示板機能を利用します。また、発表などを行う際に、タブレット、パソコンなどが必要になります。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業で扱う資料はmanabaを通して配布します。
【ブルトンの著作】
・アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』巖谷國士訳、岩波文庫、1992年。
・アンドレ・ブルトン『ナジャ』巖谷國士訳、岩波文庫、2003年。
・アンドレ・ブルトン『狂気の愛』海老坂武訳、光文社古典新訳文庫、2008年。
・アンドレ・ブルトン『秘法十七』入沢康夫訳、人文書院、1993年。
・アンドレ・ブルトン『ブルトン、シュルレアリスムを語る』稲田三吉・佐山一訳、思潮社、1994年。
・アンドレ・ブルトン『シュルレアリスムと絵画』瀧口修造、巖谷國士監修、人文書院、1997年。
【研究書】
・アンリ・べアール『アンドレ・ブルトン伝』塚原史・谷昌親訳、思潮社、1997年。
・鈴木雅雄『シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性』平凡社、2007年。
・齊藤哲也『零度のシュルレアリスム』水声社、2011年。
・細谷功『アナロジー思考』東洋経済新報社、2011年。
【詩を読むということ】
・中地義和『ランボー 自画像の詩学』岩波書店、2005年。
・大森晋輔『フランスの詩と歌の愉しみ 近代詩と音楽』東京藝術大学出版会、2012年。
・ 渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』講談社現代新書、2013年。
・ 窪田般彌『ミラボー橋の下をセーヌが流れ――フランス詩への招待』白水社、ふらんす双書、1975年。
・ 田中淳一『地球とオレンジ――フランス現代詩を読む』白水社、ふらんす双書、1980年。
・ 安藤元雄『新版 フランス語の散歩道』白水社、1996年。
【フランス詩法】
・杉山正樹『やさしいフランス詩法』白水社、1981年。
その他特記事項
・5回以上欠席された方は、原則として成績評価の対象となりません。やむを得ない個別の事情がある場合は、必ず事前にご相談ください。
・事前に教員に相談があり、教員がやむを得ないと判断した場合に限り、欠席された方が自宅からオンライン受講することを認めます。なお、オンライン受講をされても出欠記録は「欠席」となります。
・個別の連絡には「個別指導(コレクション)」を使用し、要件ごとにスレッドを立ててください。クラス全体の「掲示板」に個人情報を書き込まないようご注意ください。
・毎回の授業は、webexで授業画面のみ録画をし(教室の様子は撮影しません)可能な範囲でアーカイブ公開を行う予定です。授業内容の復習に役立てて下さい。