シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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異文化理解 | 2024 | 後期 | 火5 | 文学部 | 中川 康弘 | ナカガワ ヤスヒロ | 1~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-LG1-T503
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
【基本テーマ:異文化理解の対象領域をとらえ、他者への想像力を養う】
ヒト、モノ、カネ、情報が行き交うグローバル化において、言語文化の多様性を尊重し、新しい社会のあり方を希求する人々の声が高まっています。その一方で、固定化された国家や民族枠組み、能力主義や家父長主義等による価値観を紐帯とする保守的な声も聞かれます。それは日本も例外ではありません。しかし、分断と排外主義が懸念される今こそ、さまざまな価値観をもつ人々と対話し、共生することが求められる時代にあると言えるでしょう。その原動力は、言語と文化の教育を通じて培われる部分が大きいと考えます。
こうした観点に立ち、本授業ではハンドアウトとPPTを用いて異文化理解を深めていきます。具体的に、マクロレベルとして多文化多言語状況に係る諸政策や教育政策について歴史的背景を踏まえて学び、ミクロレベルで日常のコミュニケーションを見ていきます。同時に各論として障害やジェンダー&セクシュアリティ、英語教育/日本語教育、日本人・日本文化論/メディア/記憶の継承等も射程に入れ、広く異文化を捉えます。それらの異文化にかかる議論を通じて、他者に遭遇した際の自らの立ち位置を確認するための最適解を見出していきます。
科目目的
言語文化、ジェンダー&セクシュアリティ等、さまざまな価値観、背景をもつ人々を歓待する教育現場の形成に向かうために、異文化理解という学の全体像を把握し、その基礎知識と態度を養うことを目指します。また、それにかかる種々の問題を他者化することなく、自分事として捉え、関係性に潜む権力やそこで構築されるアイデンティティについても思いをめぐらし、教育という営みのなかで異質な他者を歓待する意識を一人ひとりが育んでいくことを目的とします。
到達目標
共生社会の実現に不可欠である、多様性を受け入れる意識を養うべく、授業を通して、一人ひとりが単一の価値観や権力、ステレオタイプを誘導する社会を複眼的に捉え、自らの言葉で語れるようになることを目標とします。本授業で得た知見は、自分の利害やその時々の関心事にのみこもり、他者への想像力やお仕着せの価値への批判的思考が希薄になりつつある現代に一層求められるものであり、何より多様な背景を持つ生徒に出会う学校教育の現場に立つ者に必須のマインドとなるはずです。
授業計画と内容
第1回 異文化を理解することとは・・・その射程と見取り図
第2回 異文化の日常:ステレオタイプ/日常会話の中の異文化/文化をめぐるイデオロギー
第3回 接触場面と異文化:コミュニケーションとインターアクション/非言語コミュニケーション
第4回 言語内部の多様性:世界の多言語状況と危機言語/CEFRと複言語主義/変種/言語の恣意性
第5回 異文化のとらえ方と扱い方:言語生活における態度/ユニバーサルデザイン/多文化主義
第6回 異文化としての学校:外国籍児童生徒と学校教育/バイリンガル教育/中学校夜間学級の現状
第7回 言語としての手話:ろう文化/障害学/優生思想と科学技術/支援の眼差し/インクルーシブ教育
第8回 異文化とジェンダー&セクシュアリティ①:フェミニズム/性の系譜と言説/現代日本の傾向
第9回 異文化とジェンダー&セクシュアリティ②:LGBTの語られ方/日本語とジェンダー/学校現場
第10回 英語教育と異文化:史的展開と課題/Native-like/自動翻訳機の是非/国際共通語としての英語
第11回 日本語教育と異文化:社会的文脈/国語教育との違い/日本語教育の言語知識/やさしい日本語
第12回 日本人論・日本文化論の理解:タテとヨコ/友だち幻想/宗教リテラシー/ステレオタイプ受容
第13回 異文化とメディア・出来事の記憶・言語:スポーツ/記憶の継承/死者との対話/語りの暴力性
第14回 異文化理解の現在、そしてこれから:令和の教育と異文化理解/SDGsへの省察/モノの見方
*授業の進度状況により、順番や内容に若干の変更が生じる場合がある旨記しておきます。
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・定期的に課題を出すので、自律的に学修を進めること
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 40 | 授業の内容に関係した課題文を課し、複眼的な観点から異文化理解に係る問題に一定の答えを見出し、その重要性を自分の言葉で説明できるかどうかを評価します。 |
レポート | 30 | 授業で触れた基本概念の整理を兼ねて、異文化理解にかかる課題を中間地点に課します。 |
平常点 | 30 | 各回のクラスへの貢献度、受講態度状況を基準とします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
授業の進度によってかわることもあります。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/グループワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業では、主にレジュメ等の配布資料を使用する。
参考文献
『異文化間教育事典』異文化間教育学会編著、明石書店
『顕在化する多言語社会日本』福永由佳編、三元社
『多文化社会で多様性を考えるワークブック』有田佳代子他編著、研究社
『多様性との対話』岩渕功一編著、青弓社
『異文化コミュニケーションの基礎知識』伊藤明美著、大学教育出版