シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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宗教と文学/比較神話A・B | 2024 | 後期 | 金5 | 文学部 | 杉江 拓磨 | スギエ タクマ | 1~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-PE1-T602
履修条件・関連科目等
履修条件は特にないものの、古代の西アジア(オリエント)世界および東地中海世界の歴史や文化に関する知識を身に着けていることが望ましいです。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業では実際に文学作品・神話を日本語訳で読みますが、中には詩的で難解な文章のものもあるので、それらを読みこなせる日本語読解力が求められます。
Students must be able to read and comprehend myths in Japanese translation, some of which contain obscure terms and phrases.
授業の概要
この授業では宗教思想を物語の形で表現したものとして神話を捉えます。そして、世界の神話の中でも最も広く読まれている旧約聖書/ヘブライ語聖書の「創世記」6~9章の洪水神話を取り上げ、同様に神がもたらす大洪水について語る古代メソポタミアおよびギリシアの文学作品と比較します。さらに、それらの作品がほかにどのようなテーマと結び付けられているかも確認することで、宗教文学・神話のテーマやモティーフが宗教や言語などの違いを越えて受容され、発展していく様相を具体的にたどります。
少数の文学作品・神話を時間をかけて詳しく見ていくので、受講するには根気が必要になります。
科目目的
この科目は、多様な背景や考え方をもつ人々の相互作用が織りなす文化を読み解く力を学生各自が育むことができるよう、以下のことを目的としています。
・現代日本と遠く隔たった世界の人々が生み出した文学・神話に触れることで、自らの文化を相対的・客観的に見る視点をもつこと。
・言語や文明を異にするとされる人々の間の文化接触の事例に触れることで、国家・民族・言語・宗教などにより世界を分断しがちな発想を反省すること。
到達目標
・文学作品・神話の内容を正確に把握して要約できるようになること。
・作品・神話の本文に実際に向き合うことで、一般に流布する見方や先行研究の問題点を発見し、それを乗り越えようとする姿勢を身に着けること。
・類似する複数の作品・神話を比較して、それらの間の有意な共通点と相違点を指摘する。そして、共通点と相違点がそれぞれなぜ生じたか、自分なりに考え、説明できるようになること。
・作品・神話のそれ自体で難解な点を、他のものとの比較によって、説明できるようになること。
授業計画と内容
第1回 宗教と神話
第2回 旧約聖書/ヘブライ語聖書とは何か
第3回 旧約聖書における洪水神話(1):「創世記」6:5-9:17を読む
第4回 旧約聖書における洪水神話(2):2つの洪水神話?
第5回 旧約聖書における洪水神話(3):「清い」動物と「清くない」動物
第6回 メソポタミア神話の背景
第7回 古代メソポタミア文学における洪水神話(1):標準版『ギルガメシュ叙事詩』XI の洪水神話を読む
第8回 古代メソポタミア文学における洪水神話(2):船の大きさと構造
第9回 古代メソポタミア文学における洪水神話(3):『アトラ・ハシス』が語る洪水の原因
第10回 旧約聖書と古代メソポタミア文学における洪水神話:神・人間・両者の関係
第11回 なぜ世界各地に洪水神話があるか?
第12回 ギリシア神話の基礎知識と古代ギリシア文学における洪水神話(アポロドロス『ギリシア神話』1.7.2-3)
第13回 古代ギリシア文学における洪水神話と文化英雄(アイスキュロス『縛られたプロメテウス』)
第14回 総括:宗教・神話と権力
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 20 | 各作品の本文に当たって内容を正確に把握しているか、また、それを過不足なく自分の表現で適切に伝えることができるかどうかを評価します。 |
期末試験(到達度確認) | 80 | 各作品・神話の内容、授業の説明、問題の趣旨を理解した上で、根拠となる本文を具体的に明示しつつ、先入観や俗説を排して、自分の説を実証的かつ論理的に展開できるかどうかを評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験は授業を聴き、理解したかを確認する目的で行います。そのため、課題や試験の問いに対する答えになっていても、授業内容を無視したような解答は評価が著しく低くなります。また、授業内容に対する反論・批判でも論述に妥当性があれば、高評価になります。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
<テキスト>
授業時に適宜、配付する。
<参考文献>
【1】月本昭男編『宗教の誕生:宗教の起源・古代の宗教』山川出版社、2017年(宗教の世界史1)ISBN: 9784634431317
【2】Carolina López-Ruiz, ed., Gods, Heroes, and Monsters: A Sourcebook of Greek, Roman, and Near Eastern Myths in Translation, Oxford University Press, 2018, New York, 2nd ed., ISBN: 9780190644819
【3】アーヴィング・フィンケル『ノアの箱舟の真実:「大洪水伝説」をさかのぼる』宮崎修二・標珠実訳、明石書店、2018年、ISBN: 9784750346083
※ ほかは授業時に適宜、指示する。