シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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文化人類学/文化人類学A | 2024 | 前期 | 水4 | 文学部 | 小田 昌教 | オダ マサノリ | 1~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-CA1-T605
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
授業は「文化人類学A」と「文化人類学B」に分かれています。
「文化人類学A」では、おもに「COVID-19のパンデミック」と「気候変動」を中心に、感染症のウイルスと気候が人類にもたらしている影響と変化について学びます。
「文化人類学B」では、おもに「グローバル経済」と「民主主義」を中心に、グローバリゼーションが人類にもたらしている大きな影響と変化を学びます。
昨年度までの講義の内容や教材の一部は、下記のサイトでみることができます
・文化人類学解放講座 Blog版 http://illcommonz.exblog.jp/
・文化人類学解放講座 YouTube版 http://anthropologix.blogspot.com/
このシラバスのPDF資料も参照してください。
科目目的
日本のバンド、サザンオールスターズは、ヒット曲「ピースとハイライト」のなかで、こう歌っています。「教科書は、現代史をやる前に時間切れ そこが一番知りたいのに、何でそうなっちゃうの?」(作詞:桑田佳祐)。何でそうなってしまうかはともかく、現代史は、みなさんたちが生まれ、そして現在進行形で、日々生きている時代の流れや世界の仕組みとダイレクトにつながる、本当なら一番知っておかなければならないはずのリアルな歴史です。そこでこの授業では、学校の教科書がやらない現代史をやります。具体的には、1894年に世界で最初に「地球温暖化」を指摘したアレテニスの研究から、2019年の国連気候行動サミットでのグレタ・トゥンベリのスピーチまでをとりあげ、いま人類が直面している最大のグローバル・イシューである「気候変動」の問題を、社会学、文学、心理学、哲学、気象科学、古人類学などのクロス・カリキュラムな視点から、お話します。この授業の目標は、日々、みなさんが目や耳にするニュースや言葉を、ただ聞き流すのではなく、その事件や出来事の背景と同時代史的な流れからニュースを読み解き、それについてより深くより広く考え、自分の意見を持つための知性と教養、そして人類学的なリテラシーを身につけることです。キーワードは、地球温暖化委、クライメイト・クライシス、グレート・アクセラレーション、不都合な真実、ヒト新世、そして、文化と人類です。
到達目標
この授業の到達目標は、次の5つです。
①オーセンティック・ラーニング
②クロスカリキュラム・ラーニング
③アンチバイアス・ラーニング
④プロアクティヴ・ラーニング
⑤クリティカル・ラーニング
それぞれの意味については、授業のなかでお話しをすることとし、ここでは①についてだけ先にお話しします。
「オーセンティック・ラーニング」とは、過去の歴史や文化ではなく、自分たちがいま現在進行形で生きている現実社会で、いま、まさに起きている具体的な問題や事象をリアルタイムに学び、それに対する対応のしかたや解決策を考えてゆく学びのことです。
小説『精霊の守り人』の作者で、文化人類学である上橋菜穂子は「文化人類学とは何か」ということについて、こう述べています。
「文化人類学というのは、我が身で経験せよ、という学問なんです。本で読んだ知識のみで構築していくのではなく、同時代の生きている人々の文化をいかに考え、いかに書くかということが大切になってくる。人類学者は、たったいま生きている人々のことを書く。」
中央大学の文学部で16年間、開講してきた「文化人類学」の授業の基本方針もまた「いま、地球世界でおきていることを知る」でした。平常時はもちろん、非常時ともなればなおさらのことそうです。そして15年間を通じて変わらない共通のテーマのひとつは「グローバリゼーション」です。グローバリゼーションは、一般に「ヒト・モノ・カネ・情報」の世界的な拡散と定義されていますが、いま、みなさんたちが経験しているのは、「ヒトとモノをメディア(媒介)として、世界中に「ウイルス」が拡散してゆく「感染性」のグローバリゼーションといえます。それだけでなく現代社会には、気候変動による「異常気象」や、人種による「レイシズム」など、世界が抱えている多くの「グローバル・イシュー」が存在します。ただ、それは今にはじまったことではなく、今から約8万年前に、人類の祖先がアフリカから世界に移動したときから始まった現象です。「ヒト」が世界に拡散していった、この大移動を人類の最初の大きなグローバリゼーションだとすれば、二番目のグローバリゼーションは「大航海時代」ということになり、これは「モノ」の拡散でしたが、いまは「カネ」と「情報」のグローバリゼーションが進んでいます。今期の「文化人類学B」では、まず文化人類学的な視点からみら「人類の3つのグローバリゼーション」の話からはじまって、感染症、気候変動、レイシズム、資本主義、ITなど、様々なグローバルイシューについて、みなさんといっしょに考えてゆきたいと思っています。これが今期の授業の「到達目標」です。
授業計画と内容
各授業ごとのテーマは次のとおりですが、受講者の興味と関心、理解度にあわせて、授業のテーマは変更する場合があります。
01:ガイダンス:「ニューノーマル」としてのオンライン授業
02:イントロダクション:現代の5つのラーニング
03:パンデミックで学ぶ世界の国と地域
04:人類学からみたヒトの都市とパンデミック
05:コロナウイルスで露わになったレイシズム
06:パンデミックの時代に人文学を学ぶ理由
07:パンデミックをのりきる国の条件と慎重な楽観論
08:ホモ・サピエンスの生活史から考える身体のケア
09:2019年「国連気候行動サミット」
10:映画「不都合な真実」と「不都合な真実2」
11:放送大学「環境と社会」リミックス
12:映画「愚か者の時代にいる」
13:フットプリントの消し方
14:アクティヴ・ラーニング方式によるまとめ
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
manaba のrespon ヘのコメント
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | オンラインで提出する課題を評価対象とします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
「21世紀のスキル」の習得度
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
講義を担当する講師は、文化人類学を修めた後、現代美術家になり、現在はグラフィック・デザインや映像編集などの仕事をしながら、複数の大学で教育活動を行っています。この講義では、アートやデザインのスキルを活かし、講師が独自に編集した動画やグラフィック資料を教材に使って講義を行います。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
グラフィックデザイナーとしての実務経験を活かしたオンライン教材を使用します。
テキスト・参考文献等
教科書は使いません。授業ごとに必要な教材や資料を準備して、プリントとmanaba で配布します。
その他特記事項
大学で「教養」を身につけることの意義については、下記の文章を参考にしてください。
「ひとつの時代が終わったと言われて久しい。だが、その先にいかなる時代を展望するのか、私たちはその輪郭すら描きえていない。グローバル資本主義の浸透、憎悪の連鎖、暴力の応酬、世界は混沌として深い不安の只中にある。現代社会においては変化が常態となり、速さと新しさに絶対的な価値が与えられた。消費社会の深化と情報技術の革命は、種々の境界を無くし、人々の生活やコミュニケーションの様式を根底から変容させてきた。ライフスタイルは多様化し、一面では個人の生き方をそれぞれが選びとる時代が始まっている。同時に、新たな格差が生まれ、様々な次元での亀裂や分断が深まっている。社会や歴史に対する意識が揺らぎ、普遍的な理念に対する根本的な懐疑や、現実を変えることへの無力感がひそかに根を張りつつある。そして生きることに誰もが困難を覚える時代が到来している。しかし、日常生活のそれぞれの場で、自由と民主主義を獲得し実践することを通じて、私たち自身がそうした閉塞を乗り超え、希望の時代の幕開けを告げてゆくことは不可能ではあるまい。そのために、いま求められていること、それは、個と個の間で開かれた対話を積み重ねながら、人間らしく生きることの条件について一人ひとりが粘り強く思考することではないか。その営みの糧となるものが、教養に外ならないと私たちは考える。歴史とは何か、よく生きるとはいかなることか、世界そして人間はどこへ向かうべきなのか。こうした根源的な問いとの格闘が、文化と知の厚みを作り出し、個人と社会を支える基盤としての教養である」「岩波新書新赤版1000点に際して」(2006年)より抜粋
参考URL
https://illcommonz.wordpress.com/