シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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事例研究(演習)Ⅰ | 2025 | 前期 | 火4 | 総合政策学部 | 青木 英孝 | アオキ ヒデタカ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PS-IF3-SM01
履修条件・関連科目等
統計学・計量経済学の基礎知識があること(「経済経営統計学」を履修済みであること)。
Word、Excel、PowerPointの基本的スキルをもつこと。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
【研究テーマ】コーポレート・ガバナンスと企業経営
研究テーマであるコーポレート・ガバナンス(企業統治)とは、企業は誰のものか、誰のために経営されるべきかといった問題群の総称であり、基本的には “ 企業を取り巻く様々なステイクホルダーの利害を調整しつつ、経営者に対するインセンティブやモニタリングを通じて、効率的な企業経営を達成させるための経営の規律づけの仕組み ”である。近年の日本企業は、日本版スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードの制定といった外部環境からの圧力に加え、企業不祥事の続発、多角化やグローバル化による事業構造の複雑化といった内部環境からの要請により、執行役員制度や社外取締役の導入といったトップ・マネジメントの構造改革、ストック・オプションなどの役員報酬制度の整備、株主重視経営と情報開示の充実、純粋持株会社の採用とグループ経営の強化など、様々なコーポレート・ガバナンスの強化策に積極的に取り組んでいる。
また、日本型企業システムに関する諸問題も扱う。これは、メインバンク・システムや株式の相互持ち合いなどの金融システム、終身雇用や年功制などの雇用システム、系列や企業集団などの企業間関係など、それぞれユニークな特徴をもつサブ・システムから企業が構成されているとする見方であり、現在大きな変容の過程にある。コーポレート・ガバナンスに対する理解を深めるためには、コーポレート・ガバナンスの在り方と相互に影響しあう日本型企業システム、企業の戦略や組織に関する幅広い理解も不可欠である。したがって、これらのテーマを研究することで、日本企業に関する多様な分析視角を養うことが可能となる。
なお、担当教員とゼミ生との効果的なマッチングのために、コーポレート・ガバナンスと企業経営に関する下記のような大まかなテーマのうちいずれかに関心のある人が望ましい。
・トップ・マネジメント(取締役会、社外取締役、執行役員制度、女性役員・外国人役員など)
・経営者インセンティブ(ストック・オプション制度、役員報酬など)
・機関設計(株主総会、監査役会、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社など)
・所有構造(機関投資家、外国人株主、安定株主、情報開示など)
・企業不祥事(粉飾決算、データ改竄、リコール、内部統制、監査など)
・グループ経営(子会社ガバナンス、分社、完全子会社化、親子上場など)
・戦略と組織(選択と集中、多角化戦略、M&A、持株会社など)
・金融システム(メインバンク・システム、株式持合など)
・雇用システム(終身雇用、年功制、雇用ポートフォリオ、非正規従業員など)
・企業間関係(系列、企業集団、ステイクホルダーなど)
テキスト・学術論文・参考文献の輪読とゼミ論の作成を通して、基礎知識のインプットから研究論文の作成ノウハウの習得までを段階的に学習する。受講者には、宿題として指定範囲の要約(レジュメ作成)をしてきてもらい、クラスにて発表・問題提起をしてもらう。その後、教員による解説およびクラス全体でのディスカッションを行い、テーマに関する理解を深める。この文献の輪読と平行して、各自卒業論文の研究を進めてもらう。
なお、週一回の本ゼミの他、サブゼミ(ディベートなど)も予定している。また、夏休み中にはゼミ合宿を行う予定である。合同で実施するか否かは履修人数による。各学年ともディベートのほか、2年生には業界・企業研究(グループ研究)を、3年生には業界・企業研究(グループ研究)とゼミ論文の概要を、4年生には卒業論文の中間報告を行ってもらう。
科目目的
・コーポレート・ガバナンスおよび経営学に関する深い見識を身につけ、組織が現実に直面する課題について、自分で論理的に考え、分析する力を養うこと
・プレゼンテーションおよびディスカッション能力の向上
・分析手法の習得(問題意識の明確化、先行研究のレビュー、リサーチ・クエスチョンの設定、仮説構築と定量的実証、企業の財務分析、基本的な統計分析の手法など)
到達目標
ゼミ論文の完成である。自分の研究テーマに関する問題意識の明確化、先行研究のレビュー、リサーチ・クエスチョンの設定までを含むゼミ論文(卒論の前半部分)を執筆する。
授業計画と内容
第 01 回 イントロダクション;年間計画,研究論文の書き方など
第 02 回 日本の経営
第 03 回 雇用制度
第 04 回 企業のガバナンス
第 05 回 取引の制度
第 06 回 内部組織
第 07 回 雇用システムの多様性と技能形成
第 08 回 日本企業と日本型経営
第 09 回 企業間関係
第 10 回 金融システム
第 11 回 株式会社制度
第 12 回 株式持ち合い
第 13 回 従業員主権
第 14 回 まとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・授業の準備:テキスト(文献)の指定範囲を読んできてもらい、レジュメ(要約および自分のコメント,A4 用紙3~4枚程度)を毎回提出してもらう。文献を読むのに1~2時間程度、レジュメの作成に1~2時間程度(合計で2~4 時間程度)の事前準備が必要である。事前準備のない者は授業への参加を認めない。
・ゼミ論文の準備:授業における文献の輪読とは別に、各自興味のある研究テーマを設定し、最終的にはオリジナリティーのある研究論文の完成を目指してもらう。夏のゼミ合宿で中間報告、年度末には最終報告を行ってもらうため、論文執筆とプレゼン資料の準備が必要である。
・ゼミ合宿の準備:ゼミ合宿では、グループ分けの上、ディベートと業界研究を行ってもらうため、資料収集、分析、プレゼンテーションの準備などが必要である。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | ゼミ論文 |
平常点 | 50 | 課題レジュメ(毎回提出) |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
・宮本光晴(2004)『企業システムの経済学』,新世社.
【参考文献】
・川上哲郎・長尾龍一・伊丹敬之・加護野忠男・岡崎哲二(1994)『日本型経営の叡知』,PHP研究所.
・伊丹敬之・加護野忠男・伊藤元重編(1993)『日本の企業システム 第1巻 企業とは何か』,有斐閣.
・伊丹敬之・加護野忠男・伊藤元重編(1993)『日本の企業システム 第2巻 組織と戦略』,有斐閣.
・伊丹敬之・加護野忠男・伊藤元重編(1993)『日本の企業システム 第3巻 人的資源』,有斐閣.
・伊丹敬之・加護野忠男・伊藤元重編(1993)『日本の企業システム 第4巻 企業と市場』,有斐閣.
・伊丹敬之・藤本隆宏・岡崎哲二・伊藤秀史・沼上幹編(2005)『日本の企業システム第Ⅱ期第2巻 戦略とガバナンス』,有斐閣.
その他特記事項
【履修希望者へのメッセージ】
・研究もスポーツや趣味と同じように、ある程度出来るようにならないと、本当の楽しさを理解できない。ゼミを有意義なものにするかどうかは、自分自身のゼミへのコミットメント次第。知的好奇心旺盛でやる気のある人を希望する。また、コンパやゼミ合宿には積極的に参加し、人的交流を大切にすること。
【オフィスアワー】
・火曜2限